男子バレー部のマネージャーとして正式入部が決まりバレー部の仲間入りを果たした沙紀は、日常の雑務に追われていた。
また5月などいうのに体育館の中は熱気であふれている。それもそのはず、たくさんの巨大な男子が体育館の中をところ狭しと駆け回っているのだから。
洗濯したタオルはあっという間に汚れるし、試合に使うビブだって毎日洗わなければならない。タイムを計ったりボールの手入れをする合間をぬってほかの部活と洗濯機を取り合う日々。
「選手の方がよっぽど楽だったな~」新緑の木陰で洗濯物を干しながらも、どこか楽しそうな沙紀の後ろから、ひんやりとした声がした。
「これ、落ちてた。」
振り返ると、洗濯後に運び損ねたタオルを持って、雪村がこちらに向かって来るのがみえた。
雪村くんって・・・夏でも晩秋のような顔してるな〜。汗とかかいたりするのかな?大きな声出せるのかな?
「ねぇ。ちょっと。」
雪村の声で空想から現実に引き戻された沙紀が慌ててタオルを受け取りに行こうとしたとき、うっかり木のうねに足を取られてしまった。
気が付くと沙紀は、雪村の胸の中にいた。
背が高いこともあり遠目にはほっそりと見えていた雪村の胸はとても広く、温かかった。沙紀の体を支える筋肉のついた腕に気づいて沙紀は飛びのくように離れる。
「ありがと。」
なるべく平常心でお礼を言ったとき、すでに雪村は体育館に向かっていた。
遠ざかる足音を聞きながら、沙紀は心に芽生えた変化に戸惑っていた。