もう一度兄に会えたら、謝りたいことがいくつがあるが、その一つの話。

 

 夫婦仲が悪いという訳では無いが、言い合いをかなりの頻度でしている両親。その日も、電話で兄とその事について話していた。

兄が「また喧嘩していたぞ」と言って喧嘩の経緯について話してくれたのだけど、今思えば、兄はそんな状況が嫌だったわけで、喧嘩をしている両親と同じ部屋で過ごしている時間は辛かったに違いない。そしてかなり心配していたと思う。


その当時、両親は二人で商売をしていたから24時間365日離れることなくずっと一緒にいたせいで、お互いぶつかり合うことも多かったのだろう。本当些細な事でも喧嘩をしていたし、兄の鬱についてもお互いの対応の違いで喧嘩したりもしていた。それは、兄にとっては辛かったことだと思う。


それなのに、私はその時は、そこまで思い至らなかった。兄に「父さんと母さんのことをよろしくね。」と丸投げにしてしまった。


九州と関東とに離れているのを理由に、私は実家にはあまり帰らなかったし、ずっと兄に任せきりだった。兄はどうすることも出来ない自分を責めていたと思う。今は結局、私がその役目を担うことになったけれど。でも、頻繁に合うわけでもないから大した負担ではない。


だからこそ、「お兄ちゃん、ごめんね。」


両親は相変わらず言い争うことが多い。もう、そういう風にしかコミュニケーションが取れないのかもしれない。自分の主張を曲げない二人だから、お互いに攻撃的だし、どちらも自分が正しいのに相手が分かってくれない、と思っている。だからきっと、このままなのだと思う。手が出ないのだけが幸いだ。


両親は幸せなのかな。分からない。でも、幸せだと思っていてほしいな。兄もそれを一番願っていたと思うから。