「誰?」
端的に告げられた言葉に私は恐怖した。
目の前に、大魔王がいた。
痛恨のミス!?キョーコver③
「ねぇ、最上さん。誰?」
似非紳士笑顔すら貼り付けていない凄みMAXの状態の敦賀さんが私に問いかける。
ど、どうしてこうなるの!?いつの間にか壁に追い詰められてるぅ~~~!!!
えっと、怖くて頭に入ってなかったけど敦賀さんなんておっしゃったの??
だれ、誰、DARE・・・・・・分かったわ!まさか俺じゃないだろうな?っていう念押しね!このことを想定して回答は準備してきたわ!圧倒的に不自然にならない回答を!
「こ、古賀さんです!今の現場でご一緒させて貰って、演技を褒めて貰えて・・・・・・嬉しかったんです。意地悪なとこもあるけど、大人で演技に対して真摯で妥協を許さない姿が格好良くて!・・・でも、古賀さんには好きな人がいて、叶わないと分かっているんです!だからこの気持ちは地獄まで持っていくんです!でも、敦賀さんは、恋が出来ない私の事を気に掛けて下さっていたので、恋が出来るようになったんだと知って欲しくて!」
一気に言い切った私は息を切らしながらも自分の用意した回答に心の中でハナマルをあげた。
どうよ!!!この完璧な回答!流石、ソウルメイトだわ!全く違和感が無いもの!
満足そうに息を整え、今まで心配して下さったお礼がまだだったなと姿勢を正し顔を上げ、お礼を言おうとした私は、突然の強い衝撃にバランスを崩した。
驚いて閉じた目を開く。気づくと私は敦賀さんの腕の中に強い力で閉じ込められていた。
な、なんで!?待って!!どういうことなの!?
混乱を極めた私は困惑を隠しもせず敦賀さんを見た。そして固まった。
な、なんて顔してるのぉ~~~!!!
そこにいたのは、カイン丸よりさらに庇護欲をそそるような捨て犬の群れを引き連れた情けない顔をした敦賀さん。
「いやだ。キョーコちゃんは俺のだから!絶対渡さない!」
理解不能な言葉を掛けられながら頭をグリグリと押しつけて離してくれる様子もない敦賀さん。
混乱して頭の上を流れていく言葉達が入ってこない。なんとか、入ってくるようになったのは、「もう身体から堕とすしかない。」という不穏な言葉がその口から飛び出した頃で。
反応が遅れた私はもう敦賀さんの為すがままだった。
どうやら私は痛恨のミスをしたらしい。
【END】
敦賀さんは大魔王ですら対処できなくなるとカイン丸量産すると思います。
敦賀さんは大人を意識して演じてるけど、久遠は15歳で止まったままだから意外と子どもっぽいと思います。