9話(公式サイトより)
麗花の挑発に耐えられなくなったちよみは、ついに麗花に自分の姿を見せてしまった。麗花は驚いて悲鳴をあげたものの、すぐに気を取り直し、「みんなに嘘をついてまで、あなたの世話を焼く南くんに同情するわ」と、ちよみを責める。以来、ちよみと南は、麗花が日下部らに自分たちの秘密をばらすのではと、おびえるはめに……。
ところが麗花は、南への疑いを深める日下部に対し、なぜかうまくウソをついて秘密を守ってくれた。しかも、南と交替でちよみの面倒を見ると言いだす。しかしその一方で、麗花は、ちよみをかくまうことで家族や周囲を裏切って傷つけているのではと、南を非難。痛いところを指摘された南は、複雑な心境に……。
そんな中、南家では母・竹子の誕生日が近づき、家族はそれぞれプレゼントの準備をはじめる。父・謙一とプレゼントを買うために出かけた南は、その途中、早く家庭を持ったほうがよいと謙一に諭され、思わず「俺、一生独身かもしれない」とつぶやいてしまう。
一方、竹子に手編みのマフラーをプレゼントすることにした麗花に一緒に手芸店に連れて行ってもらい、極細の毛糸を買ってもらったちよみは、「野村さん、なかなかフェアな人だね」と南に報告するが、その夜、ちよみと一緒に風呂に入った麗花は、「正々堂々と南くんを奪う」と宣言。さらに、「私なら南くんのしたいこと、何でもしてあげられるわ」と言われてしまったちよみは何も言い返せず……。
翌日、学校で南と大原の話を聞いてしまった麗花は、自分が交通事故に遭遇した後、南家で静養させるべきだと提案したのが、ちよみだったことを知り、複雑な心境に。
やがて、竹子の誕生日がやって来た。きちんとマフラーを完成させた麗花は、ケーキや料理まで用意して竹子を喜ばせる。ちよみも懸命に小さなマフラーを編み続けていたが、その日の昼間、南の部屋に入ってきた竹子からあわてて隠れようとした拍子に、それまで編み進めていたものがほどけてしまい、大あわてで編み直していた。
夕方、堀切鮨からの寿司も届き、家族揃っての誕生日パーティーがはじまった。竹子はまるで南とちよみに聞かせるかのように、「愛する人を守るためなら世界中の人にウソをついてもいいと思う」と話しはじめる。そして、南の胸ポケットの中で懸命に編み物を直していたちよみは、ようやく小さなマフラーを完成させ、それに気づいた南は、思い切って「これ、ちよみが中国から送ってくれたんだ」といって、竹子に差し出す。小さくなってしまったちよみの存在に気づいていた竹子は、「本の栞にいいわね」と喜んで受け取るのだった。
パーティーの後、散歩に出かけたちよみと南は、人のいない公園で「ハッピーバースディ・ディアー・お母さん」と歌っていた。みんなの前で歌えなかった分、大きな声で歌うちよみ。ふたりは続けてもう一曲、ラブソングを歌いだす。夜空に響くふたりの歌声。南は歌いながらちよみを街灯のすぐ近くに立たせ、壁に大きく写ったちよみの影法師と、自分の影法師が同じ大きさになるように立ち、手をつなぐのだった。
そのまま、ふたりがはしゃいでいると、南の携帯に麗花から日下部がこれから家に来るという連絡が入る。日下部は、やはり南がちよみをかくまっているのではないかという疑いを晴らせず、南家までやってきたのだ。さらに、ちよみが作った向日葵の栞を見て、その疑いを確信に変えていた。一年前、ちよみが亡き母・真理子の誕生日のために、真理子が好きだった向日葵の花の模様のマフラーを編んでいたのを知っていたからだ。
家の近くまで出迎えてくれた麗花にちよみを任せ、家に戻った南は、日下部に家の外へと連れ出される。一方のちよみは、麗花に橋の上へと連れて来られる。橋の観干にちよみを立たせ、「いまあなたが落っこちても何も変わらないのよね…」と言い出し、「消えて!」とちよみを置いたまま、その場を立ち去ってしまう……。
だが、家に戻った麗花のバッグにはちよみの姿があった。心配して待っていた竹子に、辛い自分の気持ちを吐き出す麗花。そんな麗花を優しく抱きしめる竹子。その頃、南は日下部に激しく詰め寄られていた。「なぜなんだ!! 答えろ、南!!」と追い詰められた南は……。
10話
「堀切をどこに隠した!?」と、日下部に激しく詰め寄られた南は、何も言えず、無抵抗で殴られるほかなかった。そんなふたりのやり取りを目撃した商店街の人たちから話を聞いた父・謙一は、息子の疑惑を晴らすため、納得するまで自宅を調べてほしいと日下部を呼び出す。
疑いを解いた日下部は、千次の心臓病が深刻な状態であることを南に打ち明ける。再度、発作を起こしたら命に関わると医師に宣告されているものの、千次がちよみの帰りを待って毎日、店を開けて頑張っているため、日下部も本当のことを告げることができないでいるというのだ。
早くしなければ2度と会うことができなくなってしまう……。千次の病状を知ったちよみは、ありのままの姿で会ってすべてを打ち明けようと決心。南も、ちよみの決意に賛成する。堀切鮨に向かう直前、ちよみは千次に電話で「優しい人と一緒に帰る」と連絡を入れる。
その直後、南はちよみをポケットに入れ、緊張しながら堀切鮨に向かうが、ちよみが家出をそそのかした男と帰ってくるものと思い込んだ千次は、先に店に来ていた日下部と南に向かって、「事情によっては、その男を殺して自分も死ぬつもりだ」と言い出した。怖くなった南とちよみは、いったん出直すことに。
困った南は、謙一から母・竹子の実家にはじめてあいさつに行ったときの思い出を聞き出す。「男にとって人生でいちばん大変な受験だが、本当に相手を愛していれば突破できる」と聞かされた南は、新たな決意を胸にもういちど店へ向かう。だが、そこに、千次の姿はなかった。
不審に思って探しに出かけた南とちよみは、千次が苦しそうに胸を押さえながらタクシーに乗り込むところを目撃。その様子にただならぬものを感じ、南は必死にタクシーを追いかける。車が到着した先は病院だった。千次は車を降りた途端、心筋梗塞の発作を起こして倒れこみ、昏睡状態に陥ってしまう。
このまま意識が戻らないかもしれないと聞いて、心配する南とちよみ。だが、幸いにも、千次の様態は快方に向かい、個室に移ることになった。南は日下部が病室を離れた隙に、ちよみを連れて病室へと入る。ちよみの声で目を覚ました千次に、南はちよみが書いた書を見せる。いきなり姿を見せて千次を驚かせてしまわないように、ちよみが書いた書だった。「おじいちゃん、会いたかった」という書の後に、16cmの姿を現したちよみ。最初は驚いたものの、元気なちよみの姿に安心した千次は笑顔を見せ、ふたりは久しぶりの再会に話に花を咲かせる。
ホッとした南はふたりを病室に残し、麗花と大原に見張りを頼み、手芸店へと走る。千次の夢が、ちよみの花嫁姿を見ることだったと聞いた南は、ちよみのウエディングドレスを作ることを思いついたのだ。四苦八苦しながら部屋で南が布を切っていると、桜が部屋にやってくる。「お兄ちゃんが困ってたら助けてあげなさいってお母さんに言われたの」と南を手伝う桜。
その頃、ちよみは千次から、ちよみの母・真理子が信じていたという“月下の泉”の本当の言い伝えを聞かされる ―― 満月の夜、“月下の泉”の前で、愛し合うふたりが心をひとつにして願い事をすると望みが叶う ―― 明日は満月。ちよみは南と“月下の泉”に行くことを決意する。病院へと戻って来た南は、徹夜でウエディングドレスを作り上げ、ちよみへと差し出す。
朝、千次が目を覚ますと目の前にはウエディングドレス姿のちよみがいた。南から「ちよみさんを僕にください」と言われた千次は、「ちよみのこと、どうかよろしくお願いします」と答える。そしてふたりは“月下の泉”へと向かった。
希望に満ちた思いでふたりが“月下の泉”に向かっていた同じ頃、千次に再び発作が起きてしまい……。
最終話
満月の夜、愛し合うふたりが心をひとつにして願い事をすると、望みが叶うという“月下の泉”に向かったちよみと南。だが、その頃、重い心臓病で入院中の祖父・千次は危篤状態に陥っていた。日下部は南に電話をかけるが、山奥のため、南の携帯は繋がらない。
昼過ぎ、月下の泉がわく山までやって来たふたりは、ひとまず近くにあった温泉旅館にチェックインする。夜まで時間があるため、一緒に温泉に入ることにしたふたり。ちよみは湯船の上に浮かべてもらったお椀の中で温泉を堪能して、大満足。だが、互いにちよみの身体が突然、元に戻ったときのことを想像して、のぼせてしまう。その後、ゲームセンターでは、ちよみが観光客から人形と間違われてヒヤヒヤする場面にも遭遇するが、ふたりは初めての旅行を満喫、楽しいひとときを過ごす。
そして夕方、ふたりはいよいよ旅館を出発し、山道をたどって、月下の泉を目指す。ようやく目的の泉に到着したふたりは、ちよみの体が16センチサイズになってからの、愛と波乱に満ちた日々を思い返すのだった。
そんなとき、月にかかっていた雲が流れ、泉の水面に満月が映った。ふたりが祈りを捧げようとしたその瞬間、不意に南の携帯電話が鳴り出す。千次の容体が急変し、今夜が峠だという日下部からの連絡だった。ふたりは、言葉には出さないものの、同じ思いで、千次の命を助けて欲しいと祈る。そのとき、千次の身体に変化が……!
再び日下部から千次が持ち直したという連絡を受けたふたりは、笑顔で旅館へと戻り、夕ご飯を満喫することに。部屋に戻った南は家に電話をかけ、帰ったら紹介したい人がいると母・竹子に伝える。そして、ちよみにプロポーズする南。ふたりは一緒の布団で一夜を過ごす。
翌朝、ちよみは宿帳に“南ちよみ”と書き、ふたりは宿を後にする。そのまま東京へと戻ったふたりは、千次の病室を訪れ、元の姿には戻れなかったものの、本当に心がひとつになったと告げる。
その頃、南家では、南家全員と麗花、大原が集まり、ふたりの帰りを待っていた。だが、ちよみと南は、“月下の泉”に置き忘れてしまったちよみのペンダントを取りに泉へと戻っていた。
泉からの帰り道、ふたりが乗った車は、猛スピードの車にぶつけられ、崖から転落してしまう。その瞬間、眠っていた千次が目を覚ました。枕元には、ちよみの母・真理子の姿が……。千次は、真理子の霊に“月下の泉”に連れて行って欲しいと告げる。
一方、転落してしまった車の中で、全身を強く打った南は身動きが取れないでいた。南はちよみだけでも助かって欲しいと、窓の隙間からちよみを外に出すが、助けを呼ぶものの誰にも気づいてもらえないちよみは、ふたたび車の中へと戻ってくる。ちよみは南のポケットへと入り、ふたりが覚悟を決めたそのとき、不意に後部座席のドアのロックが外れ、南の身体が車から転がり落ちた! その瞬間、車が爆発。同じ頃、千次は安らかな顔で息絶えていた……。
一週間後、千次の葬儀と偲ぶ会が行われた。気丈に喪主のあいさつをするちよみ。南は日下部から渡されたちよみへの手紙を読み上げる。「命はひとつ、その命をかけて、お前たちだけにしかつかめない幸せをつかみとれ」千次の暖かい言葉に、 ちよみの目から涙が溢れ出す……。
そして、三年後 ―― 東都大学のエースとなった南は、ポケットを縫いつけたユニフォームで走っている。もちろん、ポケットの中にはちよみの姿が。ちよみは南家で、通信書道教室を開いていた。麗花は医大生として、大原はテレビ局のADとしてそれぞれの道を進んでいる。「本当はこれって反則だよね?」走る南のポケットの中で微笑むちよみで……。