" 子どもたちの夏 チェルノブイリと福島 "
監督 田野隆太郎
あらすじ、ネタバレ御免
1986年4月26日(土曜日) 午後1時23分
旧ソ連ウクライナ共和国
チェルノブイリ原子力発電所4号機が爆発
大量の放射性物質が放出され
原発の町プリピャチや周辺地域に大きな被害を及ぼした
***
事故から日付が変わる頃
避難が必要と判り
ウクライナは1000台のバスを用意し
27日の11時 までにプリピャチに到着した
この時 キエフ州の幹部が プリピャチ周辺の村に
プリピャチの住人の 3日間の受け入れを要請した
避難はとても整然となされ
約5万人のプリピャチの住人が 近隣の村に4時間で避難した
母親たちは 3日で家へ帰れると思ったから
身分証だけを持ち 子どもを連れて出た
その夜 状況の解決は難しいと 分かった
町の洗浄は 結果を出さなかった
5月7日になって
子どもや妊婦を さらに安全な区域へ 避難させると決り
1ヶ月の予定で48万6000人の子どもたちを避難させた
11月になり 石棺が完成し 子どもたちは戻ってきた
事故では 520万TBqの放射性物質が漏れ出した
チェルノブイリの事故後
放射性ヨウ素を取り込みやすい子どもに
甲状腺ガンが増加した
これ以上被曝すると 確実に発癌するという基準値に
専門家の共通した見解はない
チェルノブイリの事故後
0〜18歳の子供たち 1万3000人を対象に
4段階のスクリーニング(被曝検査)を実施
1段階目のスクリーニングで
発見された甲状腺癌は
事故前の11.5件から 45件に増加した
そのケースは おもに放射能起因甲状腺癌の特徴の乳頭癌だった
事故後 福島では牛乳の摂取が禁止されたが
チェルノブイリでは禁止されなかった
被害に遭った母親の子どもは
ウイルスに冒されやすく 免疫システムが壊れている
プリピャチから30km圏内は避難区域で 人々は住んでいない
有刺鉄線があり 入ることは禁止されている
避難区域と接しているのがイワンコフ地区
事故で被害を受け 現在イワンコフに住む子どもたちは
健康改善のため 夏の間は保養所で過ごす
その子たちは 基本的には健康だが
免疫力の低下は感じられる
インフルエンザなどに罹りやすく 治療には長い時間を要す
甲状腺に問題がある
イワンコフには健康な子どもは ごく僅か いるか いないか
ほとんどの子どもが 消化器系の病気や
甲状腺の問題を持っている
原発を推進するために作られた町 プリピャチ
人口 約5万人
平均年齢 26才の若い町だった
25年を経過しても
30km圏内の立ち入りは制限され
チェルノブイリの使用済み燃料の冷却と監視は続けられている
ウクライナでは まだ
15機の原子力発電所が稼働している
***
日本政府は
緊急時迅速 放射能影響予測ネットワークシステムを
運用しながらも 爆発時に公表しなかった
爆発後 放射能雲が動き 風下の人々は被爆した
風向き試算を受け 3月下旬原子力安全委員会は
原発周辺の子供たち 約1000人に被爆調査を行った
審議官は“精密な測定が必要な子どもはいなかった”と述べた
福島県いわき市
原発の南40kmの町
県内の他の市町村に比べ放射線量が低い
事故のあった夏 中心地は
毎時0.18μSvの低線量地域になった
しかしながら 人に対する年間被爆量の国家基準
1mSvを超える値(1.6倍)である
7月下旬 市は独自に子どもの被爆限度を
0.3μSv/hに設定(国家基準の2.6倍)
その限度を超える幼稚園 小・中学校では
校庭の表土を除去すると発表
0.3μSv/hの数字が出てきた経緯は分からず
局所的に値が高くても平均が低ければ
除染は行わないらしい
この対応は
予算から逆算した結果らしい
9月より公園の除染は
1μSv/h以上の公園が対象となる(国家基準の8.8倍)
いわき市に住む親たちの間でも
放射性物質をどこまで心配すればいいか
考え方には温度差がある
何が正しいか誰も分からない
生き延びるのは誰か
チェルノブイリ原発事故から25年
その近隣の町を取材
福島原発事故から数ヶ月
その近隣の町を取材
取り敢えず
日本では原子力発電所を稼働すべきではない
事故が怖いから
だけじゃなく
放射性廃棄物を安全に保管できる場所がないから
福島原発事故から10年
壊れた原子炉を未だ冷やし続けている
放射性物質を含む水は溜まり続け
一時保管場所は満杯になりつつある
政府は廃炉の目安を30年後と言っている
専門家は100年〜300年と考えてる
溜まった放射性廃棄物は
海に捨てちゃおう と真面目に言ってる
海外でも もう捨てている
原子力発電所が稼働し続ける限り
電気はクリーンなエネルギーじゃない
電気自動車もクリーンじゃない
放射能を撒き散らす元凶
電気が足りず
原子力発電が必要と言うなら
しのごの言わず
CO²には目をつぶり
とりあえず火力発電に頼れ
2011年 日本映画 77分
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