" 海炭市叙景 "
監督 熊切和嘉
原作 佐藤泰志
音楽 ジム・オルーク
出演 谷村美月
小林薫
南果歩
加瀬亮
伊藤裕子
村上淳
あらすじ、ネタバレ御免
北海道南部の渡島半島の南部にある海炭市
小学校の国語の授業中
井川美月は家に帰される
海炭ドックで大規模な火災が起き 1人死亡2人重体
兄井川颯太も家に帰される
*
*
〈まだ若い廃墟〉
颯太と美月は2人暮らし
2人は海炭ドックに勤めている
進水式
海炭ドックは3基あるドックのうち1基を
老朽化を理由に閉鎖すると決定
大規模な人員削減が決定される
海炭ドック労働組合は無期限ストライキを敢行
ストはあっなく終了
組合執行部は退職金の僅かの上乗せで会社と妥協
颯太と美月はリストラされる
年越しの夜
お蕎麦には 2人で半分づつにしたかき揚げを乗せる
2人は夜景で有名な観光名所 海炭山(標高334m)に登る
(長崎 神戸と並び日本三大夜景に数えられる)
初日出を拝む
帰りのロープウェイ
片道1,000円
一人分しか買えない
颯太は遊歩道から歩いて帰る
車も走る4.2kmの下り道
普通なら歩いて45分程度
ロープウェイなら3分
先に着いた美月は兄颯太を待つ
何時間経っても 颯太は降りて来ない
***
〈ネコを抱いた婆さん〉
一軒家に1人暮らし猫を飼う老婆トキ
市場で野菜を売る
トキの住む町は合併で来年から海炭市になる
都市開発計画で周りの家は全部立ち退いた
トキの家にも役場職員(トキの甥)が再三 引越しの説得に来る
頑なに引越しを拒むトキだったが
飼い猫グレが姿を消す
*
〈黒い森〉
プラネタリウム技師の薫
客はまばら
妻果歩は夜から仕事
家事をする暇はない
2人の関係は冷めている
息子も薫と ほとんど口をきかない
果歩が連絡なく外泊する
浮気を疑う薫は 果歩から
偽物の星ばかり見てるから本当が見えなくなる
と 罵られる
尚も果歩の浮気を疑う薫は
果歩の勤めるスナックを見に行こうとして
男とタクシーに乗る果歩を目撃する
後を追おうとするが
車が雪にはまり動かなくなる
昔は親子3人で森の向こうへ
星を見に行ったこともあった
まだ3人は仲が良かった
*
〈裂けた爪〉
プロパンガス屋の社長加瀬
東京から来た博に勧められ
浄水器販売も始めた 全然売れない
加瀬は亭主関白
ストレスが溜まる妻勝子は息子を虐待
加瀬は元同級生の裕子と不倫している
加瀬は父から浄水器はやめれ 強く反対される
父は先代社長 影の権力者
加瀬からすれば目の上のたんこぶ
加瀬は息子の体に痣を発見
虐待を知り妻勝子を殴る
逆に妻は裕子とのことを責める
加瀬はボンベを足の上に落とし指を潰す
配達先のアパートのヤクザに応急処置をしてもらう
勝子による虐待は止まらない
加瀬は息子を父に預けようと思う
*
〈裸足〉
路面電車
運転手の達一郎は
東京に出て行った息子博を市内で見かける
海炭市も年末の帰省ラッシュ
博は家には帰らずホテルに泊まる
親父とは仲が悪い
博はポン引きに引かれてスナックで飲む
田舎のスナックは歳のいった女が
緩い話で勝手に盛り上がってる
悪酔いした一見さんを
常連村上が追い返す
大晦日も達一郎は路面電車を運転
路面電車には薫も果歩も乗る
路面電車には加瀬も息子と乗る
博は墓参り
父と遭遇
同じバスで帰る
違う停留所で降りる
行方不明となっていた井川颯太が遺体で発見される
崖から滑り落ちた
博は青海連絡船に乗り海炭を去る
*
トキ婆さんはまだ引っ越さない
猫のグレがお腹が大きくなって帰って来る
1990年に41歳で自殺した
佐藤泰志の短編集からの
5話のオムニバス
5話とも暮れから新年にかけて
物語はなにも語らず
架空の町海炭市が舞台
海炭市のモデルは函館市で
撮影も函館市で行われた
安曇野も
都市ガスがないので
プロパンガスを使っている
全国的には
プロパンガスを使っているのは35%
水道水がそのままで美味して所では
浄水器は売れない
安曇野でも浄水器は売れない
2010年 日本映画 152分
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