" しなの川 "
監督 野村芳太郎
出演 由美かおる
朝田竜吉
沖島雄介
大正四年十二月
雪の夜 十日町
赤子を抱いた奥様が高野家に戻って来る
赤子の名前はかおる
信州信濃の西の端 槍ヶ岳に端を発する梓川は
安曇野で犀川と名前を変え北東に流れ信濃北部で
甲武信岳から信濃東部を流れて来きた千曲川に流れ込む
千曲川は更に北東に流れ 新潟県に入り 名前を信濃川に変える
信濃川の歴史は そのまま沿岸住民の受難の歴史であった
こよなく優美なこの川が
長雨の後や 雪解けの季節になると
しばしば恐ろしい氾濫を起こす
それは慎ましく内に秘めた乙女の情熱が
突然 鮮烈なほとばしりを見せる姿にも似ていた
***
昭和四年秋
朝田家は出水で畑を流されて
竜吉を絹織元の高野様に奉公に出す
高野様のお嬢様かおる
竜吉はかおるに初恋をする
かおるは川で水浴びをする
蛇に驚いて竜吉に全裸で抱きつく
恋が芽生える
*
かおるは長岡の女学校に転校させられる
教師で共産党の活動家沖島と恋に落ちる
竜吉はどうでも良くなる
*
かおるは十日市に帰される
沖島はかおるとの結婚を彼女の父に申し込みに来る
断られる
かおるは沖島と駈け落ちする
処女をあげる
あげたらどうでもよくなり 沖島と別れる
十日町へ帰る
竜吉と信濃川に身投げ心中する
２人とも死に切れず
*
かおるは佐渡で
鬼太鼓を見たり 平根崎や春日崎や相川や宿根木を観光する
昔 自分を捨て番頭と駈け落ちした母に会う
小汚い小料理の疲れた女将になっていた
昭和四七年春
かおるは父が選んだ金持ちのぼんぼんと結婚する
めでたし、めでたし
慎ましい乙女の情熱は
突然 鮮烈なほとばしりを見せるので
こよなく優美な信濃川の
氾濫くらい恐ろしい、、、らしい
しかもそれは
定期的にしばしば起こる、、、らしい
由美かおる 23歳の時の作品
ぴちぴちの裸体が美しい
1973年 日本映画 91分
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