「 風の谷のナウシカ 」 | 0・・映画toほげほげ

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♪ ほげほげたらたらほげたらポン ほげほげたらたらほげたらピー ♪
★映画のほげほげ等、気まぐれ備忘録★

  " 風の谷のナウシカ "


監督 宮崎駿
音楽 久石譲


 ユーラシア大陸の西のはずれに発生した産業文明は
 数百年のうちに全世界に広まり
 巨大産業社会を形勢するに至った
 大地の富を奪い取り 大気をけがし
 生命体をも意のままに作り変える巨大産業文明は
 1000年後に絶頂期に達し
 やがて急激な衰退をむかえることになった
 「火の7日間」と呼ばれる戦争によって
 都市群は有毒物質をまき散らして崩壊し
 複雑高度化した技術体系は失われ
 地表のほとんどは不毛の地と化した
 その後産業は再建されることなく
 永いたそがれの時代を人類は生きることになった
 
 錆とセラミック片に覆われた荒れた大地に
 腐海と呼ばれる有毒の瘴気を発する菌類の森が広がり
 衰退した人間の生存を脅かしていた

海からの風に守られ
かろうじて自然の残る風の谷
腐海のほとりにある その谷にも
腐海の毒は徐々に近づきつつあった

その谷には古くからの伝承があった

 其の者 青き衣をまといて
 金色の野に降り立つべし
 失われし大地との絆を結び
 遂に人々を青き清浄の地に導びかん


腐海の森を探索する風の谷の族長の姫君ナウシカ
マスクを外せば5分で肺が腐るその森に
そこはかとない美しさを感じ立ち尽くす

王蟲の悲鳴を遠くで聞いたナウシカ
$0・・映画toほげほげ-王蟲
腐海の謎を探るため旅をし
1年半ぶりに帰って来たユパを
暴走した王蟲から救う

ユパが到着した数日後
トルメキア軍から逃れた商船が
風の谷のはずれに墜落する
その飛行船には未成熟な巨神兵が積まれていた・・・



   文明社会による自然の破壊
   牙をむく自然、自然の逆襲
   克服か共存か、破壊か修復か

   且つて自然の一部だったはずの人間
   人間は自然を超えたのか
   人間は自然に拒絶されたのか

   自然に拒絶された人間は滅ぶべきか
   人間は地球上で増え過ぎた癌細胞か


   ジブリがその後何回も取り上げたテーマ
   まだジブリが設立される前のジブリ映画

   公開時に大して期待せずに見に行き
   予想に反して面白く2回続けて見た
   この頃はどの映画館も一度入れば
   何回でも好きなだけ見れた


 $0・・映画toほげほげ-風の谷のナウシカ


1984年 日本映画 116分



   原作の漫画が完結したのは
   映画公開の10年後
   登場人物も多く、かなり複雑

   $0・・映画toほげほげ-風の谷のナウシカ


   巨大芋虫王蟲を愛するナウシカ
   毛虫芋虫を愛する虫めづる姫君

   平安時代に書かれた堤中納言物語
   その中に登場する虫愛ずる姫君
   ナウシカのモデルとなった姫君

   自然が一番よ、と
   眉も整えない変わり者

   今でも眉を整えない女性は変わり者か ?
   ナウシカも眉は細いな、抜いてるのか ?



むしめづるひめきみ


蝶めづる姫君の傍らに、あせちの大納言の御むすめ
心にくゝなべてならぬさまに、親たちかしづき給ふこと限りなし

此の姫君ののたまふ事
 人々の花蝶やと愛づるこそ、はかなくあやしけれ
 人は誠あり、本地訪ねたるこそ、心ばへおかしけれ
とて、よろづの虫の恐ろしげなるを取り集めて
 これが成らんさまを見ん
とて、様々なるこ箱どもに入れさせ給ふ
 中にも、かは虫の心深きさましたるこそ、心にくけれ
とて、明け暮れは耳はさみをして、手のうらにそへふせてまほり給ふ

若き人々は、怖ぢ惑ひければ、
をのわらはの物怖ぢせず、言ふ甲斐なきを召し寄せて
箱の虫どもを取らせ
名を問ひ聞き、いま新しきには名をつけて興じ給ふ

 人は繕ふ所あるはわろし
とて、眉さらに抜きたまはず、歯黒め
 更にうるさし、汚し
とて、着け給はず
いと白らかに笑みつゝ、この虫どもをあした夕べに愛し給ふ

人々怖ぢわびて逃ぐれば、その御方はいとあやしくなん罵りける
かく怖づる人をば
 けしからずばうそくなり
とて、いと眉黒にてなん睨み給けるに、いとゞ心地なん惑ひける

親たち
 いとあやしく、さま異におはするこそ
とおぼしけれど
 おぼしとりたることぞあらんや、あやしきとそと思て聞ゆることは
 深くさいらへ給へはいとぞかしこきや
と、これをもいと恥ずかしとおぼしたり
 さはありけんおとき聞く、あやしや人は
 見目をかしき事をこそ好むなれ
  むくつけげなるかは、虫を興ずなる
 と、世の人の聞かんもいとあやし
と聞こえ給へば
 苦しからず、よろづの事どもを訪ねて
 末を見ればこそ事は故あれ、いと幼きことなれ
 かは虫の蝶とはなるなり
そのさまのなり出づるを取り出でゝ見せ給へり
 絹とて人の着るもの、蚕のまだ羽つかぬにし出たし蝶になりぬれば、
 糸もそでにてあたになりぬるをや
とのたまひに、言ひ返すべうもあらず、あさまし

さすがに親たちにもさし向かひ給はず
 鬼と女とは、人に見えぬぞよき
と案し給へり
母屋の簾を少し巻き上て、几帳へたてゝ
かくさかしく言ひ出だし給はりけり

これを若き人々きゝて
 いみしくさかし給へと、心地こそ惑へ、この御遊びものよ
 いかなる人 蝶みづる姫君につかまつらん
とて、兵衞といふ人

 いかで我れとかむかたないくしかなかはな虫なから見るわざはせし

と言へは、こたいふといふ人笑ひて

 うらやまし、花や蝶やと、言ふめれど、かは虫くさきよを見る哉

など言ひて笑へば
 からしや眉はしも、かは虫だちためり、
 さて歯くきこそ皮のむけたるにやあらん
とて、左近といふ人

 冬くれば、衣たのもし、寒くとも、かは虫多く、見ゆるあたりは
 きぬなど着てともあらなんかし

など言ひ合へるを、とかとかしき女きゝて
 若人たちは何事言ひおはさうするぞ
 蝶めで給なる人も、もはらめでたうもおぼえず
 けしからずこそおぼゆれ
 さてまた、かは虫並へ蝶と言ふ人ありなんやは
 たゞ、それがもぬくるぞかし
 そのほどを訪ね給ぞかし
 それこそ心深けれ
 蝶はとらゆれは手にきもつきて、いとむつかしきものぞかし
 又蝶は捕ふれば、わらは病みせさすなり
 あなゆゝしともゆゝし
と言ふに、いといと憎さまさりて、言ひ合へり

この虫ども捕ふるわらはべには、おかしきもの
かれが欲しがるものを賜へば
さまざまに恐げなるなる虫どもを取り集めて奉る
かは虫は毛などはをかしげなれど、おぼえねばさうざうし
とて、いぼしり、蝸牛などをとり集て
歌ひのゝしらせて聞かせ給て、われも声をうち上げて
 蝸牛の、あいのり争ふやなぞ
といふ事を、うちずんし給、
わらはべの名は、例のやうなるはわびし
とて、虫の名をなんつけ給たりける

けらをひくさまろいなかたち、いなごまろ
あまびこなんなとつけて召し使ひ給ける

かゝること世に聞えて、いとうたてあることを言う事に
あるかんだちめのおほむこ、うちはやりて物怖ぢせず
愛敬つきたる事あり
この姫君のことを聞て
 さりともこれには怖ぢなん
とて、帯の端のいとおかしげなるに、くちなはのかたをいみしく似せて
動くへきさまなどしつけて、いろこたちたるかけ袋に入れて
結びつけたる文をみれば

 這ふ這ふも、君があたりに、従はん、長き心の、限りなき身は

とあるを、何心なく御前に持て参りて
 袋など開くるだに、あやしく重たきかな
とて、引き開けたれば、くちなは首をもたげたり
人々心を惑はしてのゝしるに、君はいとのどかにて
 南無阿弥陀佛、南無阿弥陀佛
とて
 生前の親ならん、な騒ぎそ
と、うちわなゝかし顔をかやうに
 なまめかしきうちしも、けち縁に思はんぞ、あやしき心なるや
と、うち呟きて、近く引き寄せ給もさすがに恐ろしくおぼえ給ければ
立ちどころ居ところ蝶の如く声蝉声にの給ふ声の
いみしうおかしければ、人々逃げ騒ぎて
笑ひいれば、しかじかときこゆ

 あさましく、むくつけき事をし、聞くわざかな
 さるものゝあるを見る見るみな立ちぬらんことぞあやしきや
とて、おとゝ太刀を引き下げてもて走りたり、
とく見給へば、いみじうよく似せて作り給へりければとて手に取り持て
 いみじう物よくしける人かな
と、
 かしこがり褒め給と聞きて、したるなめり
 返事をして、早くやり給てよ
とてわたり給ぬ

人々作りたると聞きて
 けしからぬわざしける人かな
と言ひ憎み、
 返事せずは、おぼつかなかりなん
とて、いとこはく、すくよかなる紙に書き給
仮名はまだ書き給はざりければ、片かんなに

 契りあらば、よき極楽にゆきあはん、まづ越にくし
 虫の姿は福地の園に

とある

うまの佐み給て、
 いとめづらかにさ、まことなる文かな
と思ひて
中將と言ひ合はせて、あやしき女どもの姿を作りて
あぜちの大納言のいで給へる程におはして、姫君のすみ給ふかたの
北おもてのたてじとみのもとにてみ給へば
をのわらはの、ことなることなき草木どもにたゝすみあるきて
さて言ふやうは
 この木にすべて、いくらもありくは、いとおかしきものかな

 是御覧ぜよ
とて、簾を引きあげて
 いとおもしろきかは虫こそ候へ
と、言へば、さかしき声にて
 いと興あること哉、こち持てこ
と、のたまへは
 取わかつべくも侍らず、たゞ爰もとで御覧ぜよ
と、言へばあらゝかに踏みて出づ

簾をおし張りて枝を見はり給をみれば、かしらつきぬきあげて
髪もさがりは清げにはあれど、けづりつくろはねばにや
しぶげに見ゆるを、眉いと黒くはなばなと鮮やかに涼しげに見えたり
口つきも愛敬づきて清げなれど、歯黒めつけねばいと世づかず
 化粧したらば清げにはありぬべし、心憂くもあるかな
と、おぼゆ
かくまでやつしたれど、見にくしなどはあらで、いとさまことに
鮮やかに気高く 華やかなるさまぞあたらしき
ねり色の綾のうちぎひとかさね、はたおりめのこうちぎひとかさね
白き袴を好みて着給へり

この虫をいとよく見んと、思ひて、さし出でゝ
 あなめでたや、日にあぶらるゝが苦しければ
 こなたざまに来るなりけり
 これを一も落さで追ひおこせよ、わらべ
と、のたまへば、突き落せば、はらはらと落つ、
白き扇の墨黒にまなの手習ひしたるをさし出でゝ
 これに拾ひ入れよ
と、のたまへば、わらはべ取り入づる
みな君だちもあさましう
 さへなんあるわたりにこよなくもあるかな
と、思ひて、この人を思ひて
 いみし
と、君はみ給ふ

わらはへのたてる、あやしと見て
 かのたてじとみのもとに添ひて
 清げなる男の、さすがに姿つきあやしなげなるこそ、覗きたてれ
と、言へば、このたいふの君と言ふ
 あないみし、御まへには例の虫興じ給とて、あらはにやおはすらん
 告げたてまつらん
とて、参れば、例の簾のとにおはして
かは虫のゝしりて、はらひおとさせ給

いと恐ろしければ、近くは寄らで
 入らせ給へかし、あらはなり
と、聞えさすれば、
 是を制せんと思ひて言ふ
と、おぼえて
 それさばれ、もの恥づかしからず
と、のたまべば
 あな心憂、そらごとゝおぼしめすか
 そのたてじとみのつらに、いと恥づかしげなる人侍なるを、
 奥にて御覧ぜよ
と、言へば
 けらをかしこに出て見て
と、のたまへは立ち走りていきて
 まことに侍なりけり
と、申せは立ち走り、かは虫は袖に拾ひ入れて走り入給ぬ

たけだちよきほどに、髪もうき斗にていと多かり
すそもそがねばふさやかならねど、とゝのほりて、中々美しげなり
 かくまであらぬも、世の常ことさまけはひもてつけぬるは
 くちをしうやはある、まことにうとましかるべきさまなれど
 いと清げにけだかうわつらはしきけぞことなるべき
 あな口をし、などかいとむくつけき心なからん
 かばかりなるさまを
とおぼす

うまの助
 たゞ帰らんはいとさうざうし、見けりとだに知らせん
とて、たゞう紙に草の汁して

 かは虫の、毛深きさまを、見つるより、とりもちてのみ守るべき哉

とて、扇して打ち叩き給へば、わらはべ出で来たり
 これ奉れ
とて、取らすれば、たいふの君といふ人
 このかしこに立ち給へる人の、御前に奉れとて
と、言へば、取りて
 あないみじ、うまの佐のしわざにこそあめれ
 心憂げなる虫をしも、興じ給へる御顔を見給ゐつらんよ
とて、さまざま聞ゆれば、いらへ給事は
 思ひとけはものなん恥づかしからぬ
 人は夢まぼろしのやうなる世に、誰かとまりて
 あらき事をも見、善きをも思ふべき
と、の給へば、言ふ甲斐なくて、若き人々、おのがじし心憂がりあへり

この人々返事やはあるとて、しばし立ち給へれど
わらはべどもみな呼び入れて
 心憂し
と、言ひあへり
ある人々は心つきたるもあるへし、さすがにいとをしとて

 人に似ぬ、心のうちはかは虫の、名をとひてこそ、言はまほしけれ

うまの佐

 かは虫にまぎるゝまへの毛の末に、あたるばかりの人はなき哉

と、言ひて笑ひて返りぬめり