さて、ガス抜きのつもりで始めた走行会でしたが、当時のレギュラーメンバーはそんなことで大人しくなるようなタマではなく(笑)。
「ラップタイム」という数値化されたものがあったために、その内容はだんだんヒートアップしていきます。
スポットイベントのはずがたちまち定例化。
そして月例化。
さらに平日開催の「裏バージョン」までやってしまう、つまり月二回開催という異常な事態に突入するのであります。
ついには競技専用のハイグリップタイヤ、「Sタイヤ」を持ち込むツワモノまで現れる始末。いや、あのグリップ力は脅威でした。
んで、ワタクシはといえば、速いのはクルマのせい。という評価を覆すため、ハチロクを導入。しかも筑波プロダクションレースで使われていたマシンであります。
あ、トヨタ86じゃないですよ。昭和58年式のAE86です。
いやーこれは強烈なマシンでありました。
それまでは馬力命、4WD最強信者だったワタクシがあっさりコンパクトスポーツ教に宗旨替えしたほどの洗脳力だったのであります。
まぁ、免許がごにょごにょになったりした影響もありますが。
そして唐突に日光サーキットからお達しが。
「オープンカーはちゃんとしたロールバーつけてねん」
……まぢすか。
いや、これは正直困りました。
当時、ロードスターはエントラントの主力車種。
彼らにこの件を打診すると「いや、それは流石に……」と渋いお返事。
事故があったが故のお達しだったらしいですが、ちゃんとしたロールバーってのはフロアに穴開けないとつかないんすよ。
フロアに穴開けちゃうと、売るときにえらいことになるんですよ(当時は)。
荷物も載らなくなるし、開放感もそがれる。
しかも、それなりに高いし、競技屋さん以外で着けてくれるところないし、競技屋さんは敷居高いし。結構ピンチ。
サーキット側にフープの高さが確保されてるファッションバーじゃダメなの? と打診してみたところ「製品によって強度のばらつきがありすぎるのでダメ」とのお答え。
確かにその通りであります。
ロードスターって結構転がるですよ。バックストレートのあっちやこっちで。
で、オープンのままゴロゴロ転がられると、乗員が放り出されたり首もげちゃったりと大変なことになるので、「ロールバー必須」を掲げたサーキット側の判断は非常に賢明だったと思います。
しかし、それと自分のクルマにロールバーを着けるかどうかってのは別のお話。
「走行会は激しく楽しいけど、そこまでしてやるもんじゃない」
というのがオーナー諸氏の見解でありました。
というわけでロードスターオーナーがごっそり抜けたことでエントラント数は激減。
当走行会は存続の危機に立たされたのであります。
また続く……