CS・ケーブルTVの契約者数 | プロ野球の視聴率を語るblog

CS・ケーブルTVの契約者数

前回はBSチャンネルの視聴率の動向についての検討で、BSにおける野球中継の視聴率はここ数年では特に増加しているわけではなさそうという話でした。

 

今回はその他の有料チャンネル、特にスカパーとケーブルテレビについてのデータを調べてみます。

 

スカパーの加入状況は衛星放送協会のサイト に載っています。スカパーとプレミアムサービスの違いは、簡単に言うと機械の違いというだけで「ほぼ似たような別のもの」ですので、両者の合計がスカパーの契約者数と言ってよいでしょう。

ケーブルテレビについては「ケーブルテレビ業界レポート」 (PDF)の8ページに多チャンネルサービスの加入者数の推移が出ていました。インターネット接続サービスのみの契約者は含まない、「ケーブルテレビを見られる環境にある世帯」の数といってよいと思います。

 

数字のみこちらにまとめておきます。ケーブルのデータが2006年以降なのでそこからで、スカパーの方の数値は千の位を四捨五入しています。

 

 

有料チャンネル加入者数

  スカパー ケーブル 合計

06 3560000 6270000 *9830000

07 3580000 6650000 10230000

08 3570000 6860000 10430000

09 3580000 6970000 10550000

10 3620000 7310000 10930000

11 3700000 7650000 11350000

12 3730000 8000000 11730000

13 3630000 7590000 11220000

 

 

スカパー、ケーブルとも2012年までは増加してきている(スカパーは横ばいな気もしますが)のですが、2013年に減少に転じているように見えます。2006~7年ごろからは合計で100万世帯ほど増えているでしょうか。(スカパーとケーブルの両方に加入する人は考えないことにします)

 

ところで、関東地区でのナイター中継の視聴率(年間平均と3・4月)の推移を再掲しておきます。

 
HUT1

 
3・4月

 

巨人戦ナイターの3・4月平均視聴率は、06年が12.7%、07年が10.9%で、13年は9.7%、14年は8.4%となっています。近年のナイター中継の「年間平均視聴率」は、数字の取れない夏以降の中継を削減しているので下げ止まっているように見えますが、実際の視聴率はまだまだ低下傾向が続いていると言えます。

 

ナイター中継の視聴率の低下に対して「有料チャンネルで見るようになった人が増えただけで、野球人気自体は下がっていない」という反論があります。今回、いろんな数値が出たのでそれについて考えてみましょう。

 

まず、ビデオリサーチの視聴率調査について、関東地区の世帯数は1800万世帯、人口は4000万人となっています。世帯視聴率1%当たりで18万世帯です。

 

 

 

<00年~06年の年間平均視聴率低下>

 

関東地区におけるナイター中継の年間平均視聴率(最初のグラフです)は、00年に18%だったものがどんどん低下して、06年に10%となりました。この減少分が8%=およそ150万世帯で、06年時点で有料チャンネルの加入世帯数はおよそ1000万世帯(00年時点でどの程度かは不明)です。

つまり、有料チャンネルの所有者が全員関東地区に住んでいて、そのうち6分の1(視聴率16%!)ほどが野球中継を見ていれば地上波放送の減少分をカバーでき「テレビでプロ野球を見る人は減っていない!」といえることになります。(しかもその熱心なファンたちはなぜか00年以前は有料チャンネルでプロ野球を見ていなかったようです)
 
上記は一番野球にとって楽観的な見方をしてみたのですが、実際には「有料チャンネルの所有者が全員関東地区に住んでいる」という前提は無理があります。関東地区の人口が4000万人なのでざっと日本全体の3分の1ですね。有料チャンネルの所有者のうち、関東地区に住んでいる人も3分の1=06年時点で330万世帯と考えてみましょう。00年→06年のナイター中継の視聴率減少分8%=150万世帯を補うためには、330万世帯のうちおよそ半分の世帯が有料チャンネルでプロ野球中継を見ている必要があります。視聴率50%!毎日がワールドカップですね!

 

 

 

<06年以降の中継試合数・視聴率低下>

 

有料チャンネル契約数ですが、06年から13年にかけて140万世帯ほど増えています。この間、3・4月の「まだナイター中継をやっている期間」における月間平均視聴率は06年は12.7%、13年が9.7%と、3.0%低下しています。世帯数にすると3.0%は50万世帯ほどと推定されるので、この間に加入した140万世帯がなぜか全員が関東地区在住で、そのうちの3分の1以上(視聴率33%)が有料チャンネルで野球中継を見た場合に「テレビで野球を見る人は減っていない」と言えることができます。

 

当然ですがここでも「新規に有料チャンネルに加入した人が全員関東地区在住だった」なんてことはないので、やはり人口比で3分の1と考えますと関東地区での有料チャンネル増加分は50万世帯…。つまり新規に加入した人が視聴率100%=全員、全ての試合、最初から最後まで野球中継を見ていたぐらいでようやく「テレビで野球を見る人は減っていない」といえることになります。ちなみに僕の知っている限りで100人ほどこの期間にスカパーに加入した人がいますが、野球中継は見ているのは誰もいないか、いても一人ではないかと思いますw その一人だって毎日見てはいないでしょう…。

 

 

 

<まとめ>

 

BSチャンネルにおけるナイター中継の視聴率は、巨人戦でも2%程度、他球団はもっと低くて数字が判明しないぐらいでした。有料チャンネルは自らの意志で加入するためもう少し高いとは思いますが、さすがに50%とか100%とかまで行っているはずもないでしょう。というわけでまとめますと、

 

 

・ナイター中継について「地上波の視聴率が下がった分、有料チャンネルで見る人が増えている」と言うためには、有料チャンネルでの視聴率が50~100%になる必要があり、無理がありすぎる

 

 

と言えると思います。ところで、もちろん50%とか行ってるはずもないと思うのですが、実際はどの程度なんでしょうね?自分の(サッカーに対してですが)視聴行動から考えるとファンですら10%は行かないと思いますし、ファン人口の比率を考えるとやっぱり2-3%程度なのかなと思うのですが…