バージン舌へ、リセットのすすめ、と、なぜ塩分ひかえめなのか? | Keep a journal @ 山脇りこ/Riko's Kitchen

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日々の、食、衣、住、旅、好きなことをつづっています。


先週、新刊が出ました。
私自身が意識している、ゆるやかな糖質オフと、
塩分ひかえめ、の毎日のごはんのレシピを集めました。




私の料理というとおこがましいのですが、
いつも、5味をできるだけ食材からとりたいとおもっています。
その分、調味料は、種類も量も少なく。
基本的に、調味料は、(さ)しすせそ、
塩、酢、醤油、味噌、甘みはみりんか、醸造酒か、蒸留酒で。
砂糖は使う場合は、黒砂糖を使うことが多いです。
+スパイスとハーブかな。
いわゆる複合調味料?的なものを使うことはほとんどありません。

コチュジャンやマヨネーズ、トマトピューレを使う場合もありますが、
これは私の場合、自分で作っています。
市販のものでももちろんいいと思いますが、
そうそう毎日使うものではないですよね。

まいにちのごはんでは、さしすせそ、で十分かな、と思います。

そんな日々のごはんの中で、
今回の本では、
35歳を過ぎてから意識している糖質のことと、
40歳を過ぎて意識している塩分のことを伝えたいなと思いました。

そこでまず、なぜ塩分か?のお話。

今日も、コンビニで、
スープ濃いめ!というキャッチコピーのついたカップ麺を見て、
うーむ、このキャッチを魅力的だと感じる人がいるんだなあ、と思いました。
そう、濃い味に馴染むのは、ほんとうにあっという間だと思います。
しかし、あなた、戻るのは大変ですわよん。

でも、仮にこれまで、人に言えない食生活をしていた人も、
40歳というのは節目で、
老化を自ら感じることができますから、それをきっかけに、
自分の舌をリセットするチャンスだと思います。

私は、そこまでフード左翼ではないので、笑、
オール有機栽培とか、完全無添加生活を
上から語ったりするつもりは全くないのですが、
ともかくは、健康に、100歳くらいを目指すなら、
40歳くらいから手を打った方がいいかな、と思うのです。

食生活で、どんな手を打つかというと、
サプリとか、健康になる1食品の摂取とかではなく、
まずは、舌をリセットすることをおすすめしたいのです。

素材の味を好きになるというと、格好良すぎですが、
まあ、そういうことです。

中でも、強い味の野菜や、強い味の肉や魚は感じられるけど、
それ以外、
たとえば昆布やかつおのだしの滋味、
新ジャガの持つ香りや、新米の味わいや、
そんな微妙な味の愛おしさを感じられるような舌にもどそうよ、ってことです。

いつも、だしの教室で感じますが、
誰もが、いちばんだし(塩も何も入っていない)を味見すると、
おいしい、これだけでいいと言います。
また、赤ちゃんが、一気飲みするという話も。
昆布水は、母乳の成分に近いのですが、
一時期、あれだけを私たちはごくごく飲んで育っています。
さらに、離乳食は、塩分控えめで、にんじんをつぶしたり、じゃがいもをつぶしたり、
つまり、食材の味を、旨味を味わっているってことですよね。

そんな、バージン舌に戻していくことを、
少し意識しながら暮らしはじめたらいいのかなと思います。
それは決して節制ではなく、制限でもなく、
また新たに、おいしいワールドが広がる、楽しいことでもあると思います。

特に、塩分を意識し始めると、
舌のリセットがしやすくなると、私は思います。

本でもおすすめしていますが、
病気の方以外は、毎回、計量しないですよね?
特に毎日料理している方はしないでしょう。私もしません。
そこで、塩を小さな瓶に、大3とかいれておいて、
自分がどのくらい使っているかを概ね把握しようと思いました。
5年ほど続けています。
もともと少なめと思っていましたが、
それでも、はじめは、結構、使ってるな~と思いびっくり。
だんだん、だいたい、このくらい塩入れたら、こんな味なんだ!と、
うちのごはんは、舌のリセットをしました。

そのうえで、外で食べた味と比べてみると、
きっと、一抹の不安を感じるんじゃないかな、と思います。
まずは、その、不安が、あれば大丈夫だと思うのです。
だんだん、スープ濃いめ・・と書いてあったら、
30メートルくらい引く(いわゆるどん引き)ようになるはずなので。

さらに、私が、塩分は控えめにしてちょうどいい!と思う理由は母なのです。
80歳近いけど、血液検査してもまったく異常があったことがない母が
食の先輩だと思っていて、彼女から、いつもいつも、
それこそ、電話でも、会ったときも、言われ続けているのが、
塩分ひかえめ、なのです。

わが母方は、高血圧の家系です。
祖父が高く、それが起因して亡くなり、
母の兄弟姉妹みんなが、60歳を過ぎてからは、血圧の薬を飲んでいます。
特に、叔母二人は、動脈瘤を抱えていて、
1人は最終的にはそれが原因で亡くなりまたした。

血圧が高いいってだけで死ぬ人はいないかもしれないけど、
そこを甘く見ていると、いろんな病気になる・・・というのが母の持論。
しかも、
『今は低くても、必ず、50歳を過ぎたら、あなたの血圧は高くなる!』と、
まるで占いのように言われ続けています。

というのも、すっと低血圧だった母は、50歳を機に高めに転じて、
あれほど気をつけていたのに、血圧の薬を飲むこととなり、
70歳まで高めだったからです。(今は正常に。)

そんなこともあり、血圧コンシャスな家で、
母はことあるごとに、塩分、塩分、と。

最近はいろいろな説があり、
塩分控えめを疑問視する方の報告も読んだことがあります。
とはいえ、これだけ長きに渡って、減塩が言われているということは、
きっと、意識すべきなのはまちがいないでしょう。

特に、女性は50歳前後で、ホルモンのバランスが変わるので、
体質そのものも変わるのかなと思います。
私も、そこへ近づく中、いろんな変化を感じています。

母からも話すたびに、とにかく、食生活よ、塩分!と、笑。

そんなわけで、これまでも意識はしていましたが、
先に書いた、小瓶に調味料ってことで、
5年くらい前から、特に見直しました。
まずは意識すると、身体の変化はてきめん。
外食が続くことがないようにしている私も、
旅の後など、改めて、強く感じるようになりました。

とはいえ、元気な私たちとしては、なかなか切実にはなれないですよね。
なので、まずは、味を意識することから、はじめてはどうかな、と思うのです。

これくらいお塩が入っていたら、こんな味なんだな、とか。
そして舌のリセットのためにも、
その料理に入っているひとつひとつの食材の味が、ちゃんとしているかどうか?
ちょっと意識してみる。
にんじんも、じゃがいもも、
醤油と砂糖の味しかしない肉じゃがになってる???んじゃないか?とか。

あるいは、塩を味噌に置き換えてみるとか。
例えば、同じ小1でOKだったら、味噌の方がぐっと塩分控えめです。
塩小1より、味噌大1の方が、塩分控えめですよ。

たぶん、そんなことを少し意識し始めるだけで、
いろいろ変わってくると思います。

今回の本で紹介したポテトサラダを作ってくださった方が、
はじめは、塩があまりに入っていないから、
これはおいしくないだろうと思ったら・・・ジャガイモの味をしっかり感じておいしかった!と。

それです、それ♪

トマトの旨味も助けになって、アボカドの食感も助けになって、
きっと満足できると思います。

そんな気持ちで、ご紹介したい料理を集めました。

ってことで、今日から、塩分コンシャスに、
舌のバージン化計画、どうでしょう?

★『かる塩かる糖 料理帖』(小学館)
http://goo.gl/SNlFNQ


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