坪内逍遥と二葉亭四迷らの言文一致運動以降=近代に物語形式で書かれた文学を主に「小説」と呼び、それ以前の物語文学については、広義にはそうだが狭義には違う、ということは前述 した。

「例是」も、ただ単に「レーゼシナリオまたはレーゼドラマ」というだけでなく、「個像化 を背景とした劇文学」と再定義することも出来る。どこで区切ってもいいのだが、公立図書館にビデオソフトが入った90年代半ば頃としてもよいし、邦楽CDより安い2500円のDVDが出た今世紀初頭(イーストウッドの『スペースカウボーイ』の価格を聞いて私が驚いたのがその頃)あたりを紀元とするのもよかろう。それ以降に書かれた劇文学なら何でも例是か、というとそうでもない。例えば、映画もテレビもDVDも見ないで舞台演劇ばかり観てる人が、今年あたりに舞台脚本書いてそれが文学性を帯びたとしたら、それは従来の「戯曲」である。書き手が個像化を当たり前の前提として書いている(そして、そのことが文章の表層上に顕現している)劇文学が例是だと。こういう定義もありかな。