私の趣味は「散歩」
20代のころはよく海外旅行にも行っていたが
最近は国内でも、家の近くでも
いい所があるんだなあと発見し、
歩くのは苦にならないので
よく近くを散策して、お気に入りの場所を見つけていた。
彼とのデートも、だいたいいつも散歩。
この日は、とあるお城を見て、その近辺を散歩した。
彼、りょうさんはべたべたとスキンシップするのが好きで
必ずりょうさんのほうから手をつないで歩く。
今日はそれプラス、人気のないところで、私の手を取って手にキスをすることが何度かあった。
そして「これから、かえでって(呼び捨てで)呼んでいい?」
そう聞いてきた。
夕方、おしゃれな居酒屋に入った。
私はそんなに飲まないが、彼はお酒に強く、よく飲む。
ワイン好きの私のためにボトルで注文したが
この日は私は1杯ぐらいしか飲まず
ほとんど彼が飲んだ。
この他にも焼酎など、彼は3杯は軽く飲んでいたと思う。
確かプロフィールには「お酒は付き合い程度」になってたと思うのだが・・・嘘つき!
お酒を飲んで普段よりも口が緩くなったのだろうか。
「あのさ、最初に俺のプロフィール見てくれたよね?俺、バツイチなんだけど」
「この年になるまで何もなかったというのも変だし、それはそんなに気にはならないんだけど
別れた理由を知りたい」
りょうさんはぽつりぽつりと理由を話してくれた。
仕事で朝早く家を出なきゃいけないとき、前の奥さんは、専業主婦なのに
朝食を作るどころか、朝起きてもこなかった。
県外の遠い自分の実家には、何度も帰るのに、
家から近い彼の実家には、全然寄ろうとしなかった、
給料だけ取られているような感じがして、
まるで、自分一人で暮らしているみたいだった。
まあ、向こうには向こうの言い分もあるだろうけど・・・と。
後日、話の流れで別れた理由を他にも聞かせてくれたが、
この日はこの程度だった。
「いつ別れたの?」
「去年の○月」
えっ!? まだたった半年前?
ショックだった。別れて、もうずいぶん年月が経っているものだと思っていたから。
「あのね」
「何?」
「私の友達は1年別居した後、1年前に離婚したんだけど、この前会った時
もう恋愛はしばらくしたくないって言ってたよ。普通そうじゃないの?」
「それはその人は前の旦那が好きで未練があったんだろう?
俺はもうとっくの昔に気持ちが冷めていたから」
そんなに最近になって別れたのなら、結婚生活もそれなりに長かったし
子どももいるはずでは?
「子どもは?」
「前の奥さんのところにいる」
「何人?」
「二人」
確か、プロフィールには「離婚あり子どもなし」になってたよね?
嘘ついたのね?
ショックだった。
離婚のことは気になっていた。
でも自分からはずばり聞けなかった。
何とか彼のほうから話してもらおうと思って
「結婚も考えているのなら、何か私に隠していることはない?」
と以前、聞いたことがあった。
「具体的に聞いてくれたら話すけど・・・」と前置きして
貯金はない、などと他のことを話して
肝心の離婚のことは話してくれなかった。
子どもがいることも、
今回こちらが聞いて初めて答えた。
彼への不信感が募った。
彼は私の心の中を知ってか知らずか
お酒のせいでいつもよりもややハイテンションだった。
「今日散歩しながら、キスしたいとずっと思っていた。
何度かしようかと思ったけど、我慢して、つい手にしてたんだ」
そして店を出ると、いつもより強く手をつないで、強引に私を引っ張って歩き出した。