近くで高齢者が脚を切る事故があり、応急処置をする必要があった。


うちからも(新品)ガーゼを持って夫が飛び出していった。私はガーゼと同時にビニール手袋を探せず、あとから見つけて持っていこうにも息子を見るのは私で、現場に赤ちゃんを連れて行くことはふさわしくなく虚しいまま玄関の棚に手袋を置いた。


集まったのはうちの住宅の下と横の住人で、出血の応急処置のいえばナプキンとは思いついたものの、いつもと違い躊躇してしまった。


対象者はすぐに救急車が来て運ばれていった。出血は酷くなかったようだ。



よかった。



−余談


夫は素手で患部を押さえ指先に血が少しついたらしい。普通に洗面所で手を洗って『指先だけだから』と平気な様子だった。その後一応消毒作業をした。玄関のドアノブも、洗面台も、歯磨きコップも。


『何があるか分からないからガーゼを補充しないとね』と夫。


幼少期に三陸大津波の話を聞いて忘れないようにしたし、阪神淡路大震災のときに中学生で何もできない悔しさがあった。それで東日本大震災のときは冷静に対応できたと思う。


薬箱や非常用持ち出し袋の管理は結婚したときからずっとしてきた。たとえもったいなくても見知らぬ誰かの分も少しだけ余分に用意した。


見知らぬ人の分を『要らなくない?』と言われても、きちんと薬の期限を守る私に『別によくない?』という態度を取られても頑として管理してきた。


それが今回のように『ガーゼは?!』『手袋は?!』『もういい!!』と矢継ぎ早に声を出す夫に、必要な行動をとりながらも気持ちは複雑だった。



『ある』というのは、ただ『ある』んじゃない。


余談については夫婦間の問題点だな。