【登場人物】

・健司…30代サラリーマン。見た目も大事にしたい。

・妻・奈々…現実派。滑らないことが最優先。

・息子・翔(小3)…長靴支持。

・母(同居)…昔ながらの雪国理論。




【場面】

大雪の朝。出勤前の玄関。

健司の足元には「黒い革靴」と「ゴツい長靴」。毎朝恒例“靴会議”が始まる。




健司「今日は取引先も来るし、やっぱ革靴かな」


奈々「外、膝まで雪よ? 革靴は“自殺願望コース”」


母「長靴一択だて。昔は長靴で結婚式も行ったもんだ」


健司「それはさすがに嘘でしょ!?」




翔「パパ、これ見て!」


(タブレットに天気予報:大雪+暴風)


翔「ゲームで言うと“ハードモード”だから、長靴装備しないと即ゲームオーバーだよ」


健司「例えが妙に刺さるんだよな……」




奈々「じゃ、妥協案。

 行きは長靴、会社で革靴に履き替え。これでいいでしょ?」


健司「えー、通勤電車で長靴スーツはダサくない?」


母「ダサいより、転んでニュースになる方がイヤだろ」


翔「『長靴拒否して転倒』ってテロップ出るね」


健司「その見出しは避けたい……」




(数分後、玄関)


スーツにガチ長靴、手には革靴の入った紙袋。


奈々「はい、“安全とメンツのハイブリッドスタイル”完成」


母「立派だて。足元だけ田植え前みたいだけどな」


健司「もういいよ……行ってきます!」


(ドアを開けると、玄関先でツルッ…としかけるが、長靴が踏ん張る)


翔「今の、革靴だったらエンディングだったね」


健司「……長靴様、本日もよろしくお願いします」


(その日から、健司の朝の一礼は、会社ではなく“長靴置き場”に向けられるようになった)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?


雪国サラリーマンの朝が、ついに「ファッション」ではなく

「命の会議」になってしまった一編でした。


革靴でスマートに決めたい気持ちと、

長靴じゃないと一歩目でゲームオーバーになる現実。

このせめぎ合いこそ、雪国のビジネスシーンの本質かもしれません。


最終的にたどり着いたのが

“スーツ+長靴+紙袋の革靴”というハイブリッド装備。

見た目のメンツも、足元の安全も、ギリギリ守る折衷案に

人間の弱さと賢さがぎゅっと詰まっています。


この冬、玄関で靴を前に悩んだら、

どうか思い出してください。

「ニュースのテロップより、長靴のほうがマシ」です。