【登場人物】

・カイ…アウトドア好きだが、スマホ依存ぎみ。

・ユリ…同じくキャンプ好き。写真とSNSが命。

【場面】

新潟の山あいのキャンプ場。夕方。

山はきれい、空気はおいしい、でも——圏外。

カイ「よし、テントも張ったし、あとは焚き火と……Wi-Fiだな」

ユリ「うん。まず電波。文明、大事」

(スマホを見る2人)

カイ「……“圏外”」

ユリ「私も“圏外”」

カイ&ユリ「山つよっ!!」

カイ「でもさ、公式サイトには“フリーWi-Fiあり”って書いてたよ?」

ユリ「もしかして、“山のどこか”に飛んでるやつじゃない?」

カイ「探すか……“Wi-Fiの聖地”」

(2人、スマホを掲げながらキャンプ場内をさまよう)

ユリ「あっ、今“1本”立った!」

カイ「どこどこ!?」

ユリ「この石の上!」

(石の上に乗ると、1本→2本に増える)

カイ「よし、“Wi-Fi祭壇”見つけた」

ユリ「ここが今日の“ご神体”ね」

カイ「えー、山の神様ならびにWi-Fiの神様。どうかこの写真を、SNSにアップさせてください」

ユリ「“いいね”は欲張りません。まずはアップだけでいいので」

(ふたり、石の上でスマホを掲げて小さく合掌)

その瞬間、ピコンとアンテナが3本に。

カイ「上がった!!」

ユリ「今の、完全に“ご利益”だったよね!?」

(慌てて写真を投稿する2人)

カイ「送信完了……! 山の神様、Wi-Fi様、ありがとう!」

ユリ「よし、じゃあスマホしまって、やっとキャンプ始めよっか」

カイ「うん。“電波確保”が終わって、やっと“自然満喫モード”だな」

(頭上には満天の星、足元には“電波1〜2本”)

(今日もどこかで、山の神様はそっとルーターを見守っている……ような気がした)


いかがでしたか?笑っていただけましたか?

大自然のど真ん中に来てまで、

結局やっていることが「電波1本をめぐる信仰儀式」という、

現代アウトドアの悲喜こもごもなお話でした。

山の神様に豊作や安全じゃなくて、

「どうかこの一枚をインスタに上げさせてください」と祈るあたり、

もはや願いごとのジャンルがだいぶバージョンアップしています。

それでも、電波が立った瞬間に

「よし、アップ完了! じゃ、やっとスマホしまって自然満喫しよう」

と切り替えられるところに、

ちょっとだけ“デジタルと自然の共存”の希望も感じました。

もし山でスマホを掲げているカップルを見かけたら——

それは電波と神様、両方にお願いしている最中かもしれません。