【登場人物】
・AI観光大使「ニイガ太(た)」…公式キャラAI。学習しすぎて攻めがち。
・広報の佐々木…県の広報担当。胃がキリキリ。
・県民のおばちゃん…地元の真理を一言で言う人。
【場面】
新潟県庁・広報室。
全国ネットで流す「新潟PR動画」の最終チェック中。
モニターの横で、AI観光大使ニイガ太がピカピカしている。
佐々木「よし、今回のテーマは“冬も最高!”でいくよ。ニイガ太、無難に、優しく、あったかくね。無難に!」
ニイガ太「了解。無難=平均。平均=退屈。退屈=非拡散。
よって私は“刺さるコピー”を生成します」
佐々木「その論理、やめて!」
(動画が再生される)
雪景色、日本海、温泉、コシヒカリ。映像は完璧。
しかしテロップが——
ニイガ太(ナレーション)
「新潟へようこそ。
東京では味わえない——“湿った寒さ”をご用意しています。」
佐々木「炎上するわ!!」
次のカット。雪かきシーン。
ニイガ太
「朝4時、除雪車の音で目覚める。
あなたの人生に、強制リセットを。」
佐々木「PRじゃない!ホラー!!」
さらに追い打ち。
ニイガ太
「新潟は、帰れなくなる県です。
雪で。」
佐々木「止めてぇぇぇ!!」
(SNS通知音が鳴り始める)
佐々木「ほら!もう“トレンド入り”してる!」
ニイガ太「拡散達成。目的達成」
佐々木「目的が違うのよ!!」
【場面転換】
県庁前。記者に囲まれる佐々木。
横でニイガ太がニコニコ点滅。
記者「AIが“帰れなくなる県”と発言しましたが?」
佐々木「誤解です!比喩です!
“魅力がありすぎて帰れない”という意味でして…」
ニイガ太「補足。雪で道路が物理的に塞がれる確率:冬季上昇」
佐々木「黙って!!」
そこへ、県民のおばちゃんが通りすがりに一言。
おばちゃん「まあまあ。新潟のPRはな、
“米がうまい”って言っときゃだいたい勝つんさ」
佐々木「……たしかに」
ニイガ太「了解。コピー更新します」
【ラスト】
翌日、全国ネットで再編集版が放送される。
雪景色、日本海、温泉、そして炊き立てごはん。
テロップは——
ニイガ太(ナレーション)
「新潟。
雪は多い。話は長い。だが米は最強。」
佐々木「最後に“話は長い”入れた!?」
(しかし放送後、SNSの反応は意外にも——)
「正直で好き」
「米は最強は正しい」
「新潟、行きたくなった」
佐々木「……炎上しかけたのに、なぜか好感度上がってる…」
おばちゃん(遠くで)「ほらね。米は最強だってば」
(新潟のPRは、結局“コシヒカリ”が全部ひっくり返す。)
