4月9日、加地隆治皇嗣職大夫の口から、驚くような言葉が飛び出した。眞子さまは、2017年末に、金銭トラブルの報道が出た時から小室さん側から相談に乗ってきたこと。そして、小室圭さんのこれまでの元婚約者への対応についての方針は、眞子さまの意向が大きかったというのだ。


 眞子さまの、こんなコメントも伝えられた。

「今回発表された文書を読まれて、いろいろな経緯があったことを理解してくださる方がいらっしゃれば有り難い」

 小室さんの文書への反応は、西村泰彦宮内庁長官が、「非常に丁寧に説明されている印象だ」と「評価」した。

しかし、宮内庁内で、小室さんの文書が好意的に受け止められているという話はほとんど聞こえてこない。眞子さまのコメントについても、宮内庁関係者のひとりは、呆れた様子でこう話す。


「恋人と一般人の間に起きた金銭トラブルに、皇族の眞子さまが加わって一緒にケンカをしていたという話です。
本来、皇室のメンバーは、一線を引かなければならないところです。ましてや天皇の孫として生まれた内親王です」 


 元宮内庁職員の山下晋司氏は、眞子さまの対応についてこう分析する。

「昨年11月に、お気持ちを公表された際もそうでしたが、今回の眞子内親王殿下の対応とコメントからは、公よりも『私』を重んじておられように感じます」

 眞子さまの行動は、天皇の孫として生まれた内親王というよりも、一般の国民としてのものに近い。
もはや、気持ちは結婚後に向いているようだ。


 実際、8日の西村長官のときも、加地皇嗣職大夫の記者会見でも、小室さんの文書に対して記者らが評価するムキはほとんどなく、しらけた空気が漂っていたという。

 加地皇嗣職大夫は、秋篠宮ご夫妻も、
「小室家側が、この問題を解決するために行ってきたいろいろな対応が、見える形になるよう努力したもの」と受け止めたと伝えられた。

 だが、小室さんの文書にある主張は、断片的な法律論を強引に振りかざして、素人である元婚約者を追い込むような強引さがにじむ。

 

元婚約者は、現在は口をつぐみ、取材に応じていない。お金の返還交渉もあきらめているようだが、「泣き寝入り」に近いのが実態だろう。

 もともと、小室さんの母の佳代さんと、元婚約者の間で交わされた金銭のやり取りは、贈与という前提で始まってない。

 本誌が2018年に元婚約者に取材した資料を見返すと、佳代さんは、元婚約者に、「お借りする」「お願い」など、さまざまな表現でお願いのメールを送っている。

<当面の生活費をお借りしても良いでしょうか>(2011年3月11日)、

<とりあえず10万円ほどお願いできますか>(2011年3月16日)。

 2010年秋に小室さんの大学の授業料について振り込むよう、送ったメールは、

<金額¥453000(学期毎)口座番号等は明日伺った際に。>  こんな文面だった。

 2012年9月、元婚約者は、佳代さんに対して婚約を解消したいと告げた。

婚約解消を告げた翌13年8月、元婚約者は、経済的に困窮したこともあり、佳代さんに「返して欲しい」という手紙を出した。

 ここから両者の返還の交渉は始まる。

 小室さんは、元婚約者との金銭の返済をめぐるやり取りについて文書に、録音した会話の一部を記載している。

<元婚約者「返してもらうつもりはなかったんだ」  母「そんなのってあるの?」>

 小室さんは文書で、

<この元婚約者の言葉と母の対応によって、たとえ元婚約者の方が金銭の返還を請求する権利を持っていたとしても、それは母の権利(損害賠償請求権)のとおりに、清算されたことになり、母が元婚約者の方への金銭を返済する義務はなくなったと解釈することができます>
  と、この録音した会話を持って、返済する義務はないと主張している。

 一方で、元婚約者の男性も、返還交渉の記録を残している。その記録によれば、以下のようなやりとりがあったという。

 佳代さんと小室さんは、「お金を返さない理由」を書いた文書を持って、元婚約者の自宅を訪ねた。小室さんも文書で認めているが、婚約者であった男性の名前や婚約解消日の日付を誤って記載された書面であった。

 

 

元婚約者は、「でも、返す意思はない、と?」
そう佳代さんに確認をすると、小室さんが口を挟んできた。

「あっ、すみません。返すというか、贈与を受けていると認識しておりますので」

 元婚約者は、小室さん親子に対して、「返して欲しい」という意思を、きちんと伝えている。 

 琉球大学法科大学院兼任講師で、ミシガン州の弁護士資格も持つ牧野和夫弁護士は、こう話す。

「借金なのか、贈与なのかという争いはよくあるケースです。
裁判所は、書面主義です。契約書で贈与します、といういう書面による証拠がなければ、『返さないでいいと言った』『返して欲しい』という会話は、証言のひとつに過ぎない。

それを持って『返さなくていい』という決定打にはなりません」

 録音テープも、話し合いの経緯が全て録音されていればともかく、一部の切り取りでは、都合のいいところだけを抜粋される恐れがある。また、その場の空気にのまれたり、相手から責められて、本心でないことを口走ってしまう可能性もある。
発言の信用性に疑問符がつく場合もあり、証拠として決定打になるとは言い難い。


 小室さんが出した文書は、あくまで小室さん側の一方的な主張に過ぎない。
だが、弁護士もついていない法律の素人に、プレッシャーをかけるには、十分すぎる内容だ。


 小室さん側には、法的な知識と実戦経験を有する上芝直史弁護士がつき、小室さん自身もロースクールで3年間学び、弁護士試験の受験を目前にした学生だ。
何よりも、皇嗣職大夫の口から、眞子さまという皇族が加わっていたことが明らかになった。現役弁護士と弁護士試験の受験生、そして皇族という布陣。


 「チーム眞子さま」が、法律の素人である高齢の元婚約者を取り囲んだ構図ではないだろうか。

小室家に400万円を超える金銭を振り込んだ元婚約者は、生活に困窮しており弁護士もつけることが出来ず、孤立した状態が10年近く続いている。法の素人の知識と交渉能力では、戦うことは難しかっただろう。

 だが秋篠宮ご夫妻や国民が小室家に望んでいたのは、法的な正当性の証明ではない。恩を受けた相手に対する誠実さが伝わる対応だ。

 小室さんの文書から、元婚約者に対する配慮や誠実さは伝わってこない。果たして、「チーム眞子さま」の「交渉」や「話し合い」は、天皇に近い皇族である内親王やその結婚相手となる人物に相応しい、「心」あるものだったと感じる国民が、どれほどいるだろうか。

 

(AERAdot.編集部/永井貴子)