最近、趣味がひとつ増えた。

それは映画を観ること。

 

いまはありがたいことに、加入することでたくさんの映画を無料で観られるシステムがある。

わたしもそれを利用させてもらうようになった。

 

タイトルだけ知っている映画、観たいと思っていたけれど見逃してしまった映画、読んだことのある小説が原作となっている映画、まったく知らない映画、、、。

 

この世には、ほんとうにたくさんの映画があるんだなあ、と、いまさらながら思う。

 

手を伸ばせばすぐに届くところにあったのに、わたしはいままでそれらを観ずに(体験せずに)いたんだなあ。

 

それはもちろん映画だけでなく、すべてのことに言えるもので、自分が体験(観る読む聴く味わう嗅ぐ触る etc...)していないものは、「ない」のと同じ。

 

 

さて、先日、出会った映画。

 

是枝裕和監督による2009年製作の『空気人形』。

 

空気人形

 

 

 

これを観てみようと思ったのは、むかしこの映画の原作にあたる業田良家さんの漫画を読んだことがあって、そのなんとも切ない感覚が記憶に残っていて。

 

ゴーダ哲学堂 空気人形 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

そして、映画で流れる音楽がとっても良いのだ。

 

調べてみて、「world's end girlfriend」っていうひとの作曲だということを知った。

 

もう、すっかりファンである。

 

『Hurtbreak Wonderland』world's end girlfriend

Hurtbreak Wonderland

 

 

 

そして、そして。

この詩に出会ったのである。

 

映画『空気人形』の劇中に出てくる、吉野弘さんの『生命は』という詩。

 

生命は 吉野弘詩集

 

 

  「生命は
   自分自身だけでは完結できないように
   つくられているらしい」

 

という書き出しで始まる『生命は』。

 

もう、これがね、心に沁みて染みて滲みて、、、。

 

ああ、そうなのか。

そうだったのか。

だからなのか、この哀しさ切なさは。

 

と、まるごと掬い上げられたような気持ちになって、こころのなかがあたたかいもので満たされた。

 

そう、まさに『空気人形』である。

 

 

 

 

むかし読んだ漫画の記憶が、知らなかった映画、初めて聴く音楽、そしていまのわたしに必要な詩、『生命は』に繋げてくれた。

 

 

わたしの世界が、少し広くなった。