魔術師と魔法使いの戦いは

 

圧倒的数で魔法使いが有利だったが

 

魔導書に記された魔術の底上げの秘術によって

 

拮抗状態となった

 

しかし底上げ魔術の副作用は魔術師たちの生命力を蝕み

 

死者が続出する事によって

 

再び魔法使いたちが優勢となった

 

数を減らし不利となった魔術師たちの一部は戦線を離脱して逃亡

 

追撃を振り切り魔導書に記された結界魔術によって

 

魔法使いたちに知られず

 

この地の住人たちとの共生を始めた

 

科学と技術に特化したこの地の住人たちは

 

魔導書の解析を科学的に始めた

 

魔導書に記された魔術は魔法と違い科学的な要素が強かった

 

ここに科学と魔術は融合可能であることが判明する

 

数世代に渡り科学と魔術との融合は続き

 

錬金術が生まれた

 

魔術師と科学者たちの末裔たちは

 

錬金術師へと進化を遂げた

 

一方魔法使いたちは何世代にも渡り魔術師たちの追跡を続けたが

 

科学者たちの解析は錬金術を刻一刻と進化させ魔法使いたちの追跡を阻止した

 

再び魔術師への追跡は頓挫する

 

魔法使いたちは初め捕えた魔術師たちを拘束していたが

 

世代が変わることで憎しみは薄れて

 

共存の道を歩き始めた

 

長きに渡る憎しみの連鎖は数世代後には消え失せ

 

魔法使いたちと魔術師たちの共同生活が生まれた

 

長寿を誇る長老たちもまた三世代目になると魔術師たちの立場も向上された

 

ところが

 

戦線を離脱して科学者たちと融合しながら

 

錬金術師になった魔術師たちは魔法使いたちへの憎しみが消えず

 

世代が変わっても受け継がれながら

 

復讐の機会を狙っていた

 

「これは魔法使いと魔術師たちの村で伝わっている歴史書とはかなり内容が違うわね」

 

錬金術師たち発祥の地でリュエラはホムンクルスについての真実を知るために

 

遺跡の発掘調査を開始して調査が進み遺跡が発掘されるたびに

 

遺跡から当時の歴史を汲み取りながら

 

真実の歴史を探っていた

 

いや探っているのではない、見せられている感じだ

 

長老たちの歴史書に記されていた内容では

 

魔法使いたちの追跡によって窮地に立たされた錬金術師たちが

 

ホムンクルスを作り発動させ、それが暴走することで

 

魔物や魔王をも巻き込んで世界を滅ぼすような未曾有の大災害をもたらしたとある

 

リュエラはその事に関して疑問を抱いていた

 

魔術師たちと科学者たちが融合して錬金術師になるまでには

 

数世代も時間を有していることだ

 

ということは、数世代をかけてホムンクルスを開発していた可能性もある

 

魔法使いたちの歴史書での詳細は

 

魔法使いと魔術師の戦争の延長線上にあって

 

落ち延びた魔術師たちが錬金術師となり追い詰められた挙句に

 

滅亡して自分たちの命と引き換えにホムンクルスを作って復讐に打って出た

 

ところがホムンクルスが暴走したと書かれていた

 

しかし、すでに魔法使いと魔術師たちの共生が始まった段階で

 

逃亡者である魔術師たちを滅ぼそうとする動機が希薄だ

 

その状態で追撃などあるのだろうか

 

「もしかすると、落ち延びた魔術師たちの憎しみは殊の外大きかったのかもしれない」

 

しかし何故恨みを何世代にも渡って受け継がれたのか

 

「一体戦線を離脱した魔術師たちに何があったのかしら」

 

数世代に渡っての恨みとはいったいなんなのだだろう

 

リュエラの関心はそちらに向いてしまったが

 

こうしている間にも、ランドはいつ崩壊が始まってもおかしくは無い状態だ

 

ランドは滅亡してしまった錬金術師たちが作り上げたホムンクルスを模して

 

魔術師の親友ラスがデッドランドの科学者と共に作ったネオホムンクルスだが

 

意図的なのかそれとも技術が追いつかなかったのかネオホムンクルスは

 

ホムンクルス程の強大な力はない、2年から4年で崩壊してしまう

 

リュエラは首を横に振った

 

今はネオホムンクルスでありながら人間として生きようとしているランドを救うために

 

ホムンクルスの秘密を解き明かすことを優先させるべきだと思い返した

 

「この地に落ち延びた魔術師に何があったのかは、後で調べることにしましょう」

 

こうしてリュエラはホムンクルスの秘密を解き明かすことに専念する事にした

 

確かにこの選択は間違いではない

 

ランドは刻一刻と崩壊へ向かっていて急がなければならない

 

しかし後々リュエラはこの時もっと深刻にこの謎を受け止めるべきであったと

 

後悔する事になる

 

錬金術師と魔法使いとの間にはもっと深刻な憎しみが横たわっているのだが

 

この時のリュエラにはそれを追求する余裕はなかった

 

深い恨み、憎しみを果たすために造られたホムンクルス

 

調べるほどに魔法使いたちへの憎しみが感じられて

 

理性的なリュエラはうんざりさせられた

 

この時彼女には気づく機会があった

 

元々聡明な知性を持つた彼女なら本来なら気がつく筈だったのだが

 

ランドの崩壊が始まりかろうじて中和しているため

 

もしこれ以上無理をすれば崩壊はまた始まってしまう

 

ましてランドの性格からすれば無理をしない筈はない

 

急がなければならない焦りが聡明な彼女にスコトーマを引き起こした

 

見えていながら何故かそれを認識できないという現象だ

 

彼女が見落としてしまったそれは

 

具現化系魔術師たちは錬金術師たちの子孫であることだ

 

彼女は後々この事実に気が付かなかったことを後悔する事になるのだが

 

一度思い込んでしまうと人間は中々違う視点で見ることはできない

 

「深い憎しみと同じ位の悲しみがホムンクルスに込められている」

 

ホムンクルスの製造を解き明かす度に

 

彼女は錬金術師たちの心と嫌でも向き合う事になる

 

魔術で遺跡から過去の技術を汲み取る時

 

同時に当時の錬金術師たちの記憶まで呼び起こされてしまう

 

無視して技術だけに集中しようとしても

 

強い感情は嫌でも影響されてしまう

 

情に厚く共感力の強い人なら心が壊れていたかも知れない

 

しかしリュエラはある面冷めていてクールに物事を分析する性質を持っている

 

だからそれほどの精神的なダメージを受けずに済んだのだろうか

 

それほどの惨劇を魔術師たちは味わってこの地に落ち延びたのかも知れない

 

「今までこれほどの憎悪を見たことがないわ」

 

ラスはこの憎しみに取り込まれたのではないだろうか

 

そしてネオホムンクルスもこの憎しみから生まれたと言えなくもない

 

「悲しいわねランド」

 

思えばランドの本体はデッドランド兵によって全てを奪われた

 

人間でもなくなり意識も飲み込まれてネオホムンクルスの糧になっている

 

そしてネオホムンクルスの元となるホムンクルス製造にあたり

 

凄まじい数の犠牲があった

 

それも錬金術師たちの命だ

 

「どうしてこんな悲しい技術を作ったのかしら」

 

長老から受け取った歴史書では

 

魔法使いたちに追撃されてまさに滅ぼされそうになったため

 

自分たちの命を犠牲にしてホムンクルスを造ったと記されていたが

 

この地で発掘された遺跡からはまるで違う歴史が見えてくる

 

錬金術師たちは復讐を果たすために自分たちの命を犠牲にして

 

ホムンクルスを造った

 

「錬金術師たちは魔法使いに滅ぼされたのではなく、魔法使いたちへの復讐を果たすために自分たちの命を供物として捧げ自滅したということなの?」

 

この記憶を文字通り受け止めて仕舞えば

 

錬金術師はこの世から完全に消えた事になる

 

しかし実際は具現化系魔術師として生き残っている

 

何かカラクリがあるようだが、今はその詮索をしている時間はない

 

リュエラはこの後に及んで、錬金術師の末裔である具現化系魔術師たちが

 

錬金術師たちの怨みを受け継いでいる可能性について

 

思い至らなかった

 

ホムンクルスの構造と製造方法を理解すると

 

やがて錬金術師たちの致命的な間違いに気がついた

 

「心とのコンタクトを切断するなんて」

 

しかし疑問は残る

 

錬金術師たちは復讐を果たす為にホムンクルスを造った

 

心とのコンタクトを遮断する必要がどこにある

 

「無いわね」

 

だとすればその目的はなんだ

 

魂とのコンタクトが遮断されたのがホムンクルスの暴走の原因となっている

 

当時の錬金術師たちが暴走する危険性に本当に気が付かなかろったのか

 

「もし気がついていたなら、なぜその危険性が高い魂とのコンタクトを遮断したのかしら」

 

遮断せざるを得なかった

 

しかしそんな可能性は見つからない

 

この疑問だけが最後まで解けなかった

 

ホムンクルスとネオホムンクルスの違いを検証すればするほど

 

また新たな謎が見えてくる

 

本来ホムンクルスは無限に細胞分裂ができる構造になっている

 

また免疫力は再生魔術によって能力を超える傷を負わない限り

 

再生することができるから不死身に近い存在だ

 

魔王すら倒すことのできる魔力と戦闘力を持っていた

 

一方ネオホムンクルスについてのナタルの研究を参考に分析すれば

 

意図的に力をセーブされているようにしか見えない痕跡があちこちで発見できる

 

再生の能力に対してそれを阻む魔力が同時に働くように

 

つまりアクセルとブレーキが同時に機能するように仕組まれているため

 

消耗は恐ろしいほど著しい

 

これが寿命を早める一因になっていた

 

この機能を改善しようとすれば本体の命と直結しているため死に至る

 

「これでは短命になるようにワザと作られているとしか見えないわ」

 

戦闘力を発動にしても同時にブレーキが掛かっている

 

命をすり減らしながら発動を続けている

 

当然魔力も生命力も戦闘力もセーブされていて

 

「本来の力を発揮できないようにしているのかしら」

 

ここに来てリュエラはある特定の呪詛のような魔力を感じ始めてきた

 

彼女が魔導師でなければ恐らくこの呪詛に気が付かず

 

そのまま暗示に引っかかりある種の洗脳をされてしまっただろう

 

しかし魔導師の魔力はその呪詛を凌駕しているため

 

遂に見つけ出し解き明かし解除してしまった

 

その呪詛の魔力を辿ると亜魔王種に辿り着く

 

「なるほど亜魔王種が関与しているってわけね」

 

ネオホムンクルスはホムンクルスのような強大な魔力と戦闘力を発揮できないように

 

亜魔王種が仕向けていた

 

こんな不安定で不具合だらけの構造になったのは

 

技術が足りなかったわけではなく

 

意図的にそのように造らされてしまったのだ

 

しかしなんのためにワザとこのように造らせたのだろうか

 

ふとリュエラは気がついてしまった

 

ホムンクルスも亜魔王種が関与して生まれたのではないだろうか

 

この地に落ち延びた魔術師たちに憎しみを抱き続けるように仕向けたり

 

錬金術師になってもその憎しみを受け継がれるようにして来たとしたら

 

そしてホムンクルスが暴走した原因である

 

魂とのコンタクトを遮断させたのも亜魔王種だとすれば

 

合点がゆく

 

しかしそれが亜魔王種の仕業だとして

 

一体何を目的にそんな意味の無いことをしたのだろうか

 

暴走する可能性があることを亜魔王種も理解している筈だ

 

「そもそも何故亜魔王種が錬金術師たちにホムンクルスを造らせたのかしら」

 

リュエラの疑問は最もである

 

「深い憎しみがキーワードかも知れないわね」

 

亜魔王種は魔王に対して深い憎しみを抱いている可能性がある

 

そして

 

本来科学者と融合した魔術師たちは錬金術師となれば

 

新しい道を歩き出せるチャンスだった筈で

 

恨みを手放し自由に生きることも出来た

 

そうなれば

 

錬金術の目的も違ったものになった筈だ

 

「魔術師たちの憎しを錬金術師になっても持ち続けさせなければならない理由が亜魔王種にはあったという事かしら」

 

或いは亜魔王種は人間の負の感情にのみ干渉できるのだとすれば

 

負の感情以外は干渉できないという事になる

 

亜魔王種は人間を完全に精神支配できない可能性が見えてきた

 

できるとすれば心理誘導と心理操作止まりで

 

特に負の感情にのみ干渉できると仮定すれば

 

錬金術師に憎しみなど負の感情を持ち続けさせなければならなかった

 

目的はホムンクルスを造らせるため

 

長老たちの歴史書に書かれている史実と

 

遺跡から汲み取れる歴史の記憶とも違うもう少し別の視点からみれば

 

亜魔王種が魔術師たちを錬金術師に作り上げて

 

ホムンクルスを造らせたという説も成り立つ

 

そこまで気がつくとリュエラはもっと恐ろしい可能性に辿り着いてしまった

 

そもそも魔法使いと魔術師との戦争を亜魔王種たちが起こさせたとしたら

 

考えられないことではない

 

もしこの仮説が正しければ

 

長老たちに魔導師を間引きさせ続けた理由も察しがつく

 

亜魔王種たちは魔導師という存在を恐れていた

 

「それでは長老たちに全ての責任を押し付けるのは酷と言うものだわ」

 

魔法使いと魔術師たちの村の結界を強化できたのは

 

魔導師たちの魔導書から結界魔術を強化出来たからで

 

その後その結界は亜魔王種ですら見つけられないようになった

 

つまり魔導師は亜魔王種の力より強い魔力を持っている事になる

 

「強いというより、質が違うから相容れないのかもしれない」

 

まず魔法や魔術の質という点で考えれば

 

魔物たちの魔力はマイナスの力が働いている

 

一方魔法使いや魔術師たちの魔力はブラスの力が働いている

 

根本的に魔力の質そのものが違う

 

また魔物たちは生命力と直結して魔力を体現した存在であるのに対して

 

魔法使いや魔術師たちは魔力に対する受容体を持っている者だけが

 

魔力を体内に取り入れて言葉の響きと魔力を同調させることで

 

ある種のエネルギーへと変換させ別用途に力を使う

 

これが魔法の基本形だ

 

もちろんコントロールするためには修行が必要である

 

技術を磨けば微細なコントロールができるようになる

 

ただ魔力を取り込める容量は魔力に対する受容体の数で決まってしまうため

 

必然的に魔力量はその個体に依存する

 

しかし生まれ持った受容体の量は決まっているけれど

 

子供の頃なら増やすことも可能だ

 

もちろんそれにも限界はあるけれど

 

しかし魔導師となれば魔法使いや魔術師とはまるで違う性質を持っている

 

魔力の受容体はそれほど無くても問題ない

 

魔導師の魔力は浮遊する或いはどの物質や生命に付随する魔力でも

 

それを使うことが出来る

 

世界に魔力がある限り無限に魔力を使うことができる

 

ただ生命に直結した魔力を吸い取る際に生命力まで吸い取ってしまうため

 

魔導師があまりにも強大な魔力を発動させれば

 

周辺の森は死んでしまう

 

植物だけではなくありとあらゆる生物が枯れ果てる

 

一度死の森になって仕舞えば二度と草木も生えてこなくなる

 

何故なら土に含まれる微生物まで枯渇してしまうからだ

 

生態系を狂わせて世界ほ滅ぼしかねない

 

「魔導師がこの世界に居てはいけない訳よね」

 

人間界にはマイナスの魔力が皆無でプラスの魔力で溢れている

 

一方魔王がいる魔物の世界にはマイナスの魔力が溢れていて

 

プラスの魔力がほとんどない

 

ということは魔法使いや魔術師は魔物の世界では魔力が枯渇する

 

もっと深刻なのは魔導師だ魔導師は周辺の魔力を使うから

 

魔物の世界では魔術は使えない

 

ひっくり返して考えれば

 

亜魔王種は人間界では魔力が枯渇する

 

長期間潜伏して人間たちに働き掛けられない

 

魔物は魔力と生命力が癒着している

 

つまり魔力の枯渇はそのまま死を意味する

 

人間に働きかけるのに制約がある

 

マーリアの話によると人間界の戦争は亜魔王種の策略である

 

しかし

 

亜魔王種たちは命懸けで果たして人間たちに戦争を繰り返させる必要があるのだろうか

 

「人間界で戦争を起こすことが魔王を倒すことに繋がらない」

 

魔王たちは人間界に無干渉で関わろうとはしない

 

「そうか人間の勇者が関わっている」

 

しかし亜魔王種たちは人間の勇者を亡きモノにしようとしている

 

これも謎だ

 

魔王を倒したいなら

 

人間の勇者を魔王にぶつけるのが一番手っ取り早い

 

いや何度も試みたに違いない

 

「しかし失敗を繰り返した」

 

亜魔王種の魔力である精神支配は魔王や人間の勇者には通用しないと仮定すれば

 

綿密な計略を持って仕向けるしかないが

 

亜魔王種にはできない何らかの理由があると見た方が自然だ

 

だから亜魔王種は人間の勇者を亡き者にしようとした

 

いやそれでは動機が薄い

 

もっと濃厚な理由があるはずだ

 

人間の勇者は亜魔王種にとって危険な存在となったのではないだろうか

 

亜魔王種と人間の勇者に一体何があったのだろう

 

「マーリアは何も言っていないけれど、隠している可能性もあるわね」

 

人間ではなくなり、人間の勇者でも無くなった今でも

 

その秘密は言えないのだろうか

 

リュエラは首を横に強く振った

 

亜魔王種と人間の勇者の謎より今は

 

ネオホムンクルスをホムンクルスにする方法を見つけ出すことに専念すべきだ

 

ホムンクルスが暴走した原因は理解できた

 

本体の心とのコンタクトを遮断しないように組み直せば良いのだ

 

しかし、それは熾烈を極めた

 

恐らく亜魔王種たちの仕業だろうけれど

 

コンタクトを繋げれば心が壊れてしまうように仕組まれている

 

他にもあらゆるトラップが仕掛けられていた

 

一つ一つ潰してゆく必要があるが

 

それが連動しているためどれを潰しても全てが崩壊してしまう

 

「最初から造り直す必要がありそうね」

 

唯一救いがあるとすれば魔導師は限りなく科学者に近いということだ

 

これは錬金術から科学者に触れて科学を知る度に

 

魔導師が新しい魔術を作り出すとき

 

この科学の研究に近いことが判明した

 

魔術師の書き記した魔導書を元に魔術師が生まれた

 

魔術師もまた科学者に近い発想をするようになる

 

最初から魔術と化学は融合しやすかった

 

錬金術は魔導師であるリュエラにとって乾いた土に水が浸透するが如く理解できる

 

ただ錬金術は科学寄りに出来ている

 

それを魔術寄りに造り直すことで

 

ホムンクルスを完成出来る可能性が見えてきた

 

リュエラはもし亜魔王種が干渉しなければ

 

このようなホムンクルスになったでおろう理想型だと考えた

 

とはいえ、亜魔王種が干渉しなければ

 

ホムンクルス自体造られなかったであろうから

 

「理想型のホムンクルスなんて幻想に過ぎないわ」

 

リュエラはどちらかというと現実主義者である

 

気持ちを切り替えて実験を始めた

 

まず心を重視した構造に再構成してみる

 

失敗した

 

バランスの比重が間違っている可能性がある

 

少しずつバランスを変えてみることで検証してみる

 

魔術を作るよりも骨が折れる作業だったが

 

7割心を比重にして初めて成功する

 

脳や身体の組織から知る必要が生まれた

 

「ナタル様がいてくれたなら」

 

ナタルは人体構造から知り尽くしている

 

とはいえ人間とホムンクルスとでは構造の差異はあるから

 

膨大な知識量が必要である

 

時間がないそこでリュエラは異空間を作り

 

時間の流れを外界と異にした

 

見上げれば月明かりが森を照らしている

 

今はもう森になっているが

 

ここにかつて錬金術師たちが暮らしていた街があったのだ

 

それが森に埋まっているのだから感慨深い

 

そうリュエラは思った

 

人間たちの落日 落日の兆し もくじ

 

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あとがき

 

人間たちの落日の小説を再開するにあたり

 

リハビリとして外伝を書いてみました

 

時系列を戻して

 

ランドがまだ完全体のホムンクルスになる前

 

リュエラがその秘術に辿り着くまでの話を書いています

 

長くなるので話を分割しました(=◇=;)

 

広げた風呂敷を畳む作業なのですが

 

寧ろ謎が増えたような(((((・_・;)あせる

 

本編のエルラッハ侯爵の動向を描き直すかはまだ検討中です

 

完結できるのかしら( ̄▽ ̄;)汗

 

まる☆