「クダラナイ」
彼女は言った
魔王種として生まれていながら
魔王と成ることにすら囚われていない彼女の自由奔放さには壁壁させられる
魔王にならない魔王種がどんな運命になるのかを彼女は知っていた
覚悟の上だ
彼女は純粋に剣技を極めたいと思っている
「魔王に成って魔物の世話をしながら剣技を極めるなんて、あたしはそんな器用ではないから」
そんな理由で自分の命を失う道を歩き出すなんて馬鹿らしいと思った
これがのちに魔王となる魔王種グラードの幼馴染なのだ
魔王にとって相手を幼馴染と呼べる存在は
数万年の幼少期を共に暮らした相手だけである
幼少期には魔物たちに育てられるのが通常だ
魔物たちは魔王種同士が仲良くなることを極端に嫌う
その理由は、純粋に魔王同士を戦わせて真に強い魔王を生み出すためなのだろうか
今となってはわからないが
魔物たちは魔王種を育てる際、できるだけ他の魔王種を遠ざけていた
必然的に魔王種は幼馴染と呼べる相手を持てなくなる
それでも時として例外も生まれるようだ
後に魔王と成るグラードはティンギルと幼少期を共に暮らした
まるで姉弟のように
魔王種にとっては数千年早く生まれたからといって年上という感覚は無い
たった三千年早く生まれただけなのに彼女は姉のように年上ぶった
グラードは何故か言語脳が発達して行き
いつの間にか彼女をからかうようになる
通常なら男性より女性の方が言語脳が発達するものだが
この二体の魔王種は完全に逆転している
ティンギルは思いつくまま行動する
物事を深く考えない訳ではないが気持ちを優先させるため
結局衝動的な行動をしては魔物たちを困らせていた
そんな時グラードが彼女を上手く制御できるから
魔物たちは特例として認めたのだろうか
この二体の魔王種はとても仲が良かった
魂の相性が良いのだと魔物たちは考えているようだが
実際グラードはティンギルが何を思いつくのかはわからなくとも
彼女の行動パターンや思考の癖は把握していて
時には先回りして彼女の暴走を止めることもある
一方グラードは思考が先行して行動が遅い
何事も先の先まで読み通してしまうため
行動する前にすでに彼の脳内では結果が見えている
結果が過程も含めて早送りで見えてしまえば
それを実行に移すことは二度手間のように感じてしまう
だから出来るだけそれをしないで済ませる道を探そうとする
聡明な彼は直ぐにその可能性を見つけ出して省いてしまう
ティンギルからみればサボっているとしか見えない
そんな時はティンギルがグラードの尻を蹴ってやらせるのだ
もちろんグラードは「意味は無いこうすれば良いと弁明するが
「何事もやってみなければわからない」と姉貴風を吹かせて叱りつける
結果は大体グラードの予測通りになるのだが
極まれに彼の予想に反する想定外のことが起きる
そんなときは決まって彼女がドヤ顔で
「ほら見ろ、何事もやってみなければわからないだろ」と言う
何故かグラードはそんなティンギルが愛おしく思えてるのだから不思議だ
生まれる前から彼女とはこうしていたような錯覚を起こすことさえある
「まったく貴様は世話の焼ける弟だ」
しかし、大体の場合は立場が逆転して彼女の暴走を止める場面が多いため
「まったく貴様は世話の焼ける姉だ」
グラードは口癖のようにドヤ顔で言う
ティンギルのふくれっ面もグラードには愛おしく思えた
幼少期のある日彼女は剣技に目覚める
「我が命を賭ける値するものを見つけた」
殊(こと)の外彼女は剣技にご執心となり、グラードは相手をさせられる
知恵が発達しているグラードは頭脳線で彼女を負かすことが多かったが
純粋に彼女の剣技は研ぎ澄まされ、次第に勝てなくなって行く
ともに懸命に剣技の修業をしているにも拘わらず剣技では圧倒的に彼女が優位に立ち
数万年後には彼女に一本もとれなくなってしまった
数万年彼女は他のことも顧みず剣技を磨くことに没頭していた
幼少期が終わり青年期になれば
魔王種たちは魔王に成る準備をしなければならない
剣技はもちろん必須だが、他にも会得しなければならないことが多くあるのだが
彼女はそれも等閑(なおざり)にして剣技に没頭が過ぎるのでデスカラードは何度も諫めたが
「クダラナイ」と吐き捨てるように言った
「魔王に成ることに何の意味があるのかわからないけれど、あたしにはつまらないことだわ」
「魔王種として生まれたからには魔王に成るのが宿命だ、これを等閑(なおざり)にすれば淘汰されてしまうぞ」
「淘汰されるなら本望さ、あたしはあたしが思うままに生きる、それができないのであればこんな世界あたしから願い下げだ」
再三に渡る説得でも彼女の決意は変わらない
次第に魔物たちは彼女を見限り離れて行く
幼少期の頃はあれだけ献身的に世話を焼いていた魔物たちだが
見込みのない魔王種だと判断すれば、冷酷なまでにあっさり見捨てて離れ去って行く
この当時の魔物たちはそういう性質を持っていたようだ
グラードは魔王を生み出すことによって魔物たちも進化することを知らなかったが故に
魔物たちの裏の性質を垣間見たと思えて魔物に対する不信感を抱いた
準魔王が続出するこの時期に魔物に見捨てられた魔王種は
準魔王の餌食になってしまう
準魔王たちはどれだけ不良品の魔王種を排除したかで格付けのような風習が生まれていた
また決闘は一対一が鉄則の魔王種の世界でも
相手が排除対象の魔王種であれば複数のチームを組んで討伐することも許されていた
排除対象の魔王種と言えど
極稀に強力な魔力を持った魔王種や剣技に卓越した魔王種がいるからだ
つまり複数の準魔王で排除対象の魔王種を袋叩きにして殺すことも許されているのだ
当然魔物たちに見限られた魔王種は排除対象の魔王種に確定されてしまう
ところが、ティンギルの強さは尋常ではなかった
十数体の準魔王に取り囲まれても傷一つ負わず全ての準魔王を倒してしまう
次第にティンギルの名は知れ渡り
次から次へ魔王種のみならず準魔王まで戦いを挑み倒されていった
こうなれば魔物たちも彼女の強さを認めるしかない
彼女を慕い魔物たちが続々と集まり、いつの間にか準魔王になった
そんなある日、剣技において彼女に並ぶ者無しと言われるようになっていたにも拘わらず
ティンギルは傷だらけで倒れているのを魔物が発見して
魔物たちに担がれて帰って来た
事情を聴くと、一対一の決闘をしたそうだ
「あたし以外であんな強い相手がいるなんて世の中広いな」
相当の深手を負っている
強い彼女にここまでの深い傷を負わせる者がいること自体信じられない
「もちろん勝ったさ、いや待て、彼女は未だ魔王種だった準魔王の魔力を付加されたあたしとでは土壌が違う、もし彼女が準魔王だったならこの勝負の行方はわからない、これでは純粋に勝ったとはいえない」
それでも致命的とは言えないがこれだけの深手を負わせたのだ
それで魔王種だと言うなら、恐るべき相手だったと言えるだろう
「彼女が準魔王になり再戦するのが楽しみだ」
「息の根を止めなかったのか」
「そんな勿体ないことをするものか、そうとう深手を負わせてやったが何とか自力で回復できるだろう」
正直グラードにはそんな脅威を生かしておく彼女の気持ちがわからない
「またやりたいなぁ、ぎりぎりの戦いだった思い出しただけで鳥肌が立つ、あたしと互角で戦える相手がこの世にいるんだ、そう思うとワクワクしてくるねぇ」
こんな時に、バーミルカンという準魔王が彼女に決闘を申し込んできた
グラードが彼女に成り代わり丁重に断った
あの深手では立っているのもやっとで、とても戦える状態ではない
するとバーミルカンは大笑いしてティンギルを罵った
「臆病風に吹かれて仮病を使い逃げた」と
そこまで言われれば根が負けず嫌いのティンギルは深手をおして決闘に応じてしまう
グラードは止めたが
「あんなクソ野郎にはこれくらいのハンデがあって丁度良い」
やはりバーミルカンの劣勢だったがティンギルの傷を知ると徹底的にそこを狙い
遂に深手の傷口を広げ、怯んだ彼女の首を刎ねた
グラートの目の前で
「勝ったぞ、ティンギルに剣技で私は勝ったのだ」
傷だらけでフラフラになりながらもバーミルカンは自分の雄姿を魔物たちに示した
途端にティンギルの魔物たちの一部はバーミルカンへ寝返り
他の魔物たちは散り散りに去って一体も残らない
「準魔王バーミルカン貴様に決闘を申し込む」
「愉快な話だがこの傷だ日を改められよ」
すかさずグラードは大笑いして
「臆病風に吹かれて退散されるかそれも良かろう、ティンギルを倒したというのもホラだと思われるだろうがな」
「なんだと貴様」
「私の決闘を逃げた臆病者がティンギルを倒せるわけがない」
「貴様もみていただろう、確かに私がティンギルの首を刎ねた」
「私がいる限りそれは通らない、私を倒して初めてそれが確定されるだろう」
暫くバーミルカンは考えたが狡賢い彼は
同じく狡賢い一面を持つグラードが次にどうするのか予測すると
結局こいつを黙らせなければ、自分がティンギルを倒したことは消されて
決闘を逃げた臆病者にされてしまう可能性に辿り着く
「そうまで言うなら今ここでお前の首を刎ねてやろう」
それも良いとグラードは思った
狡賢いとはいえバーミルカンの剣技は決して偽物ではない
ずば抜けたティンギルの前では弱く感じても並みの準魔王なら上位に食い込むだろう
しかし今相手はティンギルによって深手を負っている
当然グラードはバーミルカンの傷ばかり狙い撃ち遂に首を刎ねると思いきや
腕を切り落としたにとどめた
「とどめを刺せ、私の負けだこの上は首を刎ねられよ」
「私の勝ちであれば貴様に用はない、そのまま惨めに生きられるが良い」
「なんという卑劣なことをするのだ」
「ティンギルの手負いを知った上で、その傷ばかり狙って首を刎ねた貴様よりはマシだろう」
すると今度はバーミルカンの魔物たちは蜘蛛の子を散らすように消えていなくなった
「どうやら魔物にも見捨てられたようだな」
返事は無かった、すでに絶命しているようだ
グラードは一滴の涙も流れないことに気が付いた
何故だろう、大切な存在を失ったというのに
彼はティンギルを弔って墓石の前に立つ
「貴様の言う通りだ、こんな無情な魔物たちの魔王になるなんてクダラナイなぁ」
見れば自分についていた魔物たちも姿が消えている
卑怯な勝ち方をしたからだろうか
それとも魔物たちに対する殺気を感じ取ったからだろうか
一度準魔王になれば、たとえ魔物たちが離れて行っても降格はあり得ない
既に準魔王として進化してしまったからだ
「魔王と成ってから魔物たちを皆殺しにしても一度魔王に進化してしまえば魔王ではなくなるなんてあり得ないからな」
準魔王グラードの不気味な笑い声が響いた
それからティンギルに深手を負わせた魔王種を探したが見つからず
それが準魔王に狙われている魔王種テチカらしいことに辿り着く
後に剣帝と呼ばれた魔王テチカである
「みつけて何とする、彼女に何の罪もないただ決闘に応じただけだ」
しかも魔王種であるにも拘わらず準魔王のティンギルに挑まれて断らなかった
これは漸く剣士になったばかりの新米が
世界一になると噂された世界ランキングの上位者といきなり対等に戦うのと同じだ
そんな相手とギリギリの戦いをしてのけたのだ
その時のことをもっと詳しく調べてみると
ティンギルとの戦いで深手を負った状態で
運悪く準魔王に取り囲まれ、追い詰められた彼女を助けた準魔王がいたことに辿り着く
その準魔王が彼女を庇って命を落とした
そんな準魔王を弔い墓を建て毎年墓参りに来ていることもわかった
グラードはテチカのことを見守ることにした
そして彼女にも幼馴染と呼べる存在がいたことを知った
何もかもが自分たちに似ていることに不思議なシンパシーを感じたのだが
この幼馴染はケンカばかりしていていがみ合っている
先に魔王になった魔王テトは一方的に幼馴染であるテチカを嫌っている感じだ
「お前も失ってみればその相手がどれだけかけがえのない存在なのか認識できるだろう」
魔王と成ったグラードは幼馴染が生きている魔王テトが羨ましく思えてならない
よく似た関係性でも両者はまるで違う個性を持っているが故に同じ関係にはならない
そんなことは魔王グラードにもわかっているが
心はそう簡単に割り切れるものではない
魔王グラードはこの世界で最も大切だと思える存在を失ってしまったのだ
心におおきな風穴が空いたまま
魔王グラードは砂を噛む思いで生き抜いてきた
「この頃は魔物のみならず、この魔王界も滅んでしまえばよいとさえ思う」
間接的にティンギルが敗退する原因を作った魔王テチカを許せるのかといえば否だ
しかし彼女より許せないのは、かけがえのない幼馴染を毛嫌いしている魔王テトである
これは自分が失ってしまったものを持っているにも拘わらずそれを踏み躙っているとしか
彼の目には映らない
決して真実ではないことはわかっていても
魔王グラードには自分とティンギルとの関係を魔王テトが踏み躙っているとしか思えなかった
「あのクソ野郎の魔王テトだけは許せない」
単なる妬みで八つ当たりでしかないことは頭では理解しているが
心は素直にそれを受け止めてはくれない
それから魔王大戦が勃発した
折しも魔王テチカと話す機会を得た
「貴様は準魔王ティンギルのことを覚えているか」
最初は驚きの顔を見せたが次第に冷静になった様子で
「忘れるものか、あとにも先にも後れを取ったのはその時だけだから」
魔王テチカはティングるのことを忘れていなかった
それだけで魔王グラードは救われた思いになったがそれだけではない
「私との戦いで深手を負ったせいでつまらない準魔王に首を刎ねられたと聞いた、直ぐに彼女の幼馴染の準魔王が仇を討ったと知ったが、できれば私がその準魔王を八つ裂きにしてやりたかった、貴様如きが勝てる相手ではなかったことを思い知らせるために」
この時の魔王テチカの言葉がどれだけ魔王グラードの心の傷を癒したことだろう
「貴様との再戦を心から願っていたぞ」
この時初めてティンギルの幼馴染が魔王グラードだと魔王テチカも認識した
一瞬驚きの顔を見せたが直ぐに冷静さを取り戻すと
「そうか」
と一言だけ呟いてその場を離れた
この時、魔王グラードは魔王テチカに対する憎しみが好意へと変わった
考えてみれば
ティンギルが生まれて初めて鳥肌が立つほど幸せを感じる戦いをしてくれた相手なのだ
それだけに、幼馴染である魔王テチカを目の敵にしている魔王テトが許せない
顔を見れば嫌味の一つでも言いたくなるのは仕方のないことかも知れない
こうなれば魔王テトの何から何まで全てが気に入らない
自分の情の深さを誇示するような態度もあざとく思える
何事も考え無しで思ったまま行動する無鉄砲で気まぐれなところも無責任だと言える
全てが醜悪な一面に見えてしまうのである
この世の殆どの者が嫌いな相手の良さを見つけ出すことは困難であろう
大体の場合純粋な好意を示されたとしても相手が嫌いな相手なら
曲解して悪巧みに感じてしまう
「一体何を企んでいやがる」と
この感情を解くことは一筋縄では行かない
まして魔王グラードの心の深い所についた大きな古傷に
魔王テトの一挙手一投足全てが触れて苛立ちをおぼえてしまうのだからどうしようもない
この古傷は常に魔王グラードの心に働き掛けている
このクダラナイ魔王界を滅ぼしてしまえ
無情な魔物たちを根絶やしにしてしまえと
彼の理性はそれを封じ込めてはいるが
確固たる信念で否定するだけの理念を彼は持っていない
そんな時海を渡り魔王ロドリアスの魔物が自分の魔物の森を襲撃してきたのだ
自分の魔物たちを自爆テロの如く殺して行く魔物たちの姿を垣間見たとき
「これこそが魔物たちの本性だ」と襲撃してきた魔物たちの首を刎ねながら
彼は心の古傷を呼び覚ました
魔王テチカによって理性的に魔王であり続ける道もあると考え始めた彼だったが
やはり、こんな魔物など絶滅させた方が良いという考えに支配されて行く
また
魔王大戦を起こすほど愚かな魔王たちなど滅ぶべきだという考えが溢れ出して抑えられない
この世の中では厄介なことは多い
この心の問題はその中の一つである
今魔王グラードが直面している状態というのは
自分の心と向き合うことから逃げて誤魔化しながら生きて来た者が
自分の本当の気持ちを突き付けられたとき、その思いに呑み込まれてしまった状態である
本来なら理性的に分析して制御すれば良いことなのだけれど
極度に不安定な精神状態で呑み込まれるというカタチでは冷静に対処することは出来ない
何の理論武装もしていない者が、洗脳された大衆意識に簡単に呑み込まれてしまうように
魔王グラードは古傷の誘う声に呑み込まれて心が動かなくなってしまった
こうなれば最早何者の説得にも聞く耳を持てなくなる
この手の思考停止が厄介極まりないのは
理性的な対話が成立しない精神状態に陥ってしまうことだ
本人だけは冷静でいるつもりだけれど結局自分の感情に支配されている
その上魔王グラードは知略に長けている
具体的にこれを利用して魔王界を滅ぼしてしまう計画を立案して実行に移した
知略に長けた魔王グラードが一連の襲撃事件は亜魔王種の仕業だと見抜けない筈はない
にも拘わらず、これを利用して一気に魔王界を滅ぼしてしまう画策を即座に実行した
今魔王ロドリアスと戦えば間違いなく他の魔王たちは分断状態になるだろう
自分を嫌う魔王たちは魔王ロドリアスに味方する
その魔王たちを快く思わない魔王は好みとは関係なく自分の味方になる
「互いに殺し合うが良い魔王ども、貴様らの末路は滅び以外無いだろう」
ここまでは亜魔王種の思う壺である
「亜魔王種ども、お前たちの思い通りになると思うな、お前たちには何も残してやらない」
魔王グラードは敢えて魔物たちを軍隊形式にまとめ上げ
魔物たち諸共に海を渡り魔王ロドリアスの森へ進撃する作戦に出た
これでは魔物たち同士も戦うことになる
魔王グラードは魔物をこの争いに巻き込み魔物まで一網打尽にするつもりなのだ
仇討ちを好む魔物たちは
魔王ロドリアスの魔物に襲撃された魔物たちの仇を見事果たしたと
魔王グラードの魔物たちに感銘を受ける可能性は高い
こうなると魔物たちは魔王が戦えば自分たちも参戦するようになる
魔王同士が戦えば魔物もまたともに相手の魔物と戦うようになる可能性は高くなる
これが全てを壊滅させる魔王グラードの策略のようだ
もし魔王グラードの計略が実現すれば亜魔王種も困り果て道を見失うことになるだろう
恐るべきは、自分の命を顧みず敵討ちのため敵陣に突っ込んで行く魔物たちの雄姿に
共感し感銘を受けてしまう魔物たちの共通認識を利用した魔王グラードの策略である
魔王グラードは魔物たちに先行襲撃させている
必然的に魔物の森は乱戦状態となり魔物たちは殺し合い森は彼らの鮮血で真っ赤に染まる
無数の魔物たちの屍を踏みながら魔王グラードが魔王ロドリアスの城へ現れた
「貴様は魔物たちを滅ぼすつもりか」
魔王ロドリアスが訴えるのも無理は無い
「それは違うな、私が滅ぼしたいのは魔物を含めた魔王界全てだ」
「亜魔王種に洗脳でもされたのか」
「そうではない、これは亜魔王種たちが最も困る戦いになるだろう」
魔王グラードは亜魔王種たちが魔王に取って代わろうとしていることを見抜いていた
そこで支配する魔物たちまで滅ぼしてしまえば結局亜魔王種には何も残らない
彼らの切望してやまない魔王に取って代わる策略は潰(つい)えてしまうしまうのだ
「魔王ロドリアス貴様には何の恨みもないが、これも魔王と成ってしまった業だと思われよ」
「貴様がどのようにこの世界の法則を解釈するのも勝手だが私を巻き込むな」
「すでに貴様は私の術中に嵌っている、最早私と共に滅ぶしか道は無い」
「そんなこと勝手に決めるでない、何事も戦ってみなけばわからないからな」
「これは私との決闘の勝ち負けを言っているのではないぞ、たとえ貴様が私を倒したとしても貴様に生き残る道は無い」
「貴様の策略など見切っているぞ、他の魔王を巻き込んだ争いにするつもりだろう」
「そこまで読めているなら話は早い、貴様にはその生贄になってもらう」
「貴様の命も犠牲になるぞ」
「魔王と魔物たちが滅ぶなら、私の命などいくらでもくれてやる」
「その覚悟に免じてまともに戦ってやる」
結局魔王ロドリアスも魔王としての本能に抗うことは出来ないようだ
こうして魔王グラードと魔王ロドリアスの戦いの火蓋は切って落とされた
つづく
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あとがき
魔王グラードの策略は魔王だけでなく魔物まで滅ぼすもので
それが同時に亜魔王種の夢を打ち砕くものにしてしまった(((゜д゜;)))
こうなれば、亜魔王種はどうするでしょうねΣ(@@;)
後々自分たちが支配するつもりの魔物たちが絶滅すれば
亜魔王種は魔王にとって代わったことにはならない(=◇=;)
魔王グラードは亜魔王種の思う壺に陥っているわけではなかった
彼の知略を舐めてはダメでした・・・(。_。;)゜:。アセ ←舐めていた作者
こうなるとですね、今後の物語の方向性が大きく変わってしまうわけですよ
私のその後の画策もすべて粉砕されてしまうわけですよヽ(;´ω`)ノ
プロットを大幅に書き直さなければならなくなるわけですよᕙ(⇀‸↼‶)ᕗ
この期に及んで、またキャラにしてやられました(--。。
どうする私ヽ(;´ω`)ノ
こうなればシーラン師匠やマーリアに任せるしかないでしょうね¢( ・・)ノ゜ポイ
丸投げのまる☆