驚異的早さでランドは回復した

 

そして自分の変化に気が付く

 

ホルンとカムイの記憶が入り混じっていたことや

 

戦闘力及び頭脳も今まで以上に冴えわたるのを感じた

 

カムイは自分を犠牲にして自分を救ったのだと聡明なランドは推理する

 

「親の敵に救われたというのか」

 

あの時、ラッドリュートからカムイ元帥を庇った

 

けれどそれは条件反射的にした行為で決して自分の意志ではない

 

そうだろうか、どこかでカムイ元帥を許している可能性もあるかもしれない

 

ランドは一旦自分を俯瞰で観ながら今までの経緯を辿ってみた

 

父ブラスト将軍がカムイ元帥を殺すことを止めたところに行き当たる

 

あの時は理解できなかった

 

自分が感情的になり怒りに身を任せて見境なく殺す過ちを二度と犯さないように

 

父ブラスト将軍が諭してくれたのだと理解したが

 

カムイ元帥の言葉が事実なら

 

目的も目標も見失い、自分が人間の心を遂に持てなかった絶望感から死を望み

 

それをカムイ元帥が応えたことになる

 

またカムイ元帥の記憶から

 

彼がブラスト将軍に対する気持ちはマーリアに対するそれに近く

 

本当は「友」と呼び合いたかったことが感じられる

 

「殺したくて殺したわけではない、唯一の友の願いを叶えただけなのだな」

 

そのことは薄々感じていたのだが認めたくなかった

 

今カムイ元帥の記憶からそれが真実であると実感してしまう

 

そして、借りを作ることに対する拒絶反応は半端ない事も感じられる

 

ところが、自分を助けるためにザダムに首を斬らせたのは

 

ラッドリュートから庇って貰った借りを返す気持ちだけではない

 

ランドがあくまでブラスト将軍の息子であると言い張るのであれば認めるしかない

 

そして彼の唯一の友であるブラスト将軍の息子を死なせるわけには行かない

 

たとえほんの僅かな延命だとしてもランドを助ける道を選択した

 

カムイ元帥のその心はホルンと重なっていて純粋にカムイ元帥の心ではないが

 

ホルンとカムイは元々同じ存在が二つに分離してしまつた状態であること

 

そしてこの二つが再び融合することで完全体に成れたこと

 

ランドは次々に明らかになって行くカムイ元帥の真実を受け止めた

 

つまり、自分の助けてくれたカムイ元帥は紛れもなく彼そのものであることは間違いない

 

またランドの特異体質は亜魔王種の魔力を相殺する性質がある

 

ホルンの魂に紐づけされた亜魔王種の呪詛はランドと融合することで消滅した

 

この相殺体質は亜魔王種がロンギヌスの槍で

 

デュカルト王にランドを始末するよう仕向けてまで殺そうとした理由の一つだろうか

 

当時のデュカルト王の心は亜魔王種の呪詛に影響されていた

 

ロンギヌスの槍を作ったのはホムンクルス同様にネオホムンクルスも暴走するかもしれない

 

その時の対策だったかもしれない

 

その槍を失ってまでランドを殺そうとしたのだから

 

それだけ亜魔王種にとってランドもまた脅威だったと言えるだろう

 

マーリアやシラスター王同様にランドにも亜魔王種の力は全て相殺されてしまう

 

亜魔王種は自分たちにとって脅威となる存在は徹底的に排除する性質を持っている

 

或いは魔力の暴走によって失われた脳を補うために

 

そのように変化してしまったのかもしれない

 

何れにせよ今の亜魔王種にはそういう性質があるようだ

 

今のランドはホルンとカムイの力を吸収していることになる

 

突然変異種のホルんを吸収したカムイ元帥が更なる進化を遂げたように

 

その変化した突然変異種を吸収したランドは更なる進化を遂げた

 

とは言えネオホムンクルスが崩壊する宿命までは相殺されない

 

これは魂と魔力を制御するシステムが噛んでいるため

 

もう一度生まれ直す過程を経なければ回避することは出来ない

 

従って依然としてランドは確実に崩壊へ向かっている

 

そのことはナタルによって知らされ今では自覚するようになった

 

「私にはまだまだ遣りたいことがある、何よりテーシー女王の力になりたい」

 

彼女が誤解されやすい性質を持っていて自覚はあるのに改善は難しい

 

だから彼女の気持ちを解説してあげられたなら

 

誤解によって進みの悪いトリメキア国の改革を早めることも出来るだろう

 

ランドは他の者たちと違い自分の戦闘力にそれほど執着していない

 

自分の強さを誇りとしないためどんなに打ちのめされ自分の弱さを示されたとしても

 

彼にとってそれはただそういう事実があるだけに過ぎない

 

それならそれで、違う方法で目的を果たせばよいと明晰な頭脳は違う道を示してくれる

 

彼はその示された道を躊躇いなく歩き出せる

 

従って妬みや嫉妬も生まれ難い

 

亜魔王種が付け入る隙が中々生まれない

 

彼にとって自分の能力はあくまで目的を果たすために活用するものだと認識している

 

他との比較によって気持ちを上下させるという発想そのものがないのである

 

戦闘力が劣るのは不利だが、それだけである

 

どんなに戦闘力が自分より勝った相手でも、その能力を発揮させなければ問題はない

 

ランドの強みはデュカルト王同様に対等な立場で相手を戦わせない戦略的能力だ

 

テーシー女王もまたそれに長けている

 

ある意味デュカルト王ですらテーシー女王の戦略的能力に勝てなかった

 

しかしランドなら或いは彼女を出し抜くこともできるかも知れない

 

だからこそ、彼女の力に成れるのだろう

 

しかし彼にはネオホムンクルスになる時失ったものがある

 

それは自尊心と執着心である

 

まるで自分のことでも他人事のように分析して処理できるが

 

自分を道具として使うため消耗品扱いしてしまう可能性は高い

 

これは彼の母体である少年の性質なのだろうか

 

彼は自分の為に生きるにはあまりにも淡泊である

 

誰かのために力に成ることに喜びを感じて生きる性質が強いようだ

 

しかしネオホムンクルスになってからはバランスを重視する思考パターンを持つようになった

 

これが彼の戦略的能力を飛躍的に向上させている

 

ふとランドは違和感を覚えた

 

他人事のように自分を分析しているのは自分自身だろうか

 

何者かが自分の記憶を読み取り分析しているのではないか

 

その疑念が浮かぶと目が覚めた

 

目の前に見知らぬ男が立っていた

 

「人の領地に土足で踏み込んだ理由を述べよ」

 

黒づくめの見知らぬ男が話しかけて来た

 

どうやらこの男の領地まで飛ばされたらしい

 

ランドはずば抜けた推理力を駆使してここが魔物の森であることに辿り着いた

 

彼の領地ということは、魔王の誰かに違いない

 

「非礼をお詫びします、私はランドと申します」

 

ランドは父ブラスト将軍から学んだ礼儀を実行した

 

果たして人間の礼儀が魔王に通用するのかはわからない

 

生物学的にもまるで違う種族であり、文化も文明も違う

 

魔王にも独自の礼儀が存在することは間違いないだろう

 

ただマーリアの魔王テチカに対する接し方は人間の礼儀そのものだった

 

何かしら共通点があるのだろうか、或いは魔王テチカが肝要に異文化を受け止めたのか

 

だとすれば、ここに居る魔王がそれを受け止めてくれるとは限らない

 

ましてその相手は自分の領地に侵入してきた相手なのだ

 

魔王テトなら理由も聞かず八つ裂きにするとみんなが言っていた

 

このことで魔王テトと魔王テチカの違いに気が付いた

 

実際会ってみれば魔王テトはざっくばらんで礼儀より気持ちを重視していた

 

一方魔王テチカはやはり礼儀を重んじる傾向を感じる

 

ランドにとって両者は一度会っただけだ

 

分析するにもあまりにも材料が足りない

 

ふとこの時点で初めて自分が鎖に繋がれていることに気が付く

 

しかも強力な魔力による結界が張り巡らされていて

 

自分の力が完全に封印されているようだ

 

「お前が何者で何故我が領域に踏み込んだのかわからないため鎖につないだ」

 

「いえ、当然です、私は人間のドルトエルン国の将軍ブラストの一子ランドと申します、今は国名を改めトルメキア国と呼んでいます」

 

不思議なことにこの黒づくめの魔王はどこか懐かしい感じがする

 

「お前は人間ではないな、先ほどから私の魔力が通じない」

 

「失礼しました、確かに私は人間ではありません、ネオホムンクルスです」

 

「ネオホムンクルスだと」

 

「魔王にとっては仇のホムンクルスを模して作られたものです」

 

「この瞬間お前は首を刎ねられても仕方がない立場だが何故正直に言った」

 

「私の父が申しておりました、敬意を持てる相手なら何事も正直に話せと、嘘をついても直ぐに見抜かれて相手にされないだけですから」

 

黒づくめの魔王はそれには応えず質問を続けた

 

「何故人間を父と呼び慕っているのだ」

 

「私をネオホムンクルスと知りながら養子に迎えてくれました、そして何より私は父ブラストを心から尊敬しています、私は父ブラストの様な人間になりたい」

 

「ネオホムンクルスが人間になりたいと思っているのか」

 

「はい、あなたも笑われますか無駄なことだと」

 

最早人間ではなくなった自分が人間に戻ることは出来ない

 

そんなことは最初からわかっている

 

だけど自分は父ブラスト将軍のような人間になりたいその衝動は抑えられない

 

「いや、むしろ愉快な気持ちだ、お前はこの世界の理とは違う法則で生きているようだ」

 

ランドは初めて自分の生き方を認められたような気持ちになった

 

途端に、溢れ出て来る涙が抑えようとしても止まらなくなる

 

「初めてです、何も問いただすことなく私の生き方を愉快だと言ったくださったのは」

 

「そうか」

 

黒づくめの魔王はそっけないくらいあっさりと返答した

 

それがとても懐かしく感じられる

 

この感覚は間違いなく父と仰ぐブラスト将軍とそっくりだった

 

「殆どの者は理解はしてくれても、愉快に思ってくれることはありませんから」

 

「ネオホムンクルスが人間になろうとして何がおかしいというのだ」

 

「私は望まれて生まれて来たわけではありません、生きていて良いのかさえ今はわからなくなっています、ただ父ブラストだけは私を選んでくれた、私はずっとその父に報いたいと思っていました、何故でしょうあなたはその父にどこか似ている」

 

「それは光栄なことだ」

 

「人間如きに似ているなどと不愉快に思われないのですか」

 

「私に似た人間がいたとしてそんなものをいちいち不愉快に思っていても詮無きことだ、それにお前はその人間の父を尊敬しているといっていた、どこに不愉快に思う要素がある」

 

言葉はとても無味乾燥とした響きで、本当にそのように思っているのかわからないが

 

それがまた父ブラスト将軍に似ているのだ

 

ランドは懐かしさのあまり胸が詰まり気持ちを上手く言語化できなくなった

 

「ありがとうございます」

 

やっとの思いでその言葉を口にした

 

すると、黒づくめの魔王はほんの少し優しい眼差しをして鎖を外してくれた

 

「私を信用してくださるのですか」

 

「いや、信用ではなく信頼に足ると思った、非礼を詫びる」

 

「勿体ない言葉をありがとうございます」

 

ランドがあまりにも真っ正直過ぎるため

 

魔王ザッドは少しばかり心配になったようだ

 

「よくそのまっすぐな気性で生き残ってこられたものだ、人間界は戦ばかり起こしていると聞くが」

 

「はい、先ごろその戦を終わらせるべく大きな戦を終えたところです、運が良かったのでしょうね」

 

まるで父ブラスト将軍との思い出がフラッシュバックしているような感覚になり

 

自然と笑みを浮かべるようになる

 

「確かにお前はひ弱だ、このままではお前の目標も達成するのは困難だろう、暫くここに居て私に剣技を学べ」

 

「私に剣技を教えていただけるのですか」

 

「お前が望むなら」

 

「はい、願ってもない事です、ところで私はあなたの名前も知りません」

 

「なんだお前は私が何処の誰かも解らずこの領地に入り込んだのか」

 

「魔王のどなたかとは思いましたが」

 

魔王ザッドは笑いだす

 

「愉快な奴だな、私は魔王ザッドだ」

 

「魔王ザッド、謹んでお礼申し上げます」

 

ランドは礼を尽くした

 

その礼儀が魔王に通用するとは限らない

 

しかし、魔王ザッドは受け止めたようだ

 

次の日からランドの修業が始まった

 

「お前の剣技で足りないものは混沌(カオス)だ」

 

ランドが三手打ち込んだだけで魔王ザッドは見切ってしまった

 

それだけ力の差は歴然で、恐らくラッドリュートを遥かに超えている

 

また今まで戦ったことのない剣技だった

 

あらぬ方向から剣が飛び込んできてはやり込められる

 

交わすことすら出来ない

 

「混沌(カオス)とは何ですか」

 

「お前の剣技は感覚と理屈が常に表裏一体となっている、美しく洗練されている、それだけに読みやすい、次の一手が手に取るように理解できてしまう、お前の速さなら人間なら例え読まれても追いつけまいが、相手が人間以外で手練れとなれば不利でしかない」

 

「しかし、どうすれば良いかわかりません」

 

「それで良いのだ、そのわからない状態を意図的に作り出せれば、本人がどうなるかわからない剣技など誰にも読むことは出来ない」

 

「その分確実性は落ちてしまいます、場合によっては不安定となり隙を作ることになります」

 

「隙などくれてやれ、それ以上に相手を翻弄することができれば、お前がどんなに隙だらけでも攻撃するのを躊躇うだろう」

 

無茶苦茶な相手は手が付けられない

 

それを意図的に実行しろと言っているらしいが

 

意図的に出来るくらいなら混沌(カオス)にはならないだろう

 

つまり、自分でも制御不能な状態に陥って初めて混沌(カオス)足りえるのだ

 

理性的で分析的なランドかそんな攻撃をすることは極めて難しい

 

ところが次第に勘を取り戻してきた

 

それは父ブラスト将軍と出会う前までの自分の剣技である

 

その時の剣技とはまさに感覚オンリーである

 

今のランドの剣技はブラスト将軍の知性を習得したばかりに

 

彼本来の本能的、野性的な剣技が完全に封印されていたのだが

 

魔王ザッドはランドの剣技の本質を見抜きそれを見事に引き出した

 

何処から繰り出されるかわからない魔王ザッドの剣技を悉く交わす

 

これはまさにローアの剣技の真骨頂だった

 

「やはりこ奴はローアの性質こそが本質だ」

 

性格は自分と類似した所があるのに

 

剣技の才はローアに近い

 

ランドこそローアの剣技を会得するのにふさわしいと魔王ザッドは感じ取った

 

これはブラスト将軍と出会う前までのランドの感覚を蘇らせる行為でもある

 

人間の心を持たぬ徹底的に相手を倒す殺戮兵器だった頃のランドは

 

実に野性的で直感的な才能に恵まれていたのだが

 

ブラスト将軍の相手の実力を出し切らせない合戦に近い戦い方で敗れたことで

 

彼は学習した、それからはブラスト将軍の戦略を破竹の勢いで吸収して剣技に取り入れた

 

それが返って彼の本来の才能を封印してしまっていたのだ

 

シーランがその封印された才能を引き出す基礎訓練を彼に施していたため

 

魔王ザッドは難なく彼本来の才能を容易に引き出すことが出来た

 

ローアの剣技はまさに野生児そのものであり

 

魔王ザッドですらその奥義に辿り着けない

 

しかし今のランドならそこへ辿り着けるかもしれない

 

シーラン師匠の修業の時と同様に屈強で作れ知らずのネオホムンクルスである彼が

 

力付きで倒れ込んでしまう程苛烈を極めていた

 

魔王ザッドの剣技はそれほどまでに凄まじいものであった

 

つまり魔王ザッドは、特異体質の強大な魔力を持っていながら

 

剣技においても魔王テチカを除いてなら他の魔王と一、二を争う程の腕前の持ち主なのだ

 

力付き倒れ込み、そのまま朝まで寝てしまう毎日の中で

 

ランドが目覚めて毎日驚かされるのは

 

目が覚めれば何かに埋まっていることである

 

一体何が起きたのかまるでわからない

 

そのまま何とか這い出てみると、無数の魔物たちが彼に寄り添うように眠っていたのだ

 

魔王ザッドのか弱い魔物たちはランドが大好きになり

 

彼に寄り添いながら眠るのが好きになったようだ

 

これはランドの本質がとても優しいものだと本能的にここの魔物たちは感じ取ったのだろう

 

深く心が傷つきそれが遺伝子的に受け継がれた最弱の魔物たちである

 

心優しいが決して戦闘力は強くない

 

そんな魔物たちが心が優しさに満ちていることをランドは感じられて

 

すっかりランドもここの魔物たちが大好きになった

 

ランドに撫でられると魔物たちは嬉しそうに目を細める

 

「私以外に心を開かぬ魔物たちがお前には懐いているようだな」

 

心なしかそれが魔王ザッドも嬉しいように見える

 

こうしていつしか

 

魔王ザッドにとってもランドは、かけがえのない存在になって行った

 

魔王ザッドが深淵とこちらの世界を綱渡りのように生きているところが

 

父ブラスト将軍と類似していて

 

彼と話していると、

 

懐かしい父ブラスト将軍と話していた日々が

 

まるでフラッシュバックのようによみがえって、切ないくらい懐かしい

 

改めて自分が父ブラスト将軍のことをこんなにも大好きだったのだと再認識させられた

 

その為ランドは時々大樹を見つめながら父ブラスト将軍を思い出し涙が止まらなくなる

 

「父ブラスト将軍に会いたい」

 

そんな姿を魔王ザッドが見かけると

 

ローアを亡くした自分自身と重なって見えた

 

縁とは不思議なもので、それだけに魔王ザッドはランドが愛おしく思える

 

「もしお前の心が許すなら、私を父と思うが良い」

 

「それではあなたを父の代わりとして利用することになります、あなたは父ブラスト将軍にあまりにも似ている」

 

「それでも構わぬ」

 

「魔王や魔物たちの仇であるホムンクルスを模して作られたネオホムンクルスである私を息子とすることは、魔王界にとって裏切り行為ではありませんか?」

 

「それを許容できぬほど小さい心しか持たぬ魔王界など滅べば良いのだ」

 

この魔王は本気で自分を大切に思ってくれている

 

これはかつての父ブラスト将軍そのもののようにランドは思えてならなかった

 

或いは父ブラスト将軍が引き合わせてくれたのではないだろうか

 

ランドは魔王テトも魔王テチカも自分を受け入れてくれていることを感じ取っていた

 

「魔王界はそれほど心が小さいとは私は考えていません」

 

「他にもお前を受け入れている魔王がいるのだな」

 

聡明な魔王ザッドは直ぐに察知した

 

「はい、魔王テチカも魔王テトも私をネオホムンクルスと知りながら受け入れてくれています」

 

「ほう、それは面白い、私は魔王テチカを誤解していたようだ、今なら魔王テトとも酒を酌み交わしても良い心境になったぞ」

 

少しずつ、ほんの少しずつ魔王ザッドをランドは深淵から遠ざけて行くようだ

 

「私は幸せ者だ、父と呼べる人間ブラスト将軍と、そして魔王ザッドと出会えたなんて」

 

「ならば今日この日より、お前を我が息子と思うことにする」

 

すると魔王ザッドの魔物たちは喜んで、ランドに擦り寄って来た

 

そのまま魔物たちに呑み込まれるように擦り寄られ、担がれ胴上げされた

 

魔王ザッドの魔物たちの祝福と洗礼を受けながら

 

ランドも魔王ザッドも幸福なひと時を共有していた

 

つづく

 

人間たちの落日 落日の兆し もくじ

 

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あとがき

 

考えてみれば

 

魔物たちを深く愛している魔王ザッドの心を知れば魔王テトが彼に好意を抱かない筈はない

 

また、彼の知性と魔王テチカの知性が共感性を生む可能性もある

 

ランドによって、魔王界を新たなるステージへステップアップさせるのに

 

彼が一役を担って活躍する可能性もありますねエッ∑(`・д・´ノ)ノ

 

最も深淵に近く、魔王界の壊滅を望んでいた彼が

 

実は魔王たちが乗り越えるべき壁を打ち破る道を作り出せる可能性も見えてきました

 

とは言え、魔王テレメットは未だに彼を怪しんでいるし警戒している

 

その誤解は解けるどころか深まるばかり

 

また魔王パルフェが魔王界を立て直すために動きだしたことによって

 

魔王テレメットと競合して魔王ザッドと敵対する可能性も否めないΣ(@@;)

 

その時魔王ミューヤは魔王パルフェの味方になる可能性も非常に高い

 

となれば、まだまだ魔王界は不安定期から抜け出せない

 

とは言え、確実に少しずつだけれど、マーリアの戦略が魔王界に浸透している

 

ランドの魔王ザッドとのことは偶然性が高い出来事だけれど

 

ランドは今はまだマーリアの戦略に手を貸している

 

つまり魔王ザッドもマーリアの手中にあると言えます(((゜д゜;)))

 

このことを知ればマーリアの戦略は更なる進化を遂げることになるでしょうねΣ(@@;)

 

少しずつ亜魔王種は追い詰められて行く

 

魔王ザッドもランドも亜魔王種の力がまるで通用しないのだから

 

恐らくマーリアは今度こそ亜魔王種を一体残らず滅ぼしてしまうでしょうね(((゜д゜;)))

 

今日は何とか続きを描けました\(*´▽`*)/

 

続きはまだ先になりそうです(=◇=;)

 

時間ができればまた描きますねヾ(@^(∞)^@)ノ

 

まる☆