A 父の名前です
我が家では、父親はゆきおである。
呼び方もゆきおである。
いつからゆきおと呼び始めたかは定かではない。一時期姉と2人でたまごっちにハマったときには「ぱぱっち」と呼んでいたが、そこからぱぱらっちへと進化しなかっただけマシだと思う。
世間ではいつだって父親の扱いは雑になったりするものだが、それに輪をかけて酷いのがゆきおの扱いである。というかゆきおと呼ばれている時点で察しがついてくる方も多いだろう。
ある日ゆきおはパソコンの接続に成功した。ドヤ顔だ。どうやら母に褒めてもらいたいようである。
そんなゆきおに母が放った一言が、
「ゆきおのくせに生意気だ」
どこかでそんなタイトルのゲーム見たな。そう思いながら項垂れるゆきおの背中を見ていたのを覚えている。
またある日、ゆきおは姉の車を洗車した。ピカピカだ。ドヤ顔だ。どうやらお礼に缶コーヒーを要求しているようだ。
そんなゆきおに姉が放った一言が、
「調子に乗るなゆきお」
自分で缶コーヒーを買いに車を走らせるゆきおの背中を見送ったのを覚えている。
そんな可哀想なゆきおに、父の日のプレゼントを送ってやろうと電話をかけた。
「父の日、何か欲しいものある?」
「フェラーリ」
「調子に乗るなゆきお」
これが大黒柱、ゆきおである。
