バレンタインですね〜。
この時期っていろんな人からお菓子もらえるので大好きです〜!
今年はどれくらい貰えるかなぁ👀

それではどうぞ!↓
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理佐side

「お風呂にする?ご飯にする?それとも由依にする?」


最近このワードにハマり出したのか家に帰って来たらこの言葉をただいまよりも先に聞くことが多くなった。

これを聞いた時に私に求められているのは由依を選ぶことではない。

前に好奇心から由依と言ってみたら、


由依「お馬鹿なこと言ってないで早く手洗って来て。」


とそっけなく返されてしまった。言ったのは由依なのに。

それにお風呂と言ったとしても由依が1番風呂なの〜。と返されてしまうことがほとんどなので必然的に私が選べるのはご飯だけなのである。

そこまでは普通のどこにでもいるカップルと大差ないだろう。

しかし、ここからが私の恋人の難しいところ。

ただご飯と言うだけではご機嫌を損ねてしまう。

誰のご飯でもいいのか、と。

そんな紆余曲折を経てたどり着いた私の中のベストアンサーは。


理佐「由依の美味しいご飯が食べたいなぁ。」


そう言うとキラキラと目を輝かせて、


由依「すぐ準備するねっ!

とるんるんでキッチンに戻って行く。

今日もそれでことなきを得るはずだったのだけれど…、。

玄関のドアを開けた時いつもとは違う甘い香りがした。

なんでだろ?と思いながらも玄関に入ると、キッチンからパタパタと足音が聞こえた。


理佐「由依ただいま〜。」


由依「ご飯にする?お風呂にする?由依にする?」


ここでいつもの質問。私が答えるべきは…


理佐「ゆいの、」


由依「あ!!そうだった!!それともチョコレートにする?」


理佐「え?」


チョコレート。その言葉を聞いて、今日がなんの日か思い出す。

甘い匂いの正体はチョコレートか。


理佐「今日バレンタインだっけ?」


由依「え、理佐忘れてたの?」


驚く私とは対照に怪訝そうに私を見る由依。


理佐「ごめん、最近お仕事忙しくて…。」


由依「え〜!」


むっとしながらキッチンに戻って行こうとする由依の手を掴む。


由依「ん?」


理佐「うそ。ほんとはちゃんとあるよ。」


私の片手には綺麗にラッピングしたチョコレート。

本当は由依がいない間にちゃんと手作りしていた。


由依「!!」


嬉しそうに目を見開く姿は餌をもらって喜ぶ子犬そのもの。


由依「理佐ありがとっ!いつ作ったの?」


理佐「どういたしまして。この間作ったの〜。」


由依「そうなの!あ、私もある〜!」


私の手を引いて嬉しそうにキッチンに戻って行く。

何を作っているんだろうなぁ。私もワクワクしながら後をついて行くと。

なぜかオーブンの前で由依が慌て出した。


由依「り、りさ、、どうしよう…」


涙目の由依の後ろ側を覗くと焦げてしまったチョコレートケーキがあった。

お菓子作りで由依が失敗するなんて珍しい。


由依「前はねっ、?失敗しなかったの…」


涙目でそう訴えてくる由依は尻尾と耳の垂れ下がった犬に見える。


理佐「んー、でも食べれると思うけど…」


ちょっと焦げちゃっただけでしょ?と返すとうーん…と唸った。

またオーブンを覗き込んだ由依が目を見開いた。


由依「あ、!」


オーブンのタイマー設定がうまくいっていなかったらしく、まだ作動していたみたいだ。

慌ててオーブンから取り出そうとする由依の服が湯煎で使ったっぽい鍋に引っかかりそうになる。


理佐「由依、!危ない!」


慌てて由依の腕を引っ張ってお湯から庇う。

幸い、すぐに取っ手を抑えたから少しお湯がかかったくらいで済んだ。


由依「り、りさっ!手!!」


理佐「このくらい大丈夫だから。ね?」


由依「で、でもっ、!」


理佐「…由依、ちょっとこっちおいで?」


由依をソファに座らせる。

こういう失敗が重なってしまった時の由依は絶対に自分を責める。


理佐「由依?私なら大丈夫だから。由依のせいじゃないよ。」


由依「…」


下を向いて俯いたままふるふると首を横に振った。


理佐「…どうしたの?」


由依「私がご飯上手に作れなかったら理佐にしてあげられること全部無くなっちゃう、。」


理佐「え、」


そりゃあ由依のご飯が食べられなくなるのは悲しいけれど、それで由依が私にしてくれることが全部なくなるなんてそんなわけない。


由依「…みぃちゃんとふーちゃんにあんまりわがままだといつか理佐に愛想尽かされるよって…」


理佐「…」


由依「だからせめてご飯はちゃんと作ろって思ったんだけど…、。それすらも失敗しちゃって理佐に迷惑かけてるし…」


また一段と俯いてしまう由依。


由依「わがままだし何にもできなくてごめんなさい…。」


理佐「ねぇ、もうそれ以上言わないで?」

由依の顔を両手で包み込んで顔を上げさせる。


由依「ん、」


理佐「由依が私にしてくれることがご飯を作ることだけなわけないじゃん、。」


由依「…でも、」


理佐「いっぱい色んなことしてもらってるよ?」


目に涙を溜めて顔を歪める由依。


由依「わがままだし、」


理佐「そんな由依も好きだよ。」


由依「自分勝手だし…、」


理佐「由依だから許せちゃう。」


由依「…理佐にしてもらってばっかり、


理佐「そんなことないってば。由依からもらってるものいっぱいだよ?」


由依「…でも、」


理佐「もうおわり!」


私が大きい声を出したからかビクッと肩が揺れた由依の涙を手で拭いて、強く抱きしめる。


理佐「私はどんな由依でも好きだから。嫌いになる暇なんてないくらい由依への好きで溢れてるよ。」


由依「…ほんとに、?」


理佐「ほんとだよ。だからそんな心配なんてしなくて大丈夫。」
「私は由依のことが好きだし、由依は私のこと好き。これが由依と一緒にいる理由じゃダメ?」


由依「…ダメじゃない。りさ、、」


理佐「ん?」


由依「ありがと、……だいすき。」


声はちっちゃかったけれど、ちゃんと私に届いた言葉。

言葉一つで耳まで真っ赤にさせてしまう由依にまた愛しさが溢れていく。


由依「…りさ、」


理佐「ん?どうしたの?」


由依「理佐からもらったチョコたべたい…、」


理佐「あ、食べよっか〜!」


私の膝から降りてトコトコとキッチンに戻り、チョコレートを持ってくる。

そのままソファに座って開けるのかと思ったら、また私の膝の上に戻って来た。


理佐「えっ、ゆ、由依!?」


由依「…だめ?」


理佐「いや、だ、だめじゃない…」


上目遣いでおそるおそる聞いてくる彼女の破壊力は抜群で。

その可愛さにやられないようにしながら返事をするので精一杯だった。

そんな私よりもチョコレートに夢中な由依。

包装の中から出て来たのは由依の好きなあまり甘くないビターチョコレート。


由依「わっ…、!理佐ありがとう…!!」


由依の反応が可愛くて、おもわず頭を撫でたくなるけど今じゃないと思い直しグッと堪える。

チョコレートを宝物のように眺めている由依を見て、本当にこの子が恋人でよかったと思った。


由依「ね、理佐!食べてもいいっ?」


理佐「ん、いいよ。ほら、あーん。」


由依「え、自分で食べるよ、!」


理佐「ほら由依溶けちゃう。」


私の指先にあるチョコレートを見てうーんと唸っていたけれど、溶けてしまうと催促すれば仕方なくと言った感じで近づいて来た。

かかった。


由依「おわっ!?」


チョコレートを持っていた手とは反対の方で由依の腕を引っ張る。

突然のことにびっくりした由依は私に寄りかかってくるからその隙を逃さずに自分の口にチョコレートを入れる。


理佐「…あ、」


先程よりも近づいた由依の顔に片手を添えてそのまま唇を奪う。


由依「ん、んんっ」


由依の口にチョコレートを移すと、目を見開いて肩を叩いてくるけど聞いてあげない。

しばらくして、由依の喉がこくりと動いたのを確認してからそっと唇を離す。


理佐「ハッピーバレンタイン。」


由依「…あまい。」


顔を真っ赤にさせてそっぽを向いてしまう由依を見て思わず笑ってしまう。


理佐「ふふふ、やっぱりそのままの由依が1番可愛いよ。」


やっぱり私の彼女は世界一可愛いと思う。

だってキスひとつでこんなに甘くて可愛くなってしまうんだから。