Twitterで投票を行ったお話です!
ちょっと死ネタ?かもしれないので苦手な方はUターン!
(直接的な描写は出てきません。)
それではどうぞ↓
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ひかるside

その日。私の運命が大きく変わった。

いつもの帰り道を通らず、寄り道しながら帰ってしまったのが運の尽き。

彼女と出会ってしまった瞬間、寄り道なんかした自分を呪った。


理佐「やっほ。ひかるちゃん。」


やばいんですけども。?、え?、やばいんですけども、、

幻覚でも見てるのかな私。

うん、疲れているんだろう、早く帰って寝よう…。、。


理佐「ねぇ、見えてるんでしょ?おーい、」


やばいって、話しかけられちゃったよ…、!!

ここは無視って選択が1番いいよね…!!

急いでその場を立ち去ろうとした時、後ろから大きい声で名前を呼ばれた。


理佐「ひかるっ!!!」


ひかる「は、はいっ!!!……あ、」


私の返事を聞いた途端、嬉しそうにこっちに近寄ってくる。


理佐「やっぱり見えてるじゃん〜。ひさしぶりひかるちゃん。」


ひかる「いや、え、なんで成仏してないんですか。」


理佐「え〜、ひどいなぁ。ひさしぶりにあった先輩にそんなこと言うの?」


ひかる「いや、だって、。理佐さんは…」


【一年前に交通事故で亡くなったのに…、。】


そう。私の尊敬していた渡邉理佐さんは。

今から一年前のこの季節に酔っ払いが運転していた車に撥ねられ亡くなってしまったのだ。


理佐「うわ〜。、もうそんなに経つ?」


ひかる「はい…、、…って!!普通に話してる場合じゃないです!!」
「なんでまだ成仏してないんですか!」
「ていうか、なんで私のところに!?!?」


理佐「実は…ひかるちゃんにお願いがあってきたの!」


ひかる「お願い…、?」


理佐さんの話はこうだった。

まず、死んですぐに事故現場で幽体離脱のような状態になったみたいだ。

その後、なかなか成仏できずにいて困っていたら他の幽霊から現世に心残りがあるから成仏できないことを聞いたらしい。

それから色々と話を聞き、死後一年が経ったら人間の前に姿を現すことができるのを知った理佐さんはこうして私の元に来た……。


ひかる「いや、え?で、なんで私なんですか?」


理佐「うーん…、多分私の心残りってやつに関係しているんだと思う。」


ひかる「え、まさか…」


理佐「うん。多分だけど、由依のこと。」


由依さんの名前を口にした途端、悲しそうにそして、切なそうに笑う理佐さん。


ひかる「だから、私なのか…、。」


全ての謎に納得がいった気がした。

理佐さんと由依さんは元恋人同士。

そして、私と由依さんは現恋人同士。

つまり…、。?


ひかる「えっと…、。私から由依さんを略奪しに来たってことですか…、?」


理佐「ま、まさか!!そんなわけないじゃん!!」


慌てたように否定する理佐さん。


理佐「ひかるちゃんには、わたしが死んだ時に由依の事沢山支えてもらったしすっごく感謝してる。」


ひかる「そ、そうなんですか。、」


亡くなったとはいえ、今でも尊敬している偉大な先輩から感謝の言葉を告げられ照れてしまう。


理佐「…で、私のお願い聞いてくれないかなぁ…、、」
「一生のお願い…!!!もう死んでるけど…!!」


ひかる「えぇ…、。うーん、。」


私も偉大な先輩に頭を下げられて尚、断るほど嫌なやつじゃない。


ひかる「わかりました…。とりあえず…うち来ます、?」


今日は、由依さんの仕事は遅いはずだからゆっくり話すなら家で話すのが1番だろう。

こんなところで理佐さん目撃されたら、まずいことになりかねないし、。


理佐「えっ!いいのっ!?わーい!」


キラキラとした視線を向けながら、生前と同じ笑顔で微笑んでくれる。

どうしよう。ちょっと泣きそう。


ひかる「ほ、ほらっ、行きますよ!」


いつもの倍くらいのスピードで、家まで帰る。

理佐さんは、浮遊しているから結構なスピードで歩いてもスイスイついてきている。


ひかる「はぁっ、はぁ、ただいまっ!」


急いで玄関のドアを開けて、もう習慣になってしまった挨拶をする。

誰もいなくてもこの挨拶をするようになってしまった。


ひかる「ふぅ、疲れたぁ…。、」


理佐「お疲れ様〜。ふふ、ひかるちゃん汗かいちゃってるよ。」


ひかる「理佐さん、浮遊してついてくるなんてずるいっ!」


理佐「え〜、仕方ないじゃん。幽霊だもん。」


玄関でわいわいと言い争っていると、ガチャっとリビングのドアが開く音がした。


由依「ひかる、おかえり。なんか騒いでる?」


心臓が止まるってまさしくこういうことを言うんだと思う。


ひかる「いや、え、由依さん今日帰り遅いんじゃ…、!」


由依「あー、仕事急遽明日に延期になって。」


リビングから歩いてくる音に、焦り出す私と理佐さん。


ひかる「ど、どうしましょう!」


理佐「えっ、私、消えられる方法知らないんだけど!、」


ひかる「なんでですかっ、!ぽんこつ!」


理佐「ぽんこつって酷いな!」


由依「何騒いでんのひか………え、」


終わった。やばい。終わった。

由依さんは唖然とした表情で立ち尽くしている。


理佐「お、おっす…由依……」


由依「り、、さ、、?」


途切れ途切れに声を発する由依さん。


理佐「うん…。」


由依「っ、。」


ぽろぽろと涙をこぼして俯く由依さん。

そんな由依さんを見て理佐さんが手を伸ばしたけれどすっと通り抜けていった。


理佐「っ、」


ひかる「触れないんですか、、」


理佐「うん、。幽霊だからね、。」


悲しそうに顔を歪ませる理佐さんに私の胸も締め付けられた。


ひかる「わ、私の体貸してあげます…。」


理佐「え、?」


ひかる「ほ、ほらよくドラマでありますよね。幽霊が生きてる人間の体を借りて何かするみたいなの…、。」


理佐「…ひかるちゃんはそれでいいの、?」


ひかる「……今の由依さんに必要なのは私じゃない。理佐さんなんです。」


悔しいけど認めるしかない。今の由依さんの涙を拭えるのは理佐さんだけだ。


理佐「…ごめんね、。」


理佐さんの体が近づいてきてすっと意識が途切れた。


由依side

今日は、仕事が急遽別日に変更になり午後の時間がオフになったからひかるの家にお邪魔していた。

もうすぐで、付き合ってから半年になるわたしたち。


由依「…そろそろ前に進めたのかな、私、。」


ポツリと呟いてみるけれど、正解はわからない。

理佐。

今でも会いたいと思っているのは事実で。

どうにかして理佐に会えないかななんて、理佐が死んだ直後ば何回も後を追おうとした。

その度にひかるが止めてくれて、支えてくれた。

最近は理佐のことを思い出す回数が減ったと思う。


由依「これが前に進めてるってことなのかなぁ…」


自分の中で結論を出しかけた時に、玄関の方でドアが開く音がした。


由依「あ、ひかる帰ってきた。」


迎えに行こうとすると、何やら騒がしい声が聞こえてきて玄関にいるのは1人じゃないことに気がつく。


由依「ひかる、おかえり。なんか騒いでる?」


玄関に歩いて行くと、やっぱり人影が見えた。

保乃ちゃんかな。それとも天ちゃん?夏鈴ちゃんかも。

なんて予想していった人達は、どれも不正解で。

そこには予測もできないような人が立っていた。


由依「何騒いでんのひか………え、」


一瞬で頭が真っ白になった。

なんで、あなたがここにいるの。どうして。


理佐「お、おっす…由依……」


今も変わらない挨拶の仕方に、胸が締め付けられる。


由依「り、、さ、、?」


途切れ途切れに出た声は、本人に届かないくらい小さかったと思う。


理佐「うん、。、」


理佐がせつなげに頷くのを見て、涙が溢れてきた。


由依「っ、。」


ずっと会いたかった人。忘れられない人。もう会えない人。

もう一度だけでいいから話したかった人。

なのに、いざ会ってみると言葉すら出てこなかった。

感謝とか気持ちとか色々伝えたいことはあるのに涙が溢れてきてうまく言葉にならない。

そんな私の頭を優しく撫でてくれる手。


ひかる「「……由依、。」」


ひかるの声なのに、なぜか理佐の声と重なって聞こえた。

思わず顔を上げると、にこっと笑うひかるの姿。


由依「…りさ、?」


ひかる「「ひかるちゃんの体、ちょっと借りちゃった。」」


呑気に、へへっ、なんて笑っている姿が生前の理佐を思い出させた。

その事実に、普通なら絶対に受け入れられないことがすんなり受け入れられてしまう。


由依「…そっ、か、、理佐。ごめん急だけど、。……ぎゅっとしてくれる、?」


理佐side

ひかるちゃんの体を借りて由依の頭を撫でてた時に、気持ちが溢れそうだった。

でも、今の私はひかるちゃんだから。

それに、認めたくないけどもう由依は私の恋人ではないし。

抱きしめたい気持ちをグッと堪えて、由依を見つめる。


由依「…そっ、か、、ね、理佐。…ぎゅっとしてくれる、?」


ねぇ、由依それはずるいよ。

私がどれだけ我慢しても、そんなこと言われたら止まらなくなる。


理佐「「っ、。」」


思わず、ぎゅっと由依の体を抱きしめる。

亡くなる前は、私の方が身長が高かったから由依の全部を包み込むように抱きしめていたけれど、今の私はひかるちゃんの体を借りているから由依よりも大分身長が低い。

ぎゅっと抱きしめてみたけれど、なんだか慣れない。


由依「ふふ、理佐ちっちゃい。」


理佐「「むっ、私がちっちゃいんじゃなくてひかるちゃんがチビなだけだよ!」」


慌てて否定してみると、脳内から抗議の声が上がった。


ひかる「(ちょっと、理佐さん!体貸してあげてるのに失礼じゃないですか!)」


理佐「(でも、ほんとのことじゃん!!)」


ひかる「(むむっ!)」


私とひかるちゃんが言い争ってるなんてつゆ知らず、中に入るよう勧める由依。


由依「…とりあえず、リビング行こっか…ひ、ひかる?」


そりゃ外見はひかるちゃんだから由依の対応で正解なんだけど…。


理佐「「ねぇ、由依。今は理佐って呼んでよ。」」


由依「わ、わかった…、。り、理佐?」


だめだ、可愛い。照れ混じりに俯きながら呼んでもらう自分の名前はやっぱり特別に聞こえた。


由依「だぁっ、だめだやっぱり照れちゃう…!!」


理佐「「はは、可愛い。由依って昔から照れ屋さんだったよね。」」


由依「仕方ないじゃんっ!理佐が照れさせるようなことばっかり言うから…!!」


ひかる「「ふふ、例えば〜??」」


由依「た、例えば…!!〜〜っ!理佐!からかわないで!」


顔を真っ赤にして睨んでくる由依に懐かしさを感じた。


理佐「「ごめんって!」」


リビングに行くと、由依の趣味全開な部屋が広がっていて思わずクスッと笑ってしまう。


由依「な、なに!」


理佐「「いや、由依らしい部屋だなぁって。昔からこんな感じだったよね。」」


由依「そうかな…。どちらかと言うとひかるの趣味な気がするんだけどなぁ…、」


ひかる「(ふっふっふっ、2人で色々と家具を買いに行きましたからねっ!)」


心の中でマウントを取ってくる後輩にちょこっとだけ嫉妬しながら、ソファに座った。


理佐「「とりあえず、一回ひかるちゃんに体返そうかな。そっちの方が話しやすいだろうし。」」


由依「あ、うん。わかった。」


シュルルッという音がした後に、ひかるちゃんがカクッと動いた。


ひかる「うぅん……、。あ、戻って来れた感じですか?」


理佐「体、かえしたの。」


ひかる「ゆーいーさーん!!」


うわ、泣き真似しながら由依の膝で膝枕してもらっちゃってるよ、このチビ。


理佐「もう!私がいるのに!!!」


急いで引き剥がそうとしても、なんせ幽霊だからすり抜けていくだけ。


理佐「も〜っ!!」


ひかる「へへんっ!私の勝ちですねっ!」


由依「まぁ、まぁ、2人とも…!!」


睨み合う私たちを宥める由依。

…こんな光景、久しぶりだなぁ…、。


由依「っ、、理佐…?」


ひかる「えっ、あ、り、理佐さんっ、?」


2人の心配そうな焦ったような顔。


由依「なんで泣いてるの、。?」


由依に言われて、気がついた。私、泣いてるんだ。


理佐「ごめっ、…ちょっと懐かしくて…、、」


由依「…うん、。」


ひかる「理佐さん…、、」


触れないけど、そばにいてくれるからあたたかい。

2人の温もりを感じていたら、涙なんて引っ込んでしまった。


理佐「ふふ、2人とも心配してくれてありがとう、もう大丈夫だよ。」


ひかる「なら、よかったです!」
「そういえば、私に話したこと由依さんに伝えなくていいんですか、?」



理佐「あ、そうだ伝えないと。」


由依さんに対して、理佐さんの口からさっき出会った時に聞いたことをひと通り説明してもらう。

もちろん、由依さんが成仏できていない原因かもしれないということは伏せて。


由依「心残りかぁ…。なんかあるの?」


理佐「いやぁ、あんまりわかんないんだよね、あはは、」
「…でも、。やりたかったことはあって。」


由依「ん?何?」


理佐「…私、交通事故で死んだでしょ?」


由依「…うん。」


私の問いかけに伏し目がちになる由依。


理佐「あの時ってさ、。由依とのデートの待ち合わせ前だったよね、。」


ひかる「えっ、そうだったんですか、?」


由依「…うん、そうだった、。」


理佐「私、。由依とデートのやり直しがしたい。」


ひかる「もしかしたら、それが…」


理佐「…うん。もしかしたらだけど、」


由依「…」


相変わらず下を向いたままの由依につられて思わず俯く。

重い空気を破ったのはひかるちゃんだった。


ひかる「…わかりました。私の体を貸します。」


由依「えっ、?」


理佐「えっ!?」


ひかる「ただし!期間は今日を含めた3日間だけ!」


理佐「で、でも仕事とか…、」


ひかる「あ、明日から2日間オフなんですよ。私たち。」


理佐「あ、そうなんだ。」


ひかる「…私、理佐さんに与えてもらうばっかりで何もできなかった、。」
「だから、これくらいのことはさせてください、。」


理佐「…ひかるちゃん、。」


ひかる「由依さん、いいですよね?」


由依「…ひ、ひかるが、いいなら、」


ひかる「じゃあ、そういうことで。」
「理佐さん。どうぞ。」


ひかるちゃんが手を広げて、こちらをみている。


理佐「…ひかるちゃん、ごめ、」


ひかる「謝らないでください。」


私の言葉を遮ったひかるちゃんの目は覚悟に染まっていた。


ひかる「これは一種の賭けなんです。私の中の。」


理佐「賭け、?」


ひかるちゃんに賭けの意味を聞く前に、スゥッと体が空いて白い光に包まれた。


理佐「「ううん…、。」」



由依「…じゃ、じゃあ。理佐、よろしくね。」


理佐「「うん、。よろしく。」」


由依「…ひかる、ごめん、。」


多分、由依の中でも葛藤があるんだと思う。

好きだった人と今好きな人が同じ体共有してるなんて普通なら理解が追いつかないはずだ。


ひかる「(由依さん…、泣かないで…、。)」


心の中で切なげなひかるちゃんの声が響く。

もしかしたら、私がきてしまったことで2人の何かを変えてしまったのかもしれない。、

それでも、。由依に伝えたいことがあるから今だけは許してほしい、。

その夜は、沈黙の中重たい空気が流れる長い長い夜だった。


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前編、中編、後編に分けて投稿します〜!

では、!!
maru◯