電気関連の「物理実験」では測定器の点検・準備が大変な作業になりますし,回路が組めない生徒が大半になることもあり「簡単実験」では色々工夫してきました。中でも格安電圧計は一台数百円での購入が可能ですし,少しの工夫で使いやすくすることも可能です。今回は友人の森本氏から少し相談を受けたため,手持ちの「電圧電流計」の改造をしてみました。

これは使い方によっては100V,10aまで測定できる代物で高校の物理実験では十分に機能を持っています。ただ,森本氏から相談を受けた物

は三桁表示で「教材屋さん」から購入した高価なものです。やはり10Aまでの測定が可能ですが,森本氏が考えているのは0.5A程度までの電流しか使わないのです。その場合測定値は二桁になってしまうことがあり,なんとかできないかということでした。基盤を確認するとシャント抵抗にチップ抵抗「R005」が使用されているため,「R050」に交換するだけで999mAレンジに変更可能であることを伝えました。 (写真の撮り忘れ )

昔はチップ抵抗の購入は地方では難しかったのですが,最近はネット通販で簡単に購入が可能です。

 で,私の手持ちのものはどうなっているかというと,,,

 

右端の太いシャンと抵抗をいじる必要があるのです。以前はこれを取り去り,小抵抗を何本か並列接続して使用していましたが,「細くして抵抗値を大きく」すれば良いということで最近購入したリューターで削ってみました。

右はオリジナル,左が改造後です。予想以上に細く削る必要がありました。テスターと並べ『校正』して,四桁がしっかり正しい値になるようにできました。ただ,測定値の大きさでその精度が変化 (リニアリティーが良くない )してしまうことがありますが,せいぜい数パーセントの範囲に収まるようです。

 で,出来上がり,,,と言いたいところですが,

小数点の移動ができないのです。LEDはアノードコモンのダイナミック駆動のため,小数点は各セグメントと共通アノードになっていて別のところで点灯させることはできません。やむなく,目隠しをして「小数点なし」にしてしまうしかないのです。表示としては

Maxが 999.9 mA ということなので,蛍光ペンででも印をつけるしかなさそうです。

 

 今年はこの手のデジタル計測ユニットでいろいろ簡単実験の器具を製作中で,少しアイデアをいただいているのでこのユニットで中学校用の簡易可変電圧電源の製作をしてみたいと思います。

アイデアを出していただいた山本先生は森本さんのカイロカードを活用しており,その際の電源が欲しいということでした。なんとか,ご要望に添えるものにしていきたいところです。