高校物理では「電球の電流・電圧特性」の実験が中心でしたが,流石に「電球」は過去の遺物となりつつあり,また世の中 LED だらけですからこの実験が簡単にできる工夫をいろいろしていましたが,兵庫物理のホープのお一人OTWさんからのアイデアで良いものができそうだと・・・。
OTWさんは森本さんの開発した「回路カード」での開発を進めているのですが,わたしは専用の実験器具の開発に専念してみました。昔の実験では電源装置に可変抵抗器を接続し,電圧を変えながらDiに流れる電流を測ってくというものでしたが,最近は高校生はおろか工学部のそれも電気系の大学生が回路を組めずに困っているのです。そのため回路をほとんど組まず,とにかく「実験」してしてみようということを目指してみました。
やってみると結構良い結果が出るため装置を組み立ててみました。回路は,
スイッチONでコンデンサーが充電され時間と共にその両端電圧が高くなっていきます。その電圧とDi (またはLED)に流れる電流を測定していけば良いのです。電圧と電流はデジタルテスターを使用するとにしますが,大抵の高校ではせいぜい12台程度しかないはずですから,デジタルテスターを追加購入する必要があります。しかし,最近の兵庫県立高校では理科にあてがわれる予算は雀の涙もないくらいですから,ほぼ購入は不可能に近いと思われます。そのため,テスターだけでなく,実験装置一式をレンタルできるようにしています。是非一度チャレンジしてみてください。
で,使用するテスターは
こんなものを選びました。 この実験では,電圧を手でコントロールするのではないため,電圧が変化していくのを適当な時間で読み取る必要があるのですが,電圧と電流を同時に読み取らなければなりません。これはかなり高度な実験となってしまうのですが,このテスターはなんと400円ほどですが,「DATA HOLD」の機能があるのです。測定値を読みたい時,このスイッチを押すとその時刻の測定値を「HOLD」すなわち「保持」できるのです。例えば,10秒ごとにデータをHOLDして測定していけば良いだけです。
試作した測定器は,
となり,テスターリードを右上の四つの端子に差し込むだけです。スイッチONで
電圧が上がっていき,あるところから電流が急激に大きくなります。
このテスターでは2 mAレンジを使用し,その範囲で実験すれば十分な結果が出ます。ちなみのその結果は,
いかがでしょうか。 (実はこの実験結果は別のテスターを使用したものです )
貸し出しセットを近日中に作るので是非チャレンジしてみてください。10分程度で実験ができてしまうのですが,生徒の理解は確実に上がるはずです。