物理サークルの皆さんに予告していた実験器具の試作に取り掛かりました。以前作成したものはなかなかの優れものだと思っているのですが,特殊なコイルを使用しているため皆さんのお薦めすることができませんでした。そこでどこにでも転がっていそうなACダプタのトランスを利用できないかと考えました。しかし,如何せんインダクタンスが大きすぎてR,Cの適当な組み合わせが難しくなるのです。
 で,パーツショップで購入できそうなものはないかと考え,その候補に上がってきたのがAC100のラインフイルターです。手持ちのものでは数mHでしたので,コンデンサーを適当に選び,共振周波数を300Hzあたりにして実験してみました。

 今まで交流の実験というと,60Hz,100Vの交流を使用するか,音響用のアンプと低周波発信機をつないでというような実験しかできていませんでした。今回は身の回りにあるものだけでできないかということで,パソコンのフリーソフト「作音」とパソコン用の外付けスピーカー (アンプ内蔵1000円程度 )を交流源とし,デジタルテスタ-2台でやってみました。イメージ 1 左に写っている小型のスピーカーの一つ (左側)にはステレオアンプが入っていて,結構高い周波数の音が出せます。生徒たちを使って確認すると少なくとも18kHzまではきちんと出せていました。他方のスピーカーの線を外し,ここにRLCの直列回路をつなぎます。
 ここに使われているアンプの周波数特性は当然低周波数で落ちてしまうはずなので,内蔵のボリーュムで出力電圧を一定に保ちながらの実験をする必要があります。
イメージ 2
 黒い二本の線にテスターをつなぎ,印加される電圧のチェックをします。コイルは写真のように二つあるので,これらを直列にして実剣をすることも可能です。
R,L,Cそれぞれの電圧の周波数変化による挙動を確認させるとしっかり「共振とは?」を確認してもらえると思います。
 今日はとりあえず,抵抗の両端の電圧変化だけを確認してみましたが,計算値と大差ないところにきちんと共振を確認することができました。
200Hzから50Hz刻みで周波数を上げていくと,250Hzで最大になり,その後小さくなっていきました。

 3つの電圧のスペクトルを書かせてみると共振がどのようなものか理解が深まると思います。近いうちに,これを小さな実剣セットに組み上げ,簡単実剣セットの仲間に入れるつもりです。
 パーツセットの配布も予定しますから,お楽しみに・・・500円くらいかな?