ここのところ、がんの患者がストーリーの中心となるドラマを見かけるようになりました。描き方にも変化を感じます。

また、真っ向からがんの患者を扱ったフランス映画が2年ほど前に公開されてました。豪華キャストでセザール賞でも評価されたようです。

関心はあるけど怖い気持ちもあって躊躇し、やっと今年に入って鑑賞。

舞台は緩和病棟のある医療施設。タイトルのとおり、患者である主人公の日々が克明に描かれてそれは怖いと直感したとおり。

『ご家族』や『職場』。その存在はありがたくとも患者はどんどん孤独になっていく。ハッとしたのは専門医が家族に向けて『患者本位』を語るシーン。感動的な別れなど、そうはないのかもしれない。

演劇予備校の講師を務めていた主人公。ある時突然、病室のベッドの上で、以前生徒を指導するときに発した言葉『存在感』の意味を悟る瞬間が描かれます。

そして主人公が好きだったという「Nothing Compares 2 U(プリンスの楽曲。アイルランドのアーチスト、シニード・オコナーのカヴァーが知られている)」の旋律が息子に受け継がれていく。

偶然のように起こったことだけで、代わるものはなく、それだけで十分なんだと、そんなふうに感じました。

de son/sa vivant