◆日産とホンダが「自動車の電動化分野など」での協業を発表

 自動車の電動化と知能化に関する分野にける協業を検討していく。発表会見の中では、「現場レベルで妥協点を探っていく」という説明があった。

 自動車の車載ソフトウェアプラットフォーム、バッテリーEV(BEV)のコアコンポーネント、商品の相互補完などの検討を進めていく。

 ホンダは、ソニーグループと共同出資するEV会社「ソニー・ホンダモビリティ」を設立しているほか、米GMとEVなどのシステム開発で提携している。

 日産は、企業連合(アライアンス)を組む仏ルノーが設立したEV会社「アンペア」に出資し、同じく提携する三菱自動車とともにEV分野での協業を強化してきた。

 日産は現在、中国資本の企業が製造する蓄電池を使用している。米政府はEV購入者への税制優遇で、中国製の電池部品の使用車を除外する措置を決めており、韓国企業からの供給や現地生産を通じて供給網を見直す。


https://news.yahoo.co.jp/articles/fadc369de1d0b14371e632a08fd0de697cf0bc4b
https://news.yahoo.co.jp/articles/932898682ed602a2f0868dc3c40c3e275b63b8a0
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https://news.yahoo.co.jp/articles/d2c91b0104a090011eb4c7576f842a4afd3c60d5
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◆日産とホンダが電撃提携へ、どこまで協業効果を発揮できるか

 会見では協業の話が持ち上がったのは今年1月とのコメントがあったが、日産社内では相当前からホンダとの提携を模索する動きがあったものと推察される。

 日産の内田誠社長は協業の動機について、「新興メーカーが革新的な商品、ビジネスモデルで自動車業界に参入し、圧倒的な価格競争力とスピードで市場を席巻しようとしている。今までの流儀を守るだけでは戦えない」と説明した。

 電動車両の開発に携わるエンジニアは「中国勢は想定をはるかに超えるスピード感だ」と口をそろえる。次世代ADAS(先進運転支援システム)や自動運転のコアテクノロジーであるAI、情報通信技術など、他の分野も同じようなスピード感があるという。

 今回覚書を交わした日産、ホンダ両社が提携協議のテーマとして掲げたのは、クルマの電動化と知能化の2点。問題はこの2社がタッグを組んで、果たして新興勢力に伍するスピード感を持てるかどうかである。

 最も期待が持てるのは知能化の分野だ。日産はAI分野の高度人材を擁している上、世界の学術機関との連携の歴史も長く、開発力は十分に高い。

 ホンダは伊東孝紳社長時代に二足歩行ロボット「ASIMO」の開発や脳血流から思考を読み取るBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の研究などを事実上打ち切るなど、先端分野の投資が減速してしまっていたことが悔やまれるが、研究機関であるホンダ・リサーチ・インスティチュート・ジャパンが独自研究を継続している。

 両社の研究リソースを合わせれば規模的に世界有数のリサーチ機関となる。世界の先端科学者に対する求心力は別々にやるよりはるかに高いものになるだろう。

 それに対して電動化は前途多難だ。その要因はバッテリーにある。日産は三菱自動車と並び、世界でも最も早くBEVのスタートを切っただけに研究レベル自体は非常に高いが、電池事業をうまく成長させられずに子会社のバッテリーメーカーを売却するなど迷走。バッテリーの調達コストで新興勢力の後塵を拝した。

 一方のホンダは日本のバッテリーメーカー、GSユアサと提携しつつ本田技術研究所でも基礎研究を続けてきたという歴史を踏んではいる。が、商品化はハイブリッドカー用のバッテリーが主で、2013年の「アコードPHEV(プラグインハイブリッド)」を除外するとプラグインカーのバッテリーはパナソニックに外注することでしのいできた。

 日産、ホンダとも2020年代後半には次世代の全固体電池を市販車に搭載するという目標を掲げているが、全固体電池はコストが相当に高いものになることが予想されており、今のままではゲームチェンジャーたり得ない。

 日産とホンダがしっかり力を合わせることができれば、単独でやるよりは必ず良い結果を出せるだろうが、社風の違いも課題になる。


https://news.yahoo.co.jp/articles/5d77a906928823842036d580e3722888a12ef25a