日本自動車輸入組合(JAIA)が2月6日に発表したデータによると、1月の電気自動車(EV)の輸入販売台数(海外メーカー製)は前年同月比11%増の1186台だった。2カ月連続で増加した。

1月単月では中国EV最大手の比亜迪(BYD)の販売台数が217台と全体の約2割を占めた。BYDは2023年1月に日本の乗用車市場に参入。現在は、多目的スポーツ車(SUV)「ATTO 3(アットスリー)」とコンパクトEV「DOLPHIN(ドルフィン)」の2車種を展開している。

日本の自動車販売会社の業界団体が1月11日に発表したデータによると、23年のEV乗用車の国内販売台数は、軽自動車を含めて前年比5割増の8万8535台となり、過去最高を記録した。販売台数トップは日産自動車の「サクラ」で、3万7140台と全体の4割を占めた。同社の「リーフ」と「アリア」もこれに続いた。BYDの販売台数は1446台だった。(同1.6%)

BYDは今年春頃、EVセダン「SEAL(シール)」を日本市場に投入する予定で、25年末までに日本の販売拠点を100店舗まで拡大する計画だという。


https://news.yahoo.co.jp/articles/ea4a648bfe73cdbf72ab2bc8d9dea6bec107f992

 


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中国の自動車業界でいま持ち切りの話題といえば、EV最大手「比亜迪(BYD)」が目標に掲げていた「年間販売台数300万台」を達成できた、ということだろう。

年初に発表された最新データによると、BYDの2023年12月の販売台数は34万1043台に達しており、最高記録を更新した。1~11月の乗用車累計販売台数は267万2000台だったので、300万台の年間目標を見事達成したことになる。


2023年、BYDの累計販売台数


BYDの23年の戦略を振り返ってみると、競争の激しい中国市場ではプラグインハイブリッド車とピュアEVという2本柱の戦略を進めたほか、海外市場の開拓にも全力を傾けた。昨年11月には、海外市場の販売台数が前年同期から148.7%増加して3万629台に達している。

ただ客観的に見ると、BYDの海外進出は大きな成果を上げているとはいえ、克服すべき課題やプレッシャーも多い。日本のように一筋縄ではいかない市場については特にそう言える。

全力で日本市場攻略へ

BYDは2023年に日本進出を果たし、「ATTO 3」「DOLPHIN」「SEAL(24年春に販売予定)」を発売したものの、いまいち盛り上がりに欠ける状況が続いている。

報道によると、2023年初めにBYDが日本で販売したEVは23年1月が20台、2月が37台、3月が151台で、3カ月の合計は252台だった。その後、販売台数は100台近くを保ちながら推移し、10月には138台、11月には164台となった。わずかな台数の商用車も含め、1~11月の累計販売台数は1237台だった。

海外メディアが先ごろ報道したところによると、BYDはさらなるシェア拡大を狙い、2025年までに日本で年間3万台のEVを販売する計画を掲げているという。

この販売目標を達成するために、BYDは2025年までにディーラー100店体制を整える。単純計算で、各店舗が年平均300台のEVを販売しなければならない。日本の一般的なディーラーの年間販売台数200台を大きく上回る数字だ。

これに対し、アジア太平洋地域の責任者であるBYDジャパンの劉学亮社長は「オンライン販売からディーラーを通じた販売モデルへと戦略転換した。日本の消費者は自動車へのこだわりが強い。オンラインでそのニーズをつかむのは難しく、実際に車やディーラーと接してもらうことが必要だと考えた」と話す。

想像を超える困難

EVが圧倒的な支持を受けている中国とは異なり、日本の消費者はEVに対していくぶん冷めた態度を示している。例えば23年11月に日本で販売されたEVは前年同期比9%減の6249台で、新車販売台数のわずか1.87%にとどまり、直近13カ月で最低を記録した。22年は年間を通じたEV販売台数は7万7000台だった。

この背景には、トヨタを筆頭とする日本の大手自動車メーカーが全面的なEV化に対して、長らく迷いや反発を抱いていることがある。トヨタの豊田章男会長など業界のかじ取り役は、日本の自動車産業の優位性がピュアEVや燃料電池、ハイブリッドなど技術の多様性にあるとの見方を貫いており、EVに関する政策への不満を公の場で一度ならず表明している。

さらに、充電費用や保険料がかさむことに加えて検査制度が非常に厳しいため、EVを使用する際の総合的なコストはガソリン車やハイブリッド車とほとんど変わらないか、場合によっては高くなる。充電スタンドの建設も不十分で、充電インフラ整備に積極的とは言いがたい。

同時に、日本の排他的な風潮も無視できない。2022年の新車販売台数では、国内主要メーカーのトヨタ、スズキ、ダイハツ、ホンダ、日産の5社だけで全体の8割以上を占めた。海外メーカーとして唯一人気を博しているメルセデス・ベンツでも、年間販売台数はわずか5万2391台にとどまる。世界で熱狂的なファンを増やしている米テスラでさえ、日本市場の開拓には苦戦し、22年の販売台数は5837台にとどまった。

こうした現状のもと、2025年までに日本で3万台のEVを販売するというのは、想像を超える困難が予想される。むしろ、BYD独自のハイブリッド技術「DM-i」を搭載したプラグインハイブリッド車をより多く投入することが成功への道となるかもしれない。

BYDはなぜこれほどに日本市場を重視するのか。その理由はシンプルだ。これまで数十年にわたる世界の自動車産業の歴史を振り返ると、ガソリン車の全盛期に大多数の消費者の心をつかんでいたのは日本車だった。EV時代がゆっくりと幕を開けるなか、新時代の覇者となるためには、かつての王者を攻め討つことがどうしても必要なのだ。

去年11月に閉幕した「ジャパンモビリティショー」(旧東京モーターショー)では、BYDが中国の驚くべき最新技術の一端をうかがわせた。身動きができないほど人が押し寄せたブースが何よりの証拠だ。傘下の高級EVブランド「仰望(Yangwang)」からは本格オフロードSUV「仰望U8」を公開、その場で360度回転する「タンクターン」を披露し、会場の話題をさらった。またドイツ・ダイムラーとの合弁ブランド「騰勢(DENZA)」から高級ミニバン「騰勢D9」を投入し、トヨタのアルファードに直接対決を挑んだ。

日本市場の攻略に全力を傾けるBYDの今後の動きから目が離せない。

作者:汽車公社(WeChat公式ID:iAUTO2010)