Spinnaker's Music Clipboard

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クラシック音楽をこれからお聴きになりたい方々に向けて書き綴った「クラシック音楽ご案内」ブログです。どうぞご厚誼の程よろしくお願い致します。




ブログにて交流させて頂いているMK先生が紹介してくださったバッハの「蟹のカノン」。

この題名では判らなかったので早速YouTubeにて調べてみました。

とても面白いのです。

以下は、このYouTube映像に付記されている説明から。

” The enigmatic Canon 1 à 2 from J. S. Bachs Musical Offering (1747),
The manuscript depicts a single musical sequence that is to be played front to back and back to front. "

( J.S.バッハの「音楽の捧げもの」(1747年)に収録されている謎めいたカノン1番から2番。原稿には、前から後ろへ、後ろから前へと演奏される1つの楽想が描かれている。 )


映像を見ながら曲を聴いていると「メビウスの帯」のようなイメージになります。

視聴者コメントに以下のような文がありました。

" My high school history teacher was lecturing about Bach last week and showed us this video. So, for those who didn't know, this began as a musical puzzle.
Frederick the Great challenged Bach with a musical canon that was impossible to solve, or finish. This was the answer to that challenge. "

(先週、高校の歴史の先生がバッハについて講義していて、このビデオを見せてくれたんだ。知らない人のために説明しておくと、この曲は実は音楽パズルから始まったんだ。
フレデリック大王がバッハに、理論的には解くことも完成させることも不可能な音楽のカノンに挑戦した。これはその挑戦に対する答えだった。)


つまり、バッハはフレデリック大王から出された難問、「前から弾いても後ろから弾いても和音が形成され、かつカノン形式の音楽になるような曲を書いてみろ」という質問への回答としてこの曲を書いたのです。
まるでメビウスの帯のように楽譜をひねって、つないで、カノンが出来上がるように書かれています。


ちなみに「メビウスの帯」は、1790年生まれのドイツの数学者アウグスト・フェルディナント・メビウスの名に由来し、彼が1865年に「多面体の体積の決定について」という論文の中で高等数学を駆使して発表した概念です。


バッハは1750年に亡くなっていますので、無論、メビウスの帯の概念のことは全く知りません。メビウスの理論を知らずしてこのイメージを楽譜に落とすことができた「蟹のカノン」。
バッハが紛れもなく天才であったことの一つの証左でしょう!


出来上がった曲を中核にして組曲的に完成させたものが「音楽の捧げもの BWV.1079」
です。(多分)世界中で愛されている名曲です。


 指揮クルト・レーデル ミュンヘン・プロアルテ室内管弦楽団 1956年録音

実に複雑極まりない、旋律構成!まさしく「逆行のカノン」です。


MK先生のお陰で、楽しい調べ物をさせて頂きました。深謝ですゥ (o^―^o)