コンクリートジャングルの都市生活に辟易した現代人が、童心にかえって、心からストレスを洗い流したいようなときに見たい映画。
小さな子供たちに外で自由に遊べる場所がない、という声をしばしば耳にします。元々土地が少ない日本、人が多めの都会では公園に割けるスペースも少ないのに、キャッチボールは危険だからダメ、大声を出せば近所から苦情が来る、整地の行き届いた公園には自然も少なく、子供たちは身体を動かしもせずスマホでゲームに耽ることもしばしば。こんな話を職場の奥さんたちの会話から時々耳にします。まあ、何事も悲観的に受け取ってしまっても仕方がないのですが。
このイギリス映画、『秘密の花園』では、一人の少女と二人の少年が、草木の生い茂る庭園で自由を満喫します。普段は彼等とて大人の築いたしきたりだらけの世界で窮屈な思いをしていますが、その環境は少々特殊です。原作は1911年に初版が発行された児童文学の傑作「秘密の花園」。舞台はイギリスの東北部、ヨークシャー州の荒涼とした原野にある大きくて陰気な屋敷で、愛する妻に死なれ意気消沈した男クレイブンが多くの召使を抱えていて住んでいます。主人公の少女メアリーは当時イギリスの植民地下にあったインドに、官吏として赴任していた父の娘でした。ところが地震により両親に死なれ、インドを離れてこの屋敷に引き取られてきます。クレイブンは彼女の叔父にあたります。
三人の子供たち。左からディコン、コリン、メアリー
屋敷の外へ遊びに出るメアリー
彼女は孤独でした。パーティー好きの母と仕事で忙しい父からは構ってもらえず、周りにいるのは言葉の通じないインド人の召使ばかり。服の脱ぎ着さえも他人の手を借り、かしずかれることに慣れた少女は我がままで聞かん坊になり、人との触れ合いに飢えた心は、固いつぼみのように頑なに閉じていました。春を待つことに倦んだ花のように。
ふくれているメアリー(笑
女中マーサの優しさがメアリーの頑なな心をほどいていく
お屋敷で彼女は様々な人たちに出会います。意地悪な女中頭メドロック、人懐こい女中のマーサ、気さくな庭師の老人ベン…ですが、皮肉にも彼女の最初の友達となったのは、屋敷の外の耕作地で出会ったコマドリでした。コマドリは彼女を、屋敷の外にある壁に囲まれた一角へと誘います。壁を覆う蔦の向こうに開かずの扉を見つけた彼女は、お屋敷を探索しているときに見つけた鍵で扉を開けて中に入ります。寒々とした冬の景色の中に映える温かい橙色の胸毛を持つコマドリ。それを追いかけて、彼女は秘密の花園(The Secret Garden)へと辿り着いたのです。
コマドリに真顔で話しかけるメアリーが可愛いい。
いいものを見つけたわ、コマドリさん(Did you see what I found,pretty robin?)、…(初めて足を踏み入れた秘密の花園で、落ち葉の下に新芽を見つけたマリーが言ったセリフ)
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(レビューは二回目に続きます)





