「もしドリ」
評価:★☆☆☆☆
お久しぶりです。
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ふと、高校時代を思い出していた。
俺が通っていた高校は野球の名門として全国でもそれなりに有名な学校で、選抜高校野球シーズンになると校内が甲子園一色に染まるような学校だった。地区予選を勝ち上がり、甲子園に出場することになればもちろん友人みんなで応援しに行ったものだった。今も目を閉じると、その光景を鮮明に思いだすことができる。
甲子園の熱気。ほとばしる汗。ユニフォームにつく土。嗄れる程大きな声で送ったエール。勝利の喜び、敗北の悔しさ。
それはその夏一番の暑い日。俺たちの気持ちは初めて一つになった。
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さて、今回の商品はそんな遠い夏の日を思い起こさせる甲子園とピーター・ドラッガーの経営学書「マネジメント」を絡ませた異色作「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」からのスピンオフ的商品「もしも、高校野球の女子マネージャーがみんなを応援する『ドリンク』を作ったら」略して「もしドリ」だ。
この「売れたもんに乗っかっていこう」というスタンスは氏神一番とかに通ずる無節操さを感じるわけだが、それはさておき、とりあえずパッケージを見てみよう。
まず、味の説明を見ていきたい。「もしドリ」の下の赤いリボンの部分に書いてあるのがそれだ。商品名からは全く味の想像がつかないので、パッケージによる訴求力を高める上でここは大事なところだろう。
「元気をあげる青春すっきり味」
ボンヤリしてる。全然わからない。抽象的っていうか、もはや哲学的ですらある。各々の青春を想起させるドリンク。一口飲めば目の前に広がるあの夏の日。楽しかったあの頃。今一度、それが目の前に。……。それは、ドリンクじゃなくてドラッグの類だろう。
そう思っていたら右上にさらっと「爽やかなヨーグルト風味」って書いてあった。
なるほど。ヨーグルトか。確かに乳酸菌飲料の甘酸っぱい爽やかな味わいは青春っぽさ満点だろうと思う。ただ、青春と発酵の取り合わせはちょっとどうだろう。しかも、舞台は甲子園を目指す野球部。野球部と発酵。この女子マネージャーは更衣室のロッカーを開けた瞬間に、この飲み物を思いついたのかもしれない。
勝手に想像した話でいきなり飲む気が失せたが、気力を振り絞ってパッケージを開けてみる。
中身はサラッとしたヨーグルトドリンク。入浴剤のような白濁っぷりだ。一口飲むと、すんなり受け入れられる薄いヨーグルト風味。物凄い普遍性を持った味。
簡単に例えると、ちょっと濃い目のブルガリアヨーグルトの上澄み液みたいな感じだ。
ただ、飲み進めていくと物凄く喉が渇く。乳酸菌飲料の逃れられぬ宿命とも言うべき現象だろうと思う。
そういえばこの商品って、野球部の女子マネージャーが野球部員の為につくったっていうコンセプトじゃないのか。これはスポーツ中のカラッカラの喉には辛いものがある。いや、別に部員に作ったとは書いてない。「みんなの為に」だ。みんなって誰だ。
まぁ、そうは言っても、だ。
これを部活のアイドル的女子マネージャーがみんなの為を思って作ったと思い込んで飲むとどうだろう。うん。おいしい。超おいしい。どんなに喉が渇こうが、どんなに「ちょっと薄いな」と思おうが「美少女の女子マネージャーが作った」というただ一点がこのドリンクを至高の味にまで押し上げる。もう、問答無用でみんなこれを飲むべきだと思う。なにせあのカワイイ女子マネージャーが俺達の為に作ってきてくれたのだから。
ところで、もしドラの映画の主演はAKB48の地獄のミサワでお馴染み前田敦子だったわけだが、それを踏まえてもう一回飲むとなぜだか普通の味に戻るので、妄想にとり憑かれてしまった場合は一度試してみるといいと思う。
あと、もう一回妄想の世界に浸りたい場合は夏帆とか思い浮かべるといいんじゃないかな。知らないけど。
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ちなみに、今回紹介した商品は3月頃に春の選抜に合わせて発売されたもので、今はもう売っていない。
だが、この前コンビニ行ったらそれの夏バージョンが出てた。
「もしドリ 夏味」
もちろん買って飲んだわけだが、夏味が一体どう夏味だったのかさっぱりわからない。ていうか、前回との違いが微塵も感じられなかった。
女子マネージャー、新しいのを考えるの面倒くさかったんだろうな、きっと。
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ところで、冒頭の無駄な青春エピソード。
アレ自体はそのまま実話なんだが、一つ言っておかなければならないことがある。
最後の「気持ちを一つにした」のところは、別にみんなで母校の勝利を願って手に手をとって力の限り応援したってことでなく、いや、応援はしたけども、この甲子園ツアーは学校が企画したものであったこと。
それに際して寄付金として在校生と卒業生に一口10000円の寄付のお願いが来ており、さらに、ツアー参加者に至っては集合地でまた旅費として10000円取られるという、アイドルバスツアーも真っ青な集金体制になっていた上、現地までの交通手段は夜行バスに車内泊、徹夜のまま夕方には全力で応援をし(声出さないと応援団に物凄い剣幕で怒られる)、そのまま、また夜行バスで学校まで帰るというスナイパーライフルレベルの超高速弾丸ツアーだったこと。
それらの事態にみんなの「もう二度と行かない」という気持ちが一つになったというエピソードだ。俺のブログでいい話が出てきた場合、10中8は嘘で残り2は裏があると思っていい。
キレイに描かれた青春の1ページの裏面は艶消しブラックで塗りつぶされていることもある。
これは今まさに青春を送っている高校生とかに言っておきたい。
あと、こんな嫌な大人になるなよ、とも言いたい。

