$エレメンタルマグロ経済学-未設定    評価:★★★☆☆
「すいかグミ」

7月9日に梅雨明け宣言が出された。

その直後にとんでもなく暑い日が続き、台風まで襲来した。一気に夏の空気が濃くなった7月末。この蒸し暑さがまさに日本の夏、といった感じだろうか。

青い空。入道雲。夏休みに入り、走り回る子供たち。そこに足りない要素を考えてみると答えは一つ。

スイカだ。

とはいえ、今年はスイカが例年にない不作のため、都内の大手スーパーでは1玉3800円もするらしい。

日本の夏をより満喫するためのマストアイテムともいえるスイカ。そのスイカが手に入りにくい今年の夏を乗り切るための代用品候補が今回の商品「すいかグミ」だ。

パッケージを観てみると日本の夏の象徴ともいえる青い空に麦わら帽子をかぶった子供、さらにヒマワリが描かれていて小さい頃の楽しかった夏休みを思い出させてくれる。虫取り網を持ってカブトムシやクワガタを探して走り回ったあの頃。夏というだけで嬉しくなった子供時代。もうすっかり大人になってしまった俺。

昔の思い出に泣きそうになりながら袋を開けてみる。

ジップロックタイプの開け口を開くと、スイカの、あの何とも言えない香りが鼻の奥をくすぐり、懐かしい気分にさせてくれる。なんて言ったらいいんだろう、あの匂い。夏に外から帰ってきて嗅いだあの匂い。そう考えて真っ先に頭に浮かんだのがカブトムシの虫かごだったので、これ以上イメージを掘り下げるのは止めておく。まぁ、スイカだ。結構リアルなスイカの香りを再現できている。

一粒とって食べてみる。

スイカの香りが鼻に抜け、舌の上ではさわやかな甘みが広がっていく。広がっていくのだが、なんかおかしい。後味が壊滅的にさわやかじゃない。舌の上に居座ったっきり帰ろうとしない。なんだこの迷惑な友人のような後味は。

しょっぱい。

違和感の原因を解明すべくパッケージをよく見ると、そこには「塩ツキ」の文字が。うん。かけるよね、塩。スイカに。甘さを引き立てるためにね。ただ、少し考えてほしいのは、これ、グミだから。スイカみたいに水分ないから。

勝手な持論だけれども、甘さとさわやかさの共生には「酸味」か「水分」が必要だと思う。

その前提の上でこの商品を見てみると、スイカ味では絶対にない「酸味」。グミには明らかに足りない「水分」。挙句、リアルなスイカなら甘さを引き立てる塩気がプラスされてしまっている。喉が渇く。

おかげで一粒食べ終わる頃に残る後味がおかしい。そこで不意に思い出されたのは瓜の漬物。

近所のおばさんが漬けた鉄砲漬けの後味。老人会のお茶請けみたいだ。麦わら帽子をかぶって虫取り網を振り回す子供の走るスイカの地平線の先に待っていたのは老後の風景だった。

なんだか子供時代を思い出して泣きそうになったばかりなのに、月日の早さを目の前に突き付けられたような気がして悲しくなる。ダメだこれ。マズイ。いろいろマズイ。

グミ一個にノスタルジーを掻き立てられ、ふと思う。あの日に帰りたい。

ちなみに、一つ言っておくと、俺には帰りたい「あの日」などというものは特にない。なぜなら、俺は小さいころから虫という虫が片っ端から嫌いで、カブトムシを取りに虫取り網を持って走り回るような子供じゃなかったからだ。どちらかというと、金持ちの家に遊びに行って涼しさを味わいながらファミコンに興じるような嫌な子供だった。

おかげですっかりインドア派の大人になった今、自分の子供時代を振り返るにつけ思う。

しょっぱいな、と。