あけましておめでとうございます。

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だいぶ前にこのコーナーを立ち上げたものの、時間が無くて本は読んだのに全然更新できなくてせっかく読んだ本の感動を放ったらかしにしてしまっている様な気がしている。

更に他のコーナーも全く更新できないでいる。非常に不甲斐ない。そんなわけで、今回はそんな気持ちを一挙に晴らすべく、今年読んだ小説をランキング形式で10冊程発表していきたい。

第10位
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「オーデュボンの祈り 伊坂幸太郎」

まずは10位だが、最初に断わっておくと、今年はやたらと伊坂幸太郎ばっかり読んでいた気がするのでランキングは伊坂幸太郎がかなり多くなると思う。

どれくらい多くなるかというと、チョット前のオリコンランキングでのAKB48と嵐くらい多くなる。それをご容赦いただいた上で読んで欲しい。

さて、そんなわけで10位は伊坂幸太郎のデビュー作「オーデュボンの祈り」だ。物語の各所に様々な伏線を張り、それを丁寧に回収していく作風は既にデビュー作から完成されている事がわかる秀作。

第9位
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「ねじまき鳥クロニクル 村上春樹」

妻が失踪した主人公がその行方を追う過程で夢とも現実ともつかない体験をし、人間の欲求というものに切り込む物語。ノモンハン事件や失踪した妻の幼少期の体験、さらに現代に至るまでに要所要所に現れる姿の見えない「ねじまき鳥」のクロニクル、つまり年代史になっている。

そんな当作品。すこし前に1Q84がバカ売れした村上春樹だが、読みやすいのに物凄い癖のある変態的な展開と強烈なナルシズムを感じる文章は人を選ぶと思う。とあるファンのセリフによれば「村上春樹から変態を抜いたら読むとこなどない」らしい。とは言え、その奇妙な展開と夢と現実を行ったり来たりする物語にハマると、とことんハマる。そんな作品。俺はハマった。変態ってことじゃないです。

第8位
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「宵山万華鏡 森見登美彦」

祇園祭の宵山の1日を舞台に繰り広げられる怪しく不思議な出来事を綴った短編集。森見登美彦には珍しい奇怪で恐ろしく、でも懐かしい昔ながらの怪談の様な話から、いつもの森見登美彦節が炸裂する話まで幅広い短編が宵山の一日に詰め込まれ、祇園祭特有の空気感を伝えてくれる。読めば祇園祭の宵山を体験したくなること必至。

第7位
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「太陽の塔 森見登美彦」

また森見登美彦作品で恐縮だが、この人が書く「イマイチ冴えない、でも冴えなくていいとこだけはとびっきり冴えてる面倒臭い大学生」は素晴らしい。しかもこの作品の冴えない男はフられ男ときている。シンパシーと呆れがないまぜになった感情を読者にシンカーで放り投げつつ、ええじゃないか騒動や岡本太郎の太陽の塔を題材にしたファンタジックな展開で急激に、しかし心地よくオチに向かう。デビュー作でありながら、森見登美彦という一ジャンルを確立させているがスゴイ。

第6位
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「砂漠 伊坂幸太郎」

社会に出る前の一瞬の楽園である大学生活の中での仲間との出会い。恋愛模様。その全てが一生の宝であるということを教えてくれる作品。さて、また大学生の物語だが、こちらは伊坂幸太郎式の「冴えなくていいところが冴え渡った面倒臭い大学生」が登場する。だが、そのキャラクターの「世界の平和の為に麻雀で平和をアガり続ける」に代表されるどうでもいいと思いがちなことに心血を注ぐ様には、森見登美彦節でいうところの特に打たれんでもいい心を打たれること請け合いだ。

第5位
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「海辺のカフカ 村上春樹」

村上春樹作品初の少年が主人公の作品。さらに、同時に全く別のストーリーが進行し、その二つが交錯し、絡み合い、混ざり合い一つの結末へと収束していく。さらに少年が主人公の作品であっても「村上春樹から変態を抜いたら読むとこなどない」の言葉は伊達ではない。いや、別に村上春樹本人が言ってたわけじゃないけど。だが、何故かそうした場面が美しく儚い空気を作り出し、グイグイとストーリーに吸い込まれる。さすがの傑作。

第4位
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「ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎」

映画化もされた当作品。伊坂幸太郎の代表作。簡単に言ってしまえば、ある日、総理大臣が暗殺され、その容疑をかけられた元配達員の男が逃げに逃げる、というただそれだけの話なんだけども、仲間の静かな助けや家族の存在、それら全てが胸に響く。また、当ランキング10位のデビュー作「オーデュボンの祈り」以来、各所に多くの伏線を張り、片っ端から回収していく作風だったが、今作は敢えて回収せずに残した伏線がいくつかあり、それが読後の記憶にいつまでも残ることで事件にはもっともっと広大な背景があり、この事件はまさに氷山の一角にすぎないのだと思わせられる。それが物語に現実感を持たせ、結果、読者に権力というものへのある種の畏怖を抱かせるに至る。かと言って重くなく、エンターテイメントとしての軽さも十分に持った作品。

第3位
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「魔王・モダンタイムス 伊坂幸太郎」

さらに伊坂幸太郎だ。この作品は魔王から読んで背景を知った上で、その続編であるモダンタイムスを読むことで一気に世界が広がり、「あ、こいつはあの時の!」というニヤリ要素も出てくる。そうした展開の効果のおかげで、あたかも自分が歴史に残る事件の裏側を何十年に渡り、リアルタイムで見てきたかのような感覚になる。また、モダンタイムスの方ではゴールデンスランバーと同様に回収すべき伏線と敢えて残された伏線とがあり、読後の余韻をより強いものにしている。

第2位
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「四畳半神話大系 森見登美彦」

悶々と日々を過ごす文系男子大学生。黒髪の乙女。並居る奇人変人。そして四畳半。「やっぱり森見登美彦作品はこうでなくちゃ!」と思わせる設定にキャラクター、事件。もう何も言うことはない。初めて読んだ森見作品がこれだったが、心から読んでよかったと思える作品。

同立第2位
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「夜は短し歩けよ乙女 森見登美彦」

さらに、こちらも森見登美彦節全開の冴えなくてもいいとこだけ冴えた文系男子大学生の悶々とした日々を描く作品。今回は追われる黒髪の乙女視点での語りも交え、二人の距離が、意識がどの様に近づいていくかが手にとるようにわかるワクワクする構成になっている。さらに森見登美彦節の名言も盛り沢山だ。こちらの詳しい感想文はまた後日。

第1位
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「ペンギンハイウェイ 森見登美彦」

そして第1位はこのペンギンハイウェイだ。聡明な少年が友人との出会い、冒険(と言っても学校の周辺だが)、さらに大切な人物との関わり合いを通して大人の階段を一歩ずつ登るファンタジー。

さて、1位と2位が全て森見登美彦になったが、こちらは森見作品としては異色。まず、殆どの作品の舞台は京都になっているがこの作品は京都ではなく、どこかは明記されていない。

さらに主人公が割と裕福な家庭に育った、子供らしくこまっしゃくれた少年にも関わらず、従来のように打たんでもいい布石ばかり打ち、練らんでもよい策を練り、自らが掘った穴に落ち、あまつさえその無駄なクオリティーに自ら驚嘆し、当初の目的をうっかり忘れかける。そんなDNAの螺旋構造を開いて見たら達筆で「マヌケ」と書かれているかのような人間ではい。むしろ、素晴らしい想像力と圧倒的な好奇心と探究心とを併せ持つ少年で、作品全体を通してその類い稀なポテンシャルを発揮する。そんな少年が自分の気持ちを持て余し、気持ちに振り回されながらも一つのずつ成長していく様は読みながら、転んだ我が子に敢えて手を出さずに自力起き上がるのを待つ親の心境になってくる作品。こちらも詳しい感想文はまた後日。

グランプリ
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「小暮写眞館 宮部みゆき」

さて、2010のマイベストブックはこの作品だ。

元写真館の中古物件を買った花菱家だが、ちょっと変わった父の趣味で写真館の看板をそのまま残し、一家で住むことになった。ある日、以前の家主であった小暮氏が撮ったとされる心霊写真が持ち込まれるが…。といったストーリーだが「宮部みゆき」で「心霊写真」なんて聞くと、まずミステリーホラーを思い浮かべるかもしれないが、そんな事はなく、高校生の主人公が様々な人間に支えられながら舞い込んだ事件を解決し、それを通して自分自身と向き合い、家族や友人との切れない絆の物語だ。

とにかくキャラクターが素晴らしく、特に登場人物全員が持つ心の闇。生きていく上では皆が抱える辛い過去。他人から見ればたいしたことではないかもしれないことから、誰が見ても重い過去まで様々あるが本人にとっては一大事なのだ。そういったものを皆が友人や家族の助けを借りて乗り越えていく姿には心を打たれ、自分の中に埋まっていた勇気をも掘り起こしてくれるようだ。

そして、何より、読み終えて本を閉じて目に入ってくる表紙の写真。それが最後の一行で、これまでのストーリーがジンワリと染みてくる。こちらも詳しい感想文は後日。

そんなわけで、2010年に読んだ本のランキングと、その簡易な感想だったがいかがだろうか。

いや、いかがだろうか、じゃない。

なんだこの記事。一体誰が俺が読んだ本に興味を持つんだ。読んだ本の感動を伝えようとした結果、新年早々の読書家アピールになってしまった。

ただまぁ、そうは言ってもこれらの作品の素晴らしさは変わらない。そこについては間違いないと思う。

諸君、異論はあるか。あるならばことごとく却下だ。(夜は短し歩けよ乙女 より)

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