ブログネタ:今まで見た1番怖い夢
参加中いつの話だか忘れたけど、こんな夢を見たことがある。
今回はその夢をハードボイルド小説風にお送りしたいと思う。
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午前2時。俺は繁華街を歩いていた。
視線を上げてため息をつくと、騒がしげなネオンサインが、暗いはずの空を虹色に照らしていた。日本のアンダーグラウンドカルチャーの象徴ともいえるその街は、そこにいるキャバクラや風俗の呼び込みすらも、視神経を毟るような色彩のおかげでそれが人間であることすら忘れさせ、一つの風景として馴染ませる。
疲れているのかもしれない。そう思って周りを見回し、もう一つため息をついていると、ふと、雑居ビル同士の隙間に目がとまった。
ネオンの明かりが届かないのか、その場所は普通の暗闇をつや消しブラックの顔料で塗りつぶしたかのような暗闇だったが、目を凝らすと地下に降りてゆく階段がある。こんなところに階段があったのか。もしかしたら今までも目に入っていたのかもしれないが表通りの明るさでその存在は掻き消されていたのだろう。
もしかしたら、落ち着いたバーか何かかもしれない。自分だけの隠れ家を発見したような嬉しさに、その暗闇の中を降りていった。
突き当たると、薄ぼんやりした照明に照らされた木製の扉があった。古い、がしかし、それはけして汚いわけではなく、むしろ手入れが行き届いた上品さを感じさせるものだった。中に入るとまた更に地下へと続く階段があり、その横には初老のバーテンのような男が一人、椅子に座って本を読みふけっている。
すいません、と声をかけると、男は俺を一瞥し、会釈とも頷きとも取れないしぐさをして、顎をしゃくった。奥へ入れということだろうか。俺が階段へ歩を進めると、もはや俺は興味の対象から外れたのか、男はまた本に視線を落とした。
一体何なんだここは。あの受付らしき男といい、地下の更に地下といい、どう考えても普通のバーなんかじゃない。とはいえ、なぜかはわからないがその正体が気になってしょうがない。ここはどういう場所なのか。何が行われているのか。好奇心という名の破滅願望に似た衝動に駆られ俺は一歩ずつ階段を降りて行った。
長い階段を降りるのにもそろそろ嫌気がさしてきた頃だったろうか。地鳴りの様なものが起き、振動が足のつま先から頭に抜けていくのを感じた。何が起きたのかわからず狼狽していると暗闇の中にうっすら浮かぶ鉄製の扉が視界に入ってきた。なぜだかわからないが地鳴りはきっとこの扉の先からのものだろうということが確信できた。
扉に手をかけて力を入れる。ゴロゴロという音と共に扉が開く。
そこは倉庫の様な場所で、薄暗い照明の中で屈強な男たちがひしめき合い、歓声や怒号が飛び交っている。ちょうど映画「ファイトクラブ」のような、あまりに現実離れした光景に眩暈がして、ゾワゾワと自分の血液が沸き立つような感覚をおぼえた。気づけば、俺は怒号を上げる男をかき分けて吸い込まれるように集団の中心に進んでいる。
そこは集団全体がドーナツ状になったかのようにスペースがあり、その中心にはへそくらいの高さの小さなテーブルが置いてある。そのテーブルが何をするためのものなのか、いや、そもそも、集団の中心に向って歩いた自分の足がはたして自分の意思で動いているものなのか、そのすべてがわからないまま俺はテーブルの横に立った。
場内が沸き立つ。テーブルを挟んだ向いにもう一人知らない男が立ち、場内はその沸点を大きく超えた。
そこにあるのは日常のすぐ隣の非日常。俺はクラクラするような熱気にあてられキョロキョロとまわりを見回すと、集団の中から一人の男が現れる。入口にいた初老の男だ。男は俺とテーブルの向いの男を見て、口角を片側だけ上げた。俺たちを取り囲む男たちもそれを合図に一瞬静まり返り、その直後に初老の男が口を開き、俺たちを取り囲む男たちも呼応するように声をあげた。
「叩いてかぶってじゃんけんポン!」
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かなり前に見た夢だが、これだけはいつまでも鮮明に覚えている。何しろ意味がまったくわからない。叩いてかぶってじゃんけんポンってそんなハードなゲームだったのか。ていうか、地下でやるほどのことなのか。最初から最後まで全くの意味不明ぶりに自分の脳みそに恐怖を感じたのだった。あと、全然ハードボイルドになってない文章の仕上がりにも、ある意味一番恐怖を感じている。
さて、この夢。実はここで終わりではない。
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じゃんけんに勝った俺はいつの間にか置いてあったピコピコハンマーに手をかけるが、相手はすでにヘルメットをかぶっている。遅かった。そう思った俺はおもむろにジャケットの中に手を入れる。そこから出した手には38口径の一丁の銃。照準は目の前の男の頭に合っている。
俺は引き鉄に指をかけて力を入れた。