お久しぶりです。

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落語に「波天奈(はてな)の茶碗」という噺がある。

知らない人の為にどういう噺か説明すると、江戸時代のはじめ頃、京都に金兵衛という大層な目利きと評判の茶道具商人がいて、この金兵衛が目利きをしながら「はてな…?」と一度首を傾げたなら、その品は百両の値打ちがあるという噂がたつ程だったという。この金兵衛があるとき清水寺の近くのだんご屋で一服したときに、店の茶碗を手にして「はてな」と三度も首を傾げたから大変なことになった。

噂が噂を呼び、その茶碗は金兵衛が三度も首を傾げたから三百両の価値がある名品ということになり、ついには時の帝が自らの筆で「波天奈」の銘が茶碗の入った桐箱に書かれるまでになったという噺。

物事は何がきっかけで、どんな風に転ぶかわからない。人間万事塞翁が馬。そんな教訓をふくんだファンタジーは今もって人々を魅了している。

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最近、俺が働いている店の有線から「太陽に吠えろ」のテーマをバックに、かなりアレな感じのラップを乗っけた曲がよく流れてきている。

声の感じからして、かなり若い女性の二人が歌っているんだと思うけど、聞けば聞く程にアレな感じに拍車がかかる。大体、若い女の子が太陽に吠えろなんか知ってるわけがない。多分、名探偵コナンのテーマ辺りと間違えてんじゃないか。ていうか、実際俺が間違えた。

まぁ、トラックの選択はどうでもよくて、まず、何でお世辞にも上手いとは言えない彼女たちがデビューするに至ったんだろう。思うに、きっと彼女たちは、その界隈では有名なプロデューサーの目に留まったのだろう。オーディションか何かの時に、そのプロデューサーが彼女たちのパフォーマンスを見て、逸材を発見した時に出る仕種をしたんじゃないか。きっと、茶道具屋金兵衛のように首を傾げたんだろう。それを見た周りのスタッフが彼女たちを一躍スターにしたに違いない。

人間万事塞翁が馬。一体何がきっかけで人生が好転するかわからない。現代に蘇ったファンタジーと言えるだろう。

そして、蛇足になるが、俺はそのプロデューサーの気持ち、凄く解る。何せ、俺もこの曲を聞くたびに首を傾げずにはいられないのだから。

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ちなみに、最初に書いた「波天奈の茶碗」の噺には更に、その先にオチがある。

実は、金兵衛が首を傾げたのは茶碗が名品だったからではなく、茶碗から茶がぽつぽつと滲み出ていたから、そのキズのありかを調べていたからだそうだ。

まぁ、だからどうってことは無いんですけどね。

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何と言うか、物凄い久しぶりに文章を書いたら、全く芯のないわけのわからない話になってしまった。まぁ、今までも芯があったかどうかは、まぁ、アレだけど。

そんなわけで今まで通り首を傾げながら読んで下さい。茶碗は所詮、茶碗って話。