「ベスト&ブライテスト」

最初の一冊は、名著と名高い「ベスト&ブライテスト」。

アメリカのジャーナリズムの極みとも称される本で、タイトルは邦訳で“最良にして最も聡明な”という意味。

 

タイトルの指すところは“最良にして最も聡明な”人々のことを指している。

舞台は1960年代~1970年代のアメリカ合衆国、ジョン・F・ケネディが集め、その後任であるジョンソンが受け継いだホワイトハウススタッフが「ベスト&ブライテスト」と称賛されたことが由来となっている。

 

この1960年代~1970年代は、いわゆるベトナム戦争が起こり、

戦火が拡大し、泥沼の戦争と化したのちに、最終的にアメリカが事実上の敗北という形で幕を閉じた一連の出来事が起こった時代で、

この「ベスト&ブライテスト」というタイトルは、実際には当時の政府関係者の無能さや右往左往ぶりを皮肉る意味合いが強い。

世界一の経済力を有し、圧倒的な軍事力を誇る世界一の大国といっても過言ではないアメリカ合衆国の選ばれしエリート達がなぜ、あの泥沼の戦争へと突き進んでいったのか、をジャーナリストの視点から考察し、批判的な視点から論じている。

 

ケネディという若さに満ち溢れた気鋭の大統領とジョンソンという凡庸で権謀術数に長けた大統領の人材の用い方から、

当時のアメリカが抱えていた社会的な問題、アメリカの国としての傲慢さなど、かなり辛辣に記されているが、タイトルから現れているように、

出自も経歴も鮮やかなエリート達が、結果としてどれだけ愚かな政策や計画を立案し実行していったかを克明に記しており、特に開戦前は強硬派であった人々が、戦況が思い通りに運ばない様を見ているうちに、徐々に戦争反対派や穏健派に鞍替えしていったことを痛烈に批判している。

共産主義への恐怖や、空軍による爆撃への過信、アジア諸国を軽んじる傾向など、現代にも通じる世界観も興味深かった。

 

全3巻(上・中・下)の構成で、少し古い著書であるが、比較的現代人にも読みやすいが、時代背景やアメリカの社会用語などの解説はあまり丁寧ではないため、最低限の時代背景やアメリカの国情を理解していた方が読みやすいかもしれない。

 

 

この本で得た私なりの知見は、

①いかに優れた人間でも、大局を見誤り、一度一つの流れができてしまうと引くに引けなくなり、戦局の変化に臨機応変に対応できなくなってしまうということ

②一部の人間だけが方向性を決め、意思決定に多くの意見を容れなくなると組織は暴走し、取り返しのつかないミスへと繋がってしまうこと

③現場を知らない人間が机上の空論で物事を決定していくことには無理があること

で、現代社会や企業・組織においても同じことが言えるのではないだろうか。