①吉保の生い立ちの巻

② 隆光易占

③ お歌合わせ

④ 采女探し

⑤采女の巻

⑥ 刀屋の巻

⑦ 将軍饗応

⑧ 浅妻舟

⑨ 白菊金五郎(上)

⑩ 白菊金五郎(下)

11 隆光の逆祈り

12 光圀公・淀屋との出会い

13 藤井紋太夫お手討ち

14 河村瑞軒

15 徂徠豆腐

16 葛の一壺


12月8日はあの柳沢吉保が亡くなった日、ご命日なんだそうです。私はエックスで"歴史が好き"さんのポストで知り、柳沢吉保と言えば『柳沢昇進禄』だ!と思いました。

私はこの『柳沢昇進禄』は、「浅妻船」「徂徠豆腐」は二代目山陽先生、そしてこの二席と「吉保の生い立ち」「お歌合わせ」は人間国宝の松鯉先生でも聴いていて、

生い立ちから第五話の采女の巻までは、きらり時代の鯉栄先生で、そして、全部通しで聴いたのは神田阿久鯉だけです。


◇ 吉保の生い立ちの巻

柳沢吉保は、五代将軍綱吉の寵愛を受けて、甲府十五万石の老中となり、やがて大老格に出世して幕府を牛耳り、最後には二十二万石の大名まで大出世する。

しかし、元は百五十俵取りの最下層旗本の倅だった。柳沢吉保は幼名を弥太郎といい、父親は後妻を娶り、弟・市松が生まれると、弥太郎は継子いじめにあう。

そこで、弥太郎は武士の道を諦めて京都の叔父・川並容山に弟子入りして医師の道を志す。容山には"おさめ"と言う娘があり、弥太郎はおさめと割りない仲になる。

容山は弥太郎の医者としての素質に惚れて、おさめとの仲を許し、従姉弟同士の二人を夫婦にするのだが、江戸の弥太郎の父親から急な知らせが舞い込むのである。

継母と市松が流行病で、二人ともに亡くなり、父親独り江戸に暮らすことに…。そこで、弥太郎に江戸に帰って来て欲しいと言うのである。

新婚で義父の容山には強い恩義を感じる弥太郎は、悩みに悩むが、意外な事に新妻のおさめが、京都を出て江戸行きの後押しを進言する。

弥太郎は江戸行きを決意。おさめも同意だと容山に伝えると、おさめが言うならと容山も江戸行きを了承し、弥太郎に浅草寺のわき、弁天山に住む隆光と言う占い師を紹介します。

この隆光と言う人物が陰陽師風の妖術使いで、後々、弥太郎こと柳沢吉保の出世を左右するキーマンなのです。


◇ 隆光易占

江戸に戻った弥太郎こと柳沢吉保は、父親の家督を継いで貧乏旗本として暮らしていた。時は、三代将軍家光の治世だ。弥太郎が京都から江戸に帰った頃、

同じ京都から、八百屋の娘"おたま"がその器量の良さから家光の側室として献上されて、めでたくこれにお手が付いて"おたま"「お万の方様」となる。

更に、程なくお万の方は懐妊し、愛でたく男子ご出産となり、この男の子は徳松と名付られる。これが後の綱吉公だ。

さてこの時、三代将軍家光には長男竹千代、後の家綱は大変病弱。だから、将軍の後継は健康に生まれている徳松君だ!と、早くも大奥は色めき立つ。

そして、男子御出生のお万の方は『桂昌院』と名が変わる。しかし、桂昌院は八百屋の娘❣️卑しい出の徳松など将軍になどさせられぬ‼️と、竹千代の後見役・酒井雅楽頭が絶対に認めない。

一方、弥太郎は義父容山の教えに従い浅草寺のわき、弁天山に住む隆光と言う占い師を尋ね、容山からの紹介状を見せる。この隆光、昔は京都の僧侶だったが、人を殺めて京都に居られなくなる。

それを、容山に救われて京から江戸に逃げて今は占い師として生計を立てていたのだ。直ぐに隆光は弥太郎と打ち解けて兄弟同様の付き合いを始める。

そんな折り、徳松の後見役・牧野備後守は桂昌院を伴って浅草・浅草寺を訪れる。そこで評判の"八卦見"隆光の噂を耳にする。早速、二人は弁天山の隆光を尋ね徳松の将来を占ってもらう。

すると、隆光曰く「竹千代は病弱ゆえ、将軍に即位しても短命だ❣️徳松は必ずや五代将軍となり、長い年月権政を振るうだろう。また、その為にはある男を常に側に置き教育係に据えねばならん‼️」

そう、そう言って隆光は、牧野備後守と桂昌院に、兄弟の千切を結んだ弥太郎、柳沢吉保を推挙するのでした。