中日、六日目は柳家喬太郎師匠休演なので、四日目、11月14日に鈴本へ出掛ける事にした。
平日の昼席なのに、喬太郎人気は凄まじい。12時の開演に150人は座席が埋まり、仲入り前には、200席の満員状態です。そんな四日目昼席、こんな内容でした。
【12時】
・小じか 「やかん」
やっと高座返しだけ出なく根多が聴けた小せん師匠の三番弟子、小じかさん。二つ目のあお馬さん、前座のひろ馬くんには、馬風一門らしく「馬」縛りの名前ですが、
落武者風、三浦マイルド似の小じかさんには、小せん師匠の「小」が頭に付いて御座います。頭の様子が師匠似だからか?!
さて、落語の方は、基本がしっかりした古典口調です。小せん師匠の弟子らしく、総領弟子のあお馬さんの様に育って欲しいものです。
・やなぎ 「子ほめ」
ハキハキした喋りと、無理に江戸弁をわざとらしく使わないのが、私はやなぎさん好きです。
・アサダ二世 「奇術」
風船割りの風船の色以外は、完璧に、同じにやるアサダ先生。インチキ手品の真髄です。
・玉の輔 「マキシム・ド・のん兵衛」
三遊亭白鳥作のこの新作落語、玉の輔師匠はよく寄席で高座に掛けます。コロナ前、万度この噺を玉の輔師匠は掛けていました。
・柳枝 「初天神」
三遊亭遊雀師匠の型に似ている『初天神』です。金坊のねだり方が特に似ていました。
・すず風 にゃんこ/金魚 「漫才」
金魚先生にバナナを差し入れようかと思ったが、既にお二人、バナナを持ったお客が居たので、自粛。尚、にゃんこ先生に焼酎の差入れも有り、最早、漫才ではない。
・馬遊 「替り目」
マクラも早々に、「替り目」へ。オープニングの俥屋との絡みなく、佐野さでの🎵イチでなぁ〜しぃ〜の節回しもなく、いきなり酔った旦那が帰宅する。
夫婦のやり取りが、早口なのに、上滑りして噺が進まないし、まぁ〜笑いが薄くて、聴くに堪えない芸になるのだが…。うどん屋には辿り着ず、おでんを女房が買って帰ると、強引にサゲてしまう。
・喬之助「芋俵」
はじめさんのlivedoorのblogで10月初旬に話題になった『芋俵』。喬之助師匠のは、定吉が中々可愛くて良いのだが、お清ドンは、女中奉公で店に働いている観が薄い。お妾が雇う女中に見えてしまう。
・正楽 「紙切り」
相合傘は試し根多だから毎回切るが、また、この日もリクエストが「焼芋」である。『芋俵』に引っ張られたのか?もう一つは「七五三」。
・さん喬 「時そば」
初日の喬太郎師匠のトリ根多が、師匠のさん喬師匠でも聴けた。さん喬師匠は、一軒目「当たり屋」で、二軒目は「ハズレ屋」。
当然、喬太郎師匠がやるように、二軒目の屋号を「キッチン稲葉」にはしませんね。ただ、二軒目の出汁を甘いとか辛いじゃなく、渋い!は師弟共通。
また、二軒目のベトベト蕎麦を食べる仕草。特に、口の中を箸に見立てた扇子で掻き回す仕草は、師弟でやるお決まりである。
お仲入り
【14時半】
・のだゆき 「音楽」
毎回掴みのギャグが、のだゆきさんは新しく毎回異なるネタで、客席を沸かしておりました。この日も、身に付けた楽器から披露します!と、言って、
客の殆どが肩から襷掛けにしている鍵盤ハーモニカを演奏すると思わせて、耳に付けていたイヤリング型のハーモニカを吹いて大うけしていました。
・小ゑん 「下町せんべい」
この日も、今は亡き三遊亭圓丈師匠作のネタを披露する小ゑん師匠。この『下町せんべい』は、実に第一回実験落語にて圓丈師匠が発表した新作落語です。
・圓太郎 「強情灸」
圓太郎師匠らしい顔芸が素晴らしい。
・小春 「粋曲」
太鼓が三味線に、四日目にして、漸く合い始めた感じかしました。
・喬太郎 「井戸の茶碗」
高座に着くなり、初日・二日にも有った釈台には触れず、「今と昔ではご商売。昔は有ったが今はない。逆に昔は無かったけど今は有るなんてご商売も御座います。」
そんなマクラから、屑やさん、今は廃品回収業とか申しますがと、『井戸の茶碗』へと入って行きます。もう、何度も聴いた安定の喬太郎師匠の『井戸の茶碗』。
格キャラクターが完全に固まり、トリオ漫才のような屑や清兵衛、浪人千代田卜斎、そして細川藩士高木作左衛門。
清兵衛さんは完全にボケで、高木作左衛門は突っ込み。千代田卜斎は真面目で堅いボケを演じながら、時として鋭い突っ込みも発します。
喬太郎師匠の落語『井戸の茶碗』は、20分くらいの爆笑コントになりますネ。清兵衛、千代田、高木の三人組と、千代田の娘役、細川公と家主役、中元良輔と茶碗の鑑定士は一人二役。
尚、顔が長い屑やは、昔は五代目圓楽で比喩されましたが、今では完全に柳亭市馬で御座います。