夜は雲さんが休演で、代演は龍玉師匠。ネタ出しの演目は晩秋なのに牡丹灯篭『栗橋の宿/お峰殺し』である。よって、昼席だけ聴く事にする。
・市助 「たらちね」 市馬一門の末弟子さん。如何にも柳亭市馬一門の面構えだ。
・吉緑 「猫と金魚」 花緑一門ですね。さて「猫金」。難しいネタです。普通にやっても、中の下くらいの笑いは起きますが…、番頭の粗忽と猫嫌いの頭。この二人のキャラクターの確立が不可欠な噺。二つ目に有りがちな「猫金」でした。
・玉の輔 「財前五郎」 医者が主人公の創作で、ストーリーは、気が弱いドクターが患者にガン告知をしなければならないのに決心がつかず、見かねたナースが、患者に告知する前にガンに似たような言葉を並べて反応調べてみたらとアドバイスするが…というもの。中々、面白い落語でした。
・すず風/にゃん子・金魚 「漫才」 本当に後期高齢者とは思えない金魚師匠。にゃん子先生は、センターマイクから動かないのに、金魚師匠は元気に跳ね廻りゴリラを今日もやりました。次回はバナナを与えたい。
・馬遊 「不精床」 初日と同じマクラでネタが「不精床」に変わっただけ。仕切りに初日・二日と連チャンの客を気にはしていたが…。
・圓太郎 「親子酒」 芸が実に細かい親子酒だし、この噺は女将さんが肝である事を、マザマザと見せ付けてくれる圓太郎師匠でした。過去にないくらいこの噺で笑いました。
・正楽 「紙切り」 相合傘/柳家喬太郎/焼き芋。お約束で、焼き芋のお題にデッかい焼き芋を一つ初めは切ってみせるが…、最後はリヤカーを引く石焼き芋屋を切って腕を魅せる正楽師匠。
・小満ん 「悋気の火の玉」 黒門町からのネタで、小満ん師匠は時々、寄席でもおやりになりますネ。丑の刻参りの藁人形に五寸、六寸、七寸、八寸と釘を長くして、女房とお妾が競う場面が私は大好きです。
お仲入り
・小春 「粋曲」 本当は膝の出番が喰い付に変わった小春師匠。何事もなくやり切ります。にしても、この芝居の太鼓!下手です。
・柳枝 「五目講釈」 本来なら吉緑さんの後、玉の輔師匠の前に出るハズが、乗るハズの飛行機が機体故障で飛ばずに、一本遅れた為、この出番に成った正太郎の柳枝師匠。元気に講釈を唸りました。
・小ゑん 「フィ」 亡き三遊亭圓丈師匠の名作「フィ」。小ゑん師匠が大切に受け継いで下さるのは嬉しい限りです。
・翁家/和助・小花 「大神楽」 小花さんを久しぶりに見た気がします。
・喬太郎 「擬宝珠」 この日も釈台を置いての高座に触れて、足、膝の不調について語る喬太郎師。笑点の司会は狙っていません!で笑いにして、咄家の知名度の噺へ。
喬太郎師匠でも、地方へホール落語に脇の仕事で呼ばれて行くと、知らないッて客が少なからず居ると言う。つい先立てもとある地方でオーディエンスに問うと3割近くが知らない。
独演会なのにぃ!!
と、自虐して、「擬宝珠」に繋がる趣味の話題へ。唯一の趣味だった落語を職業にして、趣味が無くなったと言う喬太郎師匠。
そんな無趣味の喬太郎師匠が、咄家になって復活させたのが、ゴジラとウルトラマンの趣味だと言う。マイナスゴジラの映画への思いをたっぷり語りました。
そこからウルトラマン趣味が再燃、回帰させられるキッカケは、喬之助師匠が、ウルトラマンのミニフィギュアに夢中で、二百円のガチャガチャで何千円も使う姿を見て馬鹿にしていたら…。
木乃伊取りが木乃伊
重複したフィギュアを喬之助さんから貰うと、二百円とは思えないクウォリティーに完全に参りまして、喬太郎師匠もガチャガチャフィギュアを集め始めたのがキッカケでウルトラマンコレクターに成った噺をしました。
そこから、『擬宝珠』へ。毎度お馴染みの喬太郎師匠の『擬宝珠』。『崇徳院』ぽく演じるのが、喬太郎師匠流。この芝居は雲助師匠を意識して、古典縛りなのか?季節の噺も聴きたい。
P.S.
抜擢の来春、新真打のお二人の披露公演ポスターが完成しておりました。