2023.09.11 いよいよ、新宿末廣亭にて古今亭・金原亭を集めた一大イベント。


・志ん生没後50

・馬生没後40年(正確には41年)

・志ん朝23回忌

・圓菊13回忌


これらを追善する落語会を寄席の芝居にと言う形で、北村前席亭時代から懇意な新宿末廣亭さんと、菊之丞師匠を中心に集まった古今亭・金原亭の中堅委員が中心に、志ん生一門だけによる昼夜の芝居が企画されました。

すると、企画進行途中に、五街道雲助師匠の人間国宝が決まり、この追善興行の1/4、雲助師匠主任の芝居は、人間国宝のお祝いも加えて、一層、古今亭・金原亭の力を集結したお祝いになりました。


9/11 昼の部〜前半〜】



ぽっくり 他行 途中から聴いたけど、出来る・上手い前座さん。次の杏寿さんより多分上手い。


杏寿 笊や 二つ目になり半年が過ぎている。女流らしく声高く長時間は厳しい。つくし師匠程ではないが、小春志師の様な低い造り声をやらないと、売り声全部ダメになる予感。『唐茄子屋政談』とか難しい。


黒酒 長屋の算術 桃月庵白酒の弟子で黒酒と書いて「くろき」。なぜなら、本名が黒木である。こはく、白波、黒酒の桃月庵白酒一門では1番できるし、本寸法かつ師匠白酒さんの落語に近い。


菊之丞 長短 長さん関西人がいつ聴いても面白い。今回の芝居は控えめな菊之丞師匠。志ん生を狙う男は、裏方に徹していました。


駒三 後生鰻 まだまだ、暑いから『鰻』もまだ有りな高座でした。


やまと 熊の皮 遊雀師匠がトドメを刺した印象の『熊の皮』ですが、やまとさんのも悪くはありません。遊雀師匠から習った芸協の若手よりは大分良い。


笑組 漫才 南京玉簾もやりました。昭和の漫才も寄席には欠かせない。


志ん雀 がんばれベアーズ 新作落語で早慶進学の根多でお初でした。笑ました。


馬の助 権兵衛狸と百面相 『権兵衛狸』は久しぶりに聴いた。素晴らしい馬の助師匠。百面相は、大黒、恵比寿、逹磨、そして最後は珍品の線香花火。


圓菊 お菊の皿 父親の先代っぽく臭いが、懐かしい。2回、先代圓菊の十八番、握り拳のガッツポーズ炸裂。


仲入り


・座談会

司会小駒さん、馬の助、美濃部由紀子、雲助、当代・圓菊



十代目馬生の次女、志ん生の孫で、池波志乃さんの妹さん。讀賣の優勝祝賀会で倒れる前の志ん生の思い出を語る由紀子さん。

四つ、五つの頃は、志ん生にだっこされた思い出があり、右上の写真の様子が、同時に近く、左上の様に若い志ん生は知らないと言う。



雲助師匠曰く、兎に角、志ん生師匠は医者と坊主が大嫌いで、また、この医者が志ん生師匠より年上で、耳が遠いなんてもんじゃない。

医者「脈を取りますから、腕を捲って?!」

志ん生「生きて居るから、脈は有らぁ〜、藪、早く帰ぇ〜れぇ!」

医者「はぁ?!何んて言いました?!」

志ん生「だから、藪、早く帰ぇ〜れ!」

医者「はぁ?!何んて言いました?!」

志ん生「高助(先代志ん五)、塩撒いて藪を叩きだせ!」

医者「はぁ?!何んて言いました?!」

ドリフのコントみたいな日常が、志ん生のプライベートには溢れていた。

又、お盆に、菩提寺の坊主がお経を上げに来ると、仏壇の横にテレビを持って行き、坊主がお経を上げているのに、一人相撲中継を点けて、大音量で観ていたらしい。


あと、全く知らないエピソードとして、志ん生は大の赤塚漫画のファンだった噺。『おそ松くん』『モーレツあた郎』をよく観ていたそうで、

特に、『おそ松くん』はデカパン、『モーレツあた郎』は心のボスが大好き。銭湯に行く催促を高助さんにする際、「高助!そろそろ風呂へ行きたいのココロよぉ!!?と、言っていたらしい。





こはく ろくろッ首 座談会が伸びて短くやりましたが、腕がある!こはくさん。


松旭斎美登・美智 奇術 輪の奇術でしたが、どんな形が最終形が分からないので、拍手しにくい芸でした。


菊春 親子酒 相変わらずのフラ、およそ古今亭の芸じゃないし、志ん生の酒のエピソードが山の様に出たのに、独自の妙な空気になる定番のくすぐりを入れ続けます。私は苦手なタイプです。


菊太楼 締め込み 圓菊一門らしい。夫婦喧嘩が実に、圓菊イズムを感じる一席でした。


ぺぺ櫻井 ギター漫談 久しぶりにぺぺ先生を堪能しました。長生きして欲しい。


雲助 幾代餅 初日昼のトリ根多は『幾代餅』。国宝後初高座。清蔵が恋煩いと知った女将さん、笑わない約束を必死で守る、笑いを堪える雲助師匠の顔が、何かに似ている!そうだ!!


フリードウッドマック『イングリッシュ・ローズ』



この顔が、後半、更に2回登場する雲助師匠の『幾代餅』は、国宝の威厳が加わり、高いクウォリティーの人情噺に進化しておりました。