・ドラクロワ『ピエールの肖像画と復讐』… 宝井小琴

・太平記「日野邦光、阿新丸の復讐」… 神田伊織

お仲入り

・恩義の柵(しがらみ)前編 … 神田伊織


1.ドラクロワ『ピエールの肖像画と復讐』/小琴

知らないうちに、琴星先生の弟子が増えていてビックリします。琴甘改め五代目宝井琴鶴先生はよーく存じ上げていますが、妹弟子の小琴さん!(丸で柳家!?)

更には弟弟子が二人も居て、優星、魁星。だから、宝井琴星一門会とか開催されているんですね。知らぬ間に琴星、琴鶴親子会ではなくなっています。

もっとビックリしたのが、講談協会は空前の入門ラッシュで、前座さんが大量発生中!なんと、現在十六人も前座が居るそうで、大変な事態なんだとか。

一方、日本講談協会の方は、松之丞の六代伯山人気にも関わらず、前座が足らなくて大変らしいので御座います。日本講談協会と講談協会が有るのを知らないのか?

若しかして?伯山先生は落語芸術協会にも所属しているから、前座が落語芸術協会に流れて仕舞っているのか?妙なアンバランスが生じています。

さて、小琴さん。可愛らしいキュートな今時のお嬢さんで口跡が良く滑舌もしっかりしています。琴星一門らしく、琴星先生作の『ドラクロワ』をやりましたが、

多分、古典も軍記物からみっちり稽古はしているハズなので、将来有望!いちかさん二世と呼ばれるスーパー前座らしいので期待しています。


2.日野邦光、阿新丸の復讐/伊織

『太平記』を墨亭で連続読みしている伊織さん。今回は抜き読みにして、後醍醐天皇の側近、日野中納言資朝が佐渡島へ流罪になり、

その子供、阿新丸(くまわかまる)は佐渡へと渡って行くのだが、父中納言は既に守護代・本間入道によって謀殺されたことを知ると仇討を決意する。

夜間嵐に乗じて父の仇本間を襲い、入道は獲られなかったが、斬手・介錯人の本間三郎(入道の甥という)を刺し殺し仇討本懐を遂げる。

この日野中納言資朝と謂う人は、私ですら知っている世の中に『無礼講』を広めた人でこの人がしっかりルール造りをしなかったから、現代人が無礼講でしくじる様に成ったと謂われる。

又、中納言資朝はかの吉田兼好の『徒然草』にも登場する有名人で、兎に角、先入観を持たない大胆剛毅な人物と兼好法師は褒めておられます。

さて『太平記』何んて、今誰も読まない噺を恐らくは速記から起こして読んでいる伊織さん。長い長い作品を四、五年掛けてライフワークの様に気長に挑む積もりみたいです。


3.恩義の柵(しがらみ)前編/伊織

是又、珍品講談です。サスペンスタッチの物語で、舞台は文明開花の明治。銀行を舞台に渦巻く、出世、嫉妬から起こる殺人事件。

大日本雄弁会の速記を纏めた講談社の全集に残されている明治時代に作られた新作講談で、なかなか面白い作品です。

後編は3/26のなかの小劇場でのネタ卸しの会でやります!と、中々、講釈師らしく、殺人事件が起きて、主人公が濡れ衣を来た所が切れ場でした。