此の落語・講談会に来たのは、コロナ禍になり始めてだから、三年か?四年ぶりで、立川流のらく人さんと談洲さんの二人会、こんな演目です。


二階ぞめき … らく人

藪入り   … 談洲

お仲入り

締込み   … 談洲

紺屋高尾  … らく人


1.二階ぞめき(らく人)

立川流の持ちネタと呼んでも過言ではない、家元が愛した噺『二階ぞめき』、『二階素見』。

立川流では馬桜、談春、志らくの三人で聴いていた。

其れ以外は小里ん、花緑、台所おさん、白酒の四人なので、立川流以外では余り聴かない噺だと思います。

らく人さんの『二階ぞめき』は、番頭さんの表現が物凄く上手いのに、若旦那になると普通。そして、屋敷の二階に吉原を拵える職人と親旦那はイマイチ特徴がないし、

ラストに登場する定吉が、全く可愛らしくないし、花魁と若旦那、若旦那と牛太郎の喧嘩が、ダラけて仕舞い残念な出来である。


2.藪入り(談洲)

二つ目に成って初めての談洲さん。『藪入り』の冒頭でネズミの懸賞の説明を省いているが、上手く亀ちゃんに「ペスト」を引合に説明させる話術は匠だと感じる。

『藪入り』に掛けた、藪から棒のサゲは初耳でした。談洲さんの早口な熊さんが亀ちゃんに、アレを食べさせてやろう、彼処へ連れて行こうの下りもマズマズでした。

ただ、唯一、生声の会場なので、最初はワザとなのか?声のボリュームが小さく成っていて、客の聴く気を引き出す為なのか?定かではありませんが、気に成りました。


3.締込み(談洲)

是は短くする為に、ちょっと全体的に早口過ぎるし、夫婦喧嘩が互いに褒め殺しするだけの展開。珍しい!ウンか出刃か?ウン出刃か?の馴れ初め回想シーンはカットで、

是も、泥棒を締込み酒とマグロを振る舞う場面が無いから、独自の下げに成りました。鉄瓶を使わずに時の氏神の泥棒が飛び出して来るのも珍しい。


4.紺屋高尾(らく人)

一席目の『二階ぞめき』に付くのに『紺屋高尾』とは、落語協会や落語芸術協会の人は絶対にしないと思うけど、気にしないのは立川流らしい。寄席に出ないから習慣がない様に感じます。

五月蠅いご通過からは大批判だと思うけど、注意した方が宜しいが私は余り気にならない。らく人さんの良い点は兎に角、久蔵が良い。ピュアで無垢な紺屋の職人。

また、紺屋の親方も、先の『二階ぞめき』の番頭に近いキャラクターで職人言葉に演じ、非常に好感である。

ただ、笑いを取る、『鷹を飼う』と「久蔵!振られるなよ?!」「親方、良い天気ですよ。」のエッジが利いてないから笑いにならない、由えに高尾が久蔵に告白する人情噺な部分でお泪頂戴!とは行かない。実に後半、藪井竹庵が登場して辺りからの笑いとペーソスが巻き起こらない。

談春師の様には無理でも、もう少しウルウルさせられないものなのか?因みに、ラストに独自な変なオチが付いていたのも?と感じた。

「傾城に誠無しとは誰が言うた」から始めたのなら、そう言えば下の句がございやした。「誠あるほど通いもせずに。」とやり、紺屋高尾のお噺で御座います。で良い気がした。