連続テレビの竹脇無我主演『清水次郎長』が、東映チャンネルで始まったら、昭和32年の正月映画で当時興行収益1位だった『任侠清水湊』が、同じ東映チャンネルでネット配信されました。
当然私は、YouTubeのプレミヤ配信を観たので、早速、ご紹介致します。うーん、もう次郎長三昧が嬉しい。
◇任侠清水湊 https://youtu.be/Zp_GBbW1MFs
【キャスト】
・清水次郎長:片岡千恵蔵
・お蝶:花柳小菊
・大前田英五郎:市川右太衛門
・森の石松:中村錦之助 (萬屋錦之介)
・増川の仙右衛門:伏見扇太郎
・追分の三五郎:大川橋蔵
・お民:千原しのぶ
・おしの:高千穂ひづる
・清吉:植木千恵
・おせん:長谷川裕見子
・大政:原健策
・小幡の新太:片岡栄二郎
・山梨の周太郎:加賀邦男
・猿屋の勘助:東野英治郎
・都鳥の吉兵衛:山形勲
・金次:清川荘司
・小政:東宮秀樹
・津向の文吉:香川良介
・兼吉:富田仲次郎
・寺津の間之助:阿部九洲男
・岩田の庄兵衛:吉田義夫
・森川の重吉:高松錦之助
・大瀬の半五郎:沢田清
・法印の大五郎:上代悠司
・大岩:山口勇
・常吉:月形哲之介
・青木屋幸助:水野浩
・おとよ:赤木春恵
・作造:団徳麿
・長兵衛:尾上華丈
・重太:楠本健二
・伴作:小田部通麿
・保下田の久六:進藤英太郎
・おたき:三浦光子
・巾下の長兵衛:大友柳太朗
・小松村の七五郎:東千代之介
・黒駒の勝蔵:月形龍之介
物語の冒頭で、清水次郎長が任侠道に生きながら、喧嘩、殺生だけが問題解決の手段ではないと、山岡鉄舟の教えから気付くお噺だと短いナレーションから始まります。
物語は、甲州の黒駒の勝蔵(月形龍之介)と猿屋の勘助(東野英治郎)が、山梨の周太郎:加賀邦男と言う凶状持ちを匿っているが、
其処へ周太郎を仇と追っている小幡の新太:片岡栄二郎が、清水次郎長一家に居る幼馴染で兄弟分の森の石松(中村錦之助)を頼り、大政(原健策)が次郎長の名代となり、三人で周太郎の引き渡しを掛け合いに猿屋へ向かいます。
猿屋はお上から十手を預かる二足の草鞋で、凶状持ちを匿うと大罪になるので、次郎長に周太郎を匿っているとしれると面倒になるから、黒駒の勝蔵の入れ知恵で周太郎を逃そうとしますが…
次郎長が察知して、先手を打ち猿屋へと次郎長一家を上げて殴り込みます。そして、猿屋も周太郎も次郎長に討ち取られて仕舞うのですが、是は黒駒の勝蔵の思惑通りで、
勝蔵はまんまと、猿屋の縄張りを手に入れるし、次郎長は此の猿屋と周太郎殺しの一件で、又、長い草鞋の逃亡生活になります。
この時代の東映映画の悪役と言えば、月形龍之介と東野英治郎は大物悪党の二大巨頭ですからね。その東野英治郎が早々に斬り殺される展開です。
そして、次郎長が甲州から逃げた先は、尾州名古屋の巾下の長兵衛:大友柳太朗で、長兵衛は、次郎長には内緒で、昔、相撲力士時代に次郎長に大変な世話に成った保下田の久六(進藤英太郎)に次郎長を匿うて手伝いを打診しますが、色良い返事を久六は致しません。
次郎長が長兵衛とその女房のお民役の千原しのぶに匿われている所に、次郎長の兄弟分で甲州では黒駒の勝蔵とは反目で敵対する津向の文吉からの言付けを持ってお蝶が現れます。
お民役の千原しのぶも、お蝶役の花柳小菊も、お歯黒なのが良いですねぇ〜。そんなお蝶の口から猿屋の一件は黒駒の勝蔵が後ろで糸を引いて、死んだ猿屋の縄張りまで手に入れたと、次郎長は知らされます。
さぁ、お蝶が巾下の長兵衛の家に着くと、安心したからか?ドッと疲れが出て病気に成り寝たきりとなります。すると、子分達が滝に打たれて全快を願い、次郎長も金比羅様にお蝶の命をと願掛けします。
軈て、保下田の久六が、次郎長を誘き出す為に、十手風を吹かせて、次郎長を匿う巾下の長兵衛を虐めに掛かると、清水次郎長の堪忍袋の緒が切れて、長兵衛を救出する為、保下田の久六と喧嘩となり久六を次郎長が叩き斬ります。
この決闘での、片岡千恵蔵の形相と、斬り殺された進藤英太郎の斬られっぷりがたまりません。ザ・時代劇と謂う名シーンです。
またこの保下田の久六の女房・おたきを演じるのが、三浦光子。実に色っぽい役どころで、男を惑わす悪女を演じます。
さぁ、こちらも黒幕が黒駒の勝蔵と分かり、清水次郎長は、喧嘩状を黒駒に叩き付け、安部川の河原での決闘を挑みますが、此処に時の氏神、仲裁人が現れます。
これが、市川歌右衛門演じる大前田英五郎で、ここで、次郎長は大前田から、命のやり取りをする喧嘩ばかりが、争議の解決の道ではないと教えられて、大前田英五郎は、竹光を見せて山岡鉄舟の教えを次郎長に言って聞かせます。
そんな大前田英五郎の仲裁で、次郎長一家は清水湊に帰りまして、次郎長は金比羅様への願紐解を森の石松に頼み、石松は金比羅様への代参へと向かいます。
併し、残念ながら食いねぇ〜、食いねぇ〜、寿司食いねぇ〜の場面は無し。清水湊を出発する際に、石松が惚れているおしのちゃん役の高千穂ひづると、追分三五郎役の大川橋蔵が見送りに現れますが、実はおしのと三五郎は恋仲で、失恋の悲しみを堪えて旅立つ森の石松です。
さあ、この石松の金毘羅代参の帰りに、都鳥の吉兵衛(山形勲)の悪巧みに掛かり襲われてしまいますが、何んとか一旦は、兄弟分で幼馴染の小松村の七五郎(東千代之介)に命を救われますが、結局、都鳥一家の騙し討ちで殺害されます。
そして、其の石松死亡の知らせは、小松村の七五郎に依って清水湊に齎されて、次郎長一家は、都鳥と其の背後に居る黒駒の勝蔵を討つ為に都鳥一家と黒駒の勝蔵へ殴り込みを掛けます。
結局、山岡鉄舟の教えも虚しく、次郎長は都鳥の吉兵衛と、黒駒の勝蔵を斬り殺して、森の石松の仇討ちを果たすのです。