全十話からなる『藪原検校』、大岡政談では、『徳川天一坊』『畦倉重四郎』『村井長庵』に続く、私の講談シリーズでは、第四作目のご紹介でした。
何んでしょうか?大岡越前守忠相が、その眼力で悪事を見抜けなかった事から、主人公の悪党、杉の市の陰謀が、まんまと成功する所から噺が始まります。
そして、因果な展開となり、もう一人の悪党、仙臺屋輿兵衛の実の兄、戸澤三吾と娘のお登勢が、輿兵衛を頼り、江戸表に訪ねて来る事で、悪事の露見が、
思わずひょんな事から始まるのですが、前半の初代藪原検校の三万両の身代を、実に二十人、皆殺しにして、杉の市と仙臺屋輿兵衛が奪う、派手な展開に比べると地味です。
まぁ、全十話で、長くもなく、短くもない、講談会で掛けるには、程よい尺の連続物だと思います。
実際に、宝井梅湯さんが、墨亭さんで、連続公演を今年の始めまで、ほぼ、毎月公演をやっておられました。
私は、残念ながら、聴いていないのですが、又、二回目の機会があれば、聴いてみたいと思います。
私が読んだ速記本は、神田伯龍先生のものなので、宝井の演出による、梅湯さんの『藪原検校』と、比べてみたいです。
さて、次回は、妖刀・村正が招いた悲劇、『古市十人斬』を、米川求女の公演速記本で、お届けする予定でしたが、
その前に夏だから、怪談にするか?と、考えが変わりまして、佐賀の夜桜『鍋島 猫騒動』を、松林伯圓先生の速記本でお届け致します。