実は、ドラマ自身は大筋はあんな感じに『南部坂 雪の別れ』が展開されますが、佐久間良子さんは、流石に三船敏郎に向かって、あそこまでの罵詈雑言は浴びせませんし、
勿論、東郷晴子さんの戸田局も、間者の腰元の指をヘシ折る様な荒技は使いません。
実は、この回では、南部坂雪の別れの裏では、裏柳生の隠密頭領、加倉井林蔵(高松英郎)とその部下であるお蘭(上月晃)の最後の対決が繰り広げられて、
加倉井林蔵が、お蘭に腹を抉られて殺されて仕舞うと言う、結構、衝撃的なシーンがあり、ただその腹を斬られた林蔵は、腸が飛び出しているのに、這って駕籠屋まで執念で辿り着き、
密書を認めて柳生道場の丸木七之(千波丈太郎)と金子市之助(宮口二郎)に、お蘭の裏切りを伝えます。
この金子市之助、もう名前が『天保六花撰』の金子市之丞からの丸パクリで、道場の位では、丸木がNo.2で、金子はNo.3の位置付けです。
此の付録では、金子市之助役の宮口二郎さんは、常に悪人役なのです。しかも、ほぼ初登場!
尾行した上杉の間者からの『腕の使える』柳生の人!、と、米沢へ帰る千坂兵部への残した忍者、其の二人も大変恐るゝ剣の達人の役所です。
そして、加倉井林蔵が残した遺言のような司令に従い、丸木と金子の二人は、柳生の精鋭二十名を連れて、本所松坂町の吉良邸に近い両国橋付近に待機し、
赤穂浪士が討ち入れは、上杉家に援軍要請の伝令を飛ばして、赤穂浪士と上杉十五万石の戦へと持ち込む算段をするのでした。
あと、この金子市之助が大石内蔵助や主税の動向を探る密偵として金で取り込んで居たのが、二人が泊まっていた日本橋本石町三丁目の公事宿『小山屋』の小僧なんですよね。
又、吉良上野介は、本来は茶会がお開きとなった後、来賓機全員を帰した直後に自身も駕籠で上杉江戸上屋敷へと隠れる段取りに成っていたが、
上野介用人、松原多仲(神田隆)が、吉良家の駕籠を勝手に茶会の来賓だった大友近江守(夏川大二郎)に貸して使えなくする失態を犯します。
神田さんの松原多仲は、最初からちょっと間抜けで人が宜い用人として登場し、神田さんの惚けた感じが非常に役に有っています。
兎に角、上野介の命令には従順なんだけど、人が宜過ぎて、おっちょこちょいだから、上杉や公儀、柳生からいい様に利用されて仕舞う存在です。
また、駕籠を貸して大友近江守を送迎したから、安兵衛が出した蕎麦屋の二階から、来賓客を見張って居た大高源五と神崎輿五郎は慌てます。
吉良上野介が、上杉江戸上屋敷に逃げたと勘違いしたからです。提灯の紋が『五三桐』、清和源氏の吉良家の紋ですからね。
併し、駕籠の中に居たのが、大友近江守だったと分かり、大高源五(御木本伸介)と神崎輿五郎(中丸忠雄)は安堵して、蕎麦屋に戻ります。
そんなやり取りがある中、お蘭(上月晃)は自分一人では、柳生一門の陰謀を止められないかも?と、危惧して、
上杉忍者の二人に、『米沢へ立った千坂兵部は、まだ、浦和に宿を取っているから、呼んで来い!』と、命じるのでした。
つづく