レポートが遅くなりました。墨亭の田辺いちかさんの定例会についてです。
先週の日曜日の午前中だった会で、いちかさん前座時代のお馴染みが二席と、一鶴先生の師匠、十二代目田辺南鶴先生の創作講談の三席で、こんな内容でした。
1.井伊直人
2.村越茂助
マクラでは、仙台の花座に、こなぎ、紅純、いちかの二つ目三人で出演した噺からでした。
花座は、落語芸術協会さんのテリトリーだから、芸協に関係ないいちかさん自身は、出られない小屋だと諦めていたけど、
紅純さんが落語芸術協会所属なので、同じ時期に前座修行をした、三人でと顔付して貰えたと言っておいででした。
あと、花座は出演者向けの宿泊施設と言うのか、寮のような自炊施設が完備されていて、出演者は、そこで共同生活して、花座に出るらしいです。
之は、同期三人とかなら良いけど、先輩と共同生活は。。。と、いちかさんでなくても、大先輩や大御所とは緊張して辛いでしょうねぇ。
また、折角仙台公演だったから、松島へ三人で行ったと言われていました。雲居禅師の瑞巌寺や、その隣にある松島円通院にも行ったそうです。
本編はお馴染みなので、特に感想も有りませんが、前座時代より、コンパクトに短く纏められている印象でした。
3.生か死か
◆生か死か
https://engei-yanbe.com/archives/2680
あらすじは、上のサイトから参照して下さい。
何んだろう。非常に難しい噺です。素読みにして感動できる噺ではなく、物語のキーマンである、ゴム屋の金兵衛の息子・幸太郎にそっくりなシベリアの辰のキャラが難しいと思います。
完全に、左舞の金兵衛が、シベリアの辰に息子幸太郎の面影を感じ出逢う場面。
そして、ゴム屋で気質の金兵衛を、シベリアの辰は、ヤクザの親分と勘違いする必然。
特に、キャバレーの地下に賭場があり、そこで無欲の金兵衛が大勝ちする場面などは、スピード感と、鉄火場の空気を出すのが難しい。
全体として、昭和の敗戦直後の空気の中で、特攻の生き残りシベリアの辰が、特攻で息子を亡くした金兵衛と、出逢い引かれ合う展開を描くのが非常に難しい噺だと感じます。
主要な登場人物が、この金兵衛とシベリアの辰の二人だけなので、輪郭のはっきりした人物に描いて於かないと、物語全体がボケて仕舞う感じがします。
いやぁ〜、これでジーンと後から哀愁を感じられる様に、いちかさんが演じられる様になれば、真打と呼べる存在になるのだと思います。