今年から始まった桂夏丸師匠の独演会、『夏ちゃんの会』ですが、是で四回目となりました。

是までは、18時スタートだったのが、この十月の回は、17時スタートで、19時終演という、土曜日なので、有難い時間設定でした。

さて、そんな墨亭に大変馴染んで来た、桂夏丸師匠の独演会、『夏ちゃんの会』、こんな内容でした。






1.都々逸親子

マクラでは、『起立、きょうつけ、礼』と一般には号令致しますが、群馬県では、『きょうつけ』と『礼』の間に、『注目』が入るらしい。

また、『きょうつけ、注目、礼』は、宮城県でも採用されていると知りました。そして、この話題から、母校の小学校、原町小学校の校歌を熱唱する夏丸師匠。

群馬県吾妻郡に在るそうですが、校歌を三番まで熱唱するとは、びっくりでした。

また、学校寄席で小学校と高校はネタ選びに苦労が少ないが、中学校は困ると言う夏丸師匠。

なかなか、深い意見だと思いました。小学生にやる様だと幼稚で、難し過ぎるネタだと引いて仕舞われるから、ネタ選びが難しいらしい。


さて、『都々逸親子』。最近、若手の咄家さんが、能くやっている印象があり、落語協会のこみち師匠や、現かゑるさんなどが演じられて、比較的聴く機会のある噺です。

夏丸師匠のは、導入から都々逸ではなく、最初は英語から入り、教科書への落書ききっかけで、都々逸へと入って行きます。

実に、親子の機敏と都々逸の馬鹿馬鹿しい感じがほんわかする噺だと思います。似たような親子落語は少なからず在りますが、都々逸が少し色っぽくて、私は好きです。


2.奥様七変化

たべ あきらさんの作品だとか、『奥様七変化』は、歌丸師匠、米丸師匠、先代今輔師匠がやっていたとは聴いた事があるが、生で聴いたのは、初めてでした。

この噺は、所謂、圓丈前時代の新作落語らしい、小咄を集合体にしたような、オムニバス形式の作品で、ちょっと夫婦の稷をお色気に包んだような作品で、

昭和の芸術協会らしい、ナンセンスな新作落語で、現代には、又逆に新しく感じるようなお笑いセンスと成っていると感じます。


3.花筏

相撲大好きの夏丸師匠の『花筏』。市馬師匠なども、そうですが、呼び出しや行司ねモノマネも入り、相撲好きがやるからこその仕上がりの『花筏』で御座います。

また、普通は下総國は銚子が巡業の舞台なのに、夏丸師匠のは、常陸國水戸の大浜が巡業の舞台でした。

ただし、素人の強者は、千鳥ヶ濱で銚子の場合と同じでした。

あぁ、あと、夏丸師匠らしい相撲の蘊蓄が、千代の富士の五十三連勝を、大乃国が止めた時の逸話を語り、相撲における立ち合いの重要性を説明したのも、夏丸さんらしく、

引退した白鵬についても、入門半年は、ちゃんこを食べるて、身体を大きくするのだけか、白鵬の稽古だった噺も披露しました。


4.瀧口さんとの対談

歌丸師匠は、晩年は圓朝モノ中心の古典ばかりだったが、今輔師匠が亡くなる前の新作派を通していたなら、どんな咄家だったのだろう?と、言う夏丸師匠。

なかなか、マニアックな話で、兎に角、昭和の芸術協会の新作落語を、令和に伝える使命感を感じました。